たまに「自転車は手信号(合図)を出すべきだ」とか、「譲ってもらったときには手で合図すべき」みたいな話をされるのですが、私の意見としては
けどハンドル操作を重視した方がいいことがメリットが大きい。
です。
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法律と実情の差
法律上は左折、右折、進路変更、停止徐行時に合図(手信号)を出し、かつ、プレイ完了まで継続する義務がありますが(53条1項)、ムリに手信号出して転倒する人もいるのでさほどオススメしてない(8:10あたりから)。
この人を「下手」と切り捨てるのは簡単だけど、自転車って根本的には片手運転と相性が悪いので、余裕も自信もある人が合図するのは勝手にすればいいけど、そうじゃなければムリに出す必要性を感じない。
「義務だから」と切り捨てるのも違う気がするし、以前も書いたように警察庁としてもやや疑問を感じているフシがある。
自転車って左側端寄り通行なので右に進路変更する際には合図したほうが好ましいけど、現実的には自転車を使う人のおそらく1%も手信号を出してないし、ましてや自転車を使う人の100%は53条1項に違反しているのが実情。
片手運転にならずに合図を出す方法を模索したほうがいいし、合図を出したときにちょっとした路面の凹凸を拾えば余裕で落車するので、合図よりもハンドル操作に重きを置いたほうが得策だと思いますけどね…
ちなみに「譲ってもらったとき」に手で合図するというのも、やるとしたら会釈のほうがいいような。
合図不履行が過失になることも
なお、上に書いた意見は「合図不履行が過失になることもある」ことを理解した上での話です。
例えばこのような判例があります。
①神戸地裁 令和4年7月7日
原告(赤自転車) | 被告(青自転車) | |
信号 | 青 | 赤(違反) |
青信号で自転車横断帯(の横にある横断歩道)を通行した自転車と、赤信号無視の自転車の衝突事故。
原告においても、原告自転車を走行させるに当たっては、その進行方向の安全を確認すべき義務があるところ、方向転換をして本件横断歩道に進入する際に、後方を振り返ったり一旦停止するなどして周囲の安全を十分確認していない。本件においては、原告の対面信号機は青色を表示していたものの、本件横断歩道の南側には自転車横断帯が設けられていたので、同横断帯によって道路を横断しなければならないのに(道路交通法63条の6)本件横断歩道に進入していることに加えて、合図を出すなどしないままに方向転換していることから、周囲にとって原告自転車の本件横断歩道への進入を容易に予測できる状況ではなかったことを考えると、周囲の安全を十分確認することなく方向転換をして本件横断歩道に進入した原告にも本件事故の発生につき一定の過失があるというべきであり、過失相殺をすべきである。
神戸地裁 令和4年7月7日
青信号で横断した自転車に10%の過失を認定してますが、これについては「ハズレの回」だってと諦めたほうがいい。
裁判官にも当たりハズレはあるので。
②東京地裁 令和3年8月2日
横断歩道を渡るため、原告自転車は横断歩道手前で停止したところ
前方不注視の自転車が追突。
「ブレーキランプ等のない自転車の特性を踏まえ、後方から走行してくる車両の有無や動静に注意をし、停止する際に合図をするなどすべきだった」として原告に20%の過失を認定していますが、追突した被告は「物思いにふけって前方不注視」なので、合図したところで伝わらない気がしますが…
これらを考えると合図すべきとなりそうですが、合図していても何らかのイチャモンから過失認定されるのが民事だし、無駄に片手運転にならない方がマシというのが私の意見。
二輪車は片手運転と相性が悪いので、そもそも法律にムリがあるわけでして。
まあ、片手運転じゃなくても路面の凹凸を拾って落車するわけで、
昨日葉山の秋谷辺りロードバイクで走行中アスファルトの割れ目の盛り上がってる場所にタイヤを取られてバランス崩し転倒❗😱たまたま後ろ走ってたロードバイクの人に助けて貰い救急搬送され救急病院に直行、左足がかなりの大怪我‼️取り敢えず治療して貰ったが、今も足が痛い😱 pic.twitter.com/OvYmOia1vs
— 井上浩次 (@4dBdmrzQQrE3J9A) April 29, 2024
片手運転になればさらにリスクが高まるのではないでしょうか。
法律上は合図を「出せ」ではなく、「出してプレイ完了まで継続しろ」なので
出しただけでは違反なのは変わらないし、かといって出して継続は不可能なので、出しても出さなくても変わらない気もするけど。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
左折前と追い越しで右レーンに出る時、後は一般的な停止場所(信号や一時停止、踏切前、横断歩道前)以外での停止前(歩道に乗り上げる時や、二段階右折の一回目の停止)位は、一応手信号出しますね。後続車両に対して、事前にどのような動きをするか伝えるのを目的とします。それ以外は普通に運転すればわかるだろと思うので、両手運転の安定性を優先しますね。以前は、ツキイチされた時は停止の合図をこまめに出してましたが、出さない運転をやってると自然に近づかれなくなったので、一見してわかる場所では出さなくていいかなと思います。
コメントありがとうございます。
まあ、おそらく99%以上の自転車は出してませんし伝わるのかも疑問なんですよね…
合図はプレイ完了までについて質問です
右折(二段階右折)のプレイ完了ってどのタイミングになりますか?
自分は交差点横断して右方向に向きを変えて横断完了までが右折プレイで合図も(出すなら)そこまでと思ってたんですが、原付の二段階右折の方法を見てたら、横断し向きを変えるまでは右折の合図を出す=向きを変えたら合図を止めるという解説を見かけまして、どちらが正解なのかなーと
自転車と原付で二段階右折の合図終了のタイミングが違うってこともない気がしまして
コメントありがとうございます。
右折の定義はこうなので向きを変えるところで右折完了になります。
ありがとうございます!
交差点の範囲から出るまでが右折だとずーっと思ってました
コメントありがとうございます。
その考え方をすると、交差点を出るまで徐行義務も解除されず不合理なのです。