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犬をひき逃げして罰金はたった9000円…むごすぎる。

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昨年、高齢者が赤信号を無視して横断歩道に突っ込み、女の子が連れていた犬が死亡するという痛ましい事件がありましたが、罰金9000円だそうな。

2023年7月、名古屋市緑区で、信号を無視し車で犬をはねたなどとして書類送検されていた91歳の男性について、名古屋区検は赤信号を無視した道路交通法違反の罪で略式起訴し、名古屋簡易裁判所は罰金9000円の略式命令を出しました。

緑区に住む91歳の男性は、2023年7月、緑区平手北の交差点で、当時6歳の女の子と飼い犬のポメラニアンが横断歩道を渡っていたところ、赤信号を無視して車でポメラニアンをはね、その場から逃走したとして書類送検されていました。

名古屋区検は、2024年2月27日付で、男性を、道路交通法違反=赤信号無視の罪で略式起訴し、名古屋簡裁は、罰金9000円の略式命令を出しました

一方、名古屋地検は、事故を届け出なかった罪については、不起訴としています。理由は明らかにしていません。

ポメラニアンはねた男性(91)に赤信号無視で罰金9000円の略式命令 事故不申告は不起訴(中京テレビNEWS) - Yahoo!ニュース
2023年7月、名古屋市緑区で、信号を無視し車で犬をはねたなどとして書類送検されていた91歳の男性について、名古屋区検は赤信号を無視した道路交通法違反の罪で略式起訴し、名古屋簡易裁判所は罰金9000

なぜたったの9000円になるのでしょうか?
法律上はこうなるしかない事案なので、行為と罪の重さが一致しない典型例としかいいようがないのですが。

 

①過失運転致死罪(自動車運転処罰法)

致死の対象が「人」に限定しているため、過失運転致死罪には問えない。

 

②事故不申告(道路交通法72条1項後段)

人ではないため救護義務の対象にはならず、事故不申告(当て逃げ)になりますが、この違反には故意の処罰規定しかない。
事故を起こした認識すらないので、故意がないと判断するしかない。

 

③信号無視(道路交通法7条)

通常なら信号無視は赤切符ではなく青切符ですが、この件は交通事故になるため反則制度の適用がない(125条2項3号)。
そのため信号無視は反則金ではなく起訴可能。

 

しかし赤信号だったことすら認識していない様子。
なので故意の信号無視ではなく過失の信号無視(119条3項)を適用したと思われる。

第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
二 第七条(信号機の信号等に従う義務)
3 過失により第一項第二号、第五号(第四十三条後段に係る部分を除く。)、第十四号、第十六号若しくは第十九号又は前項第二号の罪を犯した者は、十万円以下の罰金に処する

過失の信号無視罪の法定刑は罰金10万以下になりますが、たぶんほとんどの場合、反則金同等の罰金刑にしかならない。
以前取り上げた信号無視罪で最高裁まで争った判例も、罰金9000円です。

なぜ?赤信号無視で最高裁まで?
以前取り上げたこちらの判例について質問を頂いたのですが、 ちょっと分かりにくいのかな、この判例。 被告人は「信号無視はしてない!」と裁判で争ったわけではありません。 争ったのはなに? まずは事件の概要。 (1) 被告人は,平成27年7月12...

過失運転致死は要件を満たさない、事故不申告は故意がない、そうすると赤信号無視で起訴するしかない。
被害者からすれば全く納得いかないでしょうし、91歳の人が今さら前科持ちになったところで何ら社会的に影響しない。
微罪を適用するしかないのがこのような事故ですが、行為と罪には大きな解離があるとしか。
赤信号無視にしても、信号無視した事実のみが評価対象で信号無視したことによる事故発生は考慮されないと思われるので、たった9000円で済んでしまう。

 

しかしまあ、全く噛み合わないレベルの会話の人でも普通に免許を持って運転するのだから、困ったもんですね。
そしてまだ運転する意思を被害者「遺族」に話すくらい、感覚がズレているのですが、感覚のズレというよりも事の重大性を理解してないのではないでしょうか?

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