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駐車場の「駐車区画」は、道路と見なされない。

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ちょっと前にこのような報道がありました。

捜査車両で「ドアパンチ」をした三重県警の警察官が、書類送検されました。

三重県警によりますと、警察署勤務の30代の男性巡査部長は2024年3月、県内の駐車場で捜査車両から降りようとした際、隣に停まっていた車にドアをぶつけてそのまま立ち去っていました。

車に傷をつけられた被害者からの申告を受けて警察が捜査したところ、男性巡査部長が特定され、事故を届け出なかった道交法違反の疑いで5月10日に書類送検されました。

男性巡査部長は「自分の認識の甘さと恐怖心から逃げた」などと話し、三重県警は本部長注意の処分としました。

捜査車両で“ドアパンチ”…隣の車にドアぶつけ逃げる 警察官を書類送検「認識の甘さと恐怖心から」(東海テレビ) - Yahoo!ニュース
捜査車両で「ドアパンチ」をした三重県警の警察官が、書類送検されました。  三重県警によりますと、警察署勤務の30代の男性巡査部長は2024年3月、県内の駐車場で捜査車両から降りようとした際、隣に

事故不申告(道路交通法72条1項後段)として書類送検。
ドアパンチしておいて逃げるなんてサイテーですが、若干疑問。

駐車場の駐車区画については、道路交通法上では道路ではない(道路交通法の適用がない)とする判例がいくつもあるわけでして。

道路交通法72条1項にいう「車両等の交通による人の死傷又は物の損壊があつたとき」とは、道路上における車両等の交通に起因する事故があつたときをいい、その道路とは、同法2条1号に定める道路をいうことは明らかであり、更に、所論ミユキ観光駐車場又はその一部が道路法に規定する道路又は道路運送法に規定する自動車道でないこともまた明白であるから、要は、所論場所が同条にいわゆる「一般交通の用に供するその他の場所」すなわち、現に不特定多数の人ないし車両等の交通の用に供されているとみられる客観的状況のある場所に該当すると認められるか認められないかにある。
ところで、記録及び当審における事実取調べの結果によれば、被告人が原判示第三の(二)で報告義務を履行しなかつたとされた事故を惹起した場所は、同原判示のとおり、岐阜県海津郡海津町馬の目103番地の1所在のミユキ観光駐車場内であるが、右駐車場は、同敷地内にあるミユキパチンコ店及びミユキ喫茶店の附属の駐車場で、右敷地は、東西約54メートル、南北約36メートルのほぼ長方形(但し、その東北角部分において約17メートルにわたつてすみ切りが施され、該部分が県道津島南濃線に接している。)の土地であり、右土地の東端にミユキパチンコ店の建物が、また南端にミユキ喫茶店の建物が建てられているが、その余の部分はアスフアルト舗装の広場であつて、その東側及び西側はいずれも水田に、南側は農道に、北側は排水路に面していること、右土地の正規の出入口は、前記東北角部分一か所のみであり、同所に門戸の設備はなく、守衛等も置かれていないこと、その駐車場の部分は、自動車一台ごとの駐車位置を示す白ペイントの区画線によつて仕切られているが、右駐車区画は、右広場の北側及び西側に接した部分、ミユキパチンコ店及びミユキ喫茶店の各西側部分等の周辺部分、更にそれら周辺部分から各通路部分を隔てた広場の中央部分にそれぞれ設けられていて、特にその利用者の制限等を示す標識等はなく常時一般に開放使用されていて、もとより管理人等も置かれておらず、前記パチンコ店及び喫茶店を利用する不特定多数の客が自由かつひんぱんに右駐車場内の駐車区画外の道路部分を通行して車両を駐車区画内に駐車させ、あるいは右通路部分を歩行して通行し、ことに、前記喫茶店を利用する客にとつて右通路部分は唯一の正規の進行路であるばかりか、右通路部分は、前記県道津島南濃線と南側の農道との連絡通路として付近の店舗等に赴く者や近隣の者の通行利用に供されることも稀でないこと、以上の事実が認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。以上認定の事実状態に徴すると、なるほど本件駐車場のうち駐車位置を示す区画線によつて仕切られた各部分は、これを前記「一般交通の用に供するその他の場所」ということが困難であり、これを道路と認めるべきではないが、駐車位置区画線のない通路部分は、同駐車場の一部としてこれを利用する車両のための通路であるにとどまらず、現に不特定多数の人ないし車両等が自由に通行できる客観的状況にあると認められるから、前記「一般交通の用に供するその他の場所」に包含され、したがつて、道路交通法にいわゆる「道路」に該当すると認めるのが相当である。所論引用の判例は本件と事案を異にして適切でない。

名古屋高裁 昭和56年7月14日

(3)本件駐車場には守衛,管理人等,これを常時管理する者はおらず,西側の出入口には柵,チェーン等の設備は何もなく常時開放されている。同出入口のそばには,「管理者」の名義で「下記の店舗(注 後記(4)の各店舗のことである。)へ御利用のお客様専用駐車場です。駐車場御利用の方は各店舗へ申し出て下さい。」「無断駐車された方は罰金10,000円を申し受けます。」などと記載された看板が設置されている。
(4)本件駐車場の南隣にはラーメン店「Aラーメン」(以下「本件ラーメン店」という。)があり,本件駐車場は,同ラーメン店及びこれと同じ建物にある7軒の店舗(以下「本件各店舗」という。)の経営者らが共同してこれを借り受け,同各店舗の客のための駐車場として供されている。同駐車場を管理している同各店舗の経営者らは,同各店舗の客らがこれを利用するについて何の制約も設けておらず,同駐車場内の交通について何の管理も行っていない。
(5)本件当時は深夜の時間帯であったが,本件各店舗のうち本件ラーメン店を始め数店舗が営業しており,現に同各店舗の客らが本件駐車場を利用していた。
(6)被告人は,本件公訴事実の日時ころ,本件ラーメン店を客として訪れ,本件駐車場に普通貨物自動車(軽四)を停めていたが,本件ラーメン店を出て自車に乗り,これを発進させて同駐車場中央部分を進行した。
以上の事実によれば,本件駐車場は,本件各店舗を訪れる客の利用する駐車場として供され,本件駐車場中央部分は,同各店舗を訪れ,自車を本件駐車場に停め,又は停めようとする客ら及びその自動車の通行に供されており,これらの客及びその自動車が同所を通行するに当たって何らの制約はなく,かつ,現にこれらの客及びその自動車が自由に通行していたことが認められる。道路交通法2条1項1号にいう一般交通の用に供するその他の場所とは,不特定多数の人や車両が自由に通行できる場所として供され,現に不特定多数の人や車両が自由に通行している場所を意味すると解されるところ,本件各店舗を訪れ,自車を本件駐車場に停め,又は停めようとする者及びその自動車は,だれでも本件駐車場中央部分を通行することができ,現に通行していたのであるから,同所は不特定多数の人や車両が自由に通行する場所として供され,現に不特定多数の人や車両が自由に通行していたものというべきである。したがって,同所は道路に当たると解するべきである。
もっとも,本件駐車場は全体として駐車のための場所であり,本件駐車場中央部分は本件各区画に車両を駐車し,又は駐車車両が本件各区画から公道に出るための通路にすぎないから,これを道路に当たると解すべきではないとの見解も考えられる。しかし,前記認定の本件駐車場の形状,利用状態,本件駐車場中央部分の広さ,同部分と本件各区画との位置関係等によれば,本件駐車場中央部分は,本件各区画に駐車する最大30台の自動車及びこれに乗車する者がその出入りに当たって通過し,複数の自動車及び歩行者が同時に通過することもまれではない場所であって,そこにおける交通の安全と円滑を図り,通行する自動車の運転者や歩行者の生命,身体に対する危険を防止する必要性の高い場所である。そして,本件駐車場の管理者は同所における交通について何の管理も行っていないのであるから,法律によりその交通を規制する必要性は高い。したがって,本件駐車場中央部分は,単に駐車のための場所というには止まらず,本件各区画とは独立して,本件各区画に駐車する不特定多数の自動車及びこれに乗車する者の通行する場所として道路に当たると評価すべきである。

大阪高裁 平成14年10月23日

本件運転場所は,車輪止めと店舗外壁との間であって,店舗の屋根が途中まで張り出しており,店舗の軒下の延長ともいえる商業施設の敷地であり,車輪止めによって物理的に自動車の通行ができず,コンビニエンスストアの利用客以外の不特定多数人が通行する場所でもないことから,道路には該当しないと考えられる。
なお,本件コンビニエンスストア駐車場の形状等からすると,駐車区画された部分は駐車場所であって,道路ではないが,駐車区画の東側は道路に該当し,駐車区画された駐車場所から東側すなわち道路へ出入りすることも道路の通行に該当するといえる。
しかし,被告人は,本件において,駐車区画された部分から,道路側へ自動車を発進させたのではなく,誤って駐車区画から道路の反対側に向けて発進させ,車輪止めを乗り越えさせてコンビニエンスストア建物の壁面に衝突させたのであって,道路へ発進させたものではない。
客観的に見て,被告人が,道路上を運転し,あるいは道路へ発進したものといえない以上,被告人に酒気帯び運転の故意があっても,道路交通法違反にはならない。

大分地裁 平成23年1月17日

 

駐車場の通路について道路とみなしても、駐車区画については道路と見なされないのが一般的。
そうなると駐車区画内でドアパンチしたことは道路交通法の適用がない可能性が高く、事故不申告も適用されない可能性が高いけど書類送検。

 

ここでちょっと考えたいのですが、「逮捕」や「書類送検」を刑罰と勘違いしている人が多いこと。
容疑があり身柄拘束しないと証拠隠滅や逃亡のおそれがあれば逮捕だし、犯罪の嫌疑があるなら書類送検するだけで起訴/不起訴を決めるのは検察。
ましてや有罪/無罪を決めるのは裁判所。

 

警察官が起こしたドアパンチということから、パフォーマンス的に書類送検しただけなんじゃないか?とすら思う。
不起訴になる可能性が高いけど、警察官という立場を考えて書類送検し検察に判断を委ねたような体裁にしただけなんじゃないですかね。
警察は犯罪の嫌疑があるなら書類送検することは何ら違法ではないし、書類送検後の判断は検察や裁判所のお仕事。

 

ドアパンチしておいて逃亡すること自体はダメですが、どこかパフォーマンス臭を感じてしまうのは私自身の偏りなのでしょうか?笑
そして、逮捕や書類送検は刑罰ではないのに、刑罰であるかのように誤解している人も勉強したほうがいいと思う。

 

「なぜ逮捕されないんだ!」みたいな話を時々見かけますが、逮捕する必要がなければ逮捕しないし、逮捕したかしてないかは裁判とは何の関係もない。
その意味では、「書類送検しました」みたいな報道よりも起訴/不起訴の報道じゃないと意味がない気もするけど、不起訴理由は開示しないのが通例だから結局同じか…

 

やり逃げは良くないよね。

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