こちらに書いた記事にご意見を頂いたのですが、
東京都では自転車リアライトについて「点灯を確認できる」と書いてあるように点滅はダメなのでは?
これも以前記事にしたか覚えてないけど、気になって警察本部に聞いたことがありまして。
リアライトの点滅は違反?
4都道府県に確認した結果、3つは「点滅は違反ではないが、幻惑灯火に当たると判断したときや点滅間隔の問題から声かけすることはあるかもしれない」です。
1つは回答拒否w
先に3警察本部の話。
幻惑灯火は77条4項7号(公安委員会禁止行為)に抵触するけど、要は夜間にハイパーフラッシュみたいなモードを使えば目潰しになる。
一方、点滅といってもやたら間隔が長く消えている時間が長いなら話が変わる。
これらは見てみないとなんとも言えないけど、点滅だから52条違反とは考えていないそうな。
理由は後述します。
回答拒否した警察本部は、3つの警察本部と基本的な考え方は同じです。
見てみないと判断できない以上、「点滅ならOK」みたいな回答はしないと。
気になるならリフレクターを併用するように言われました。
で、東京都道路交通細則のこれ。
第9条 令第18条第1項第5号の規定により軽車両(牛馬を除く。以下この条において同じ。)がつけなければならない灯火は、次に掲げるものとする。
(2) 赤色で、夜間、後方100メートルの距離から点灯を確認することができる光度を有する尾灯
法52条1項、令18条1項5号、細則9条2号を全て組み合わせて読むと、
(略)「点灯を確認することができる光度」を有する尾灯をつけなければならない
となるので、あくまでも求めているのは光度。
某警察本部の人も同じ説明でした。
結局「尾灯(灯火)をつける」という表現に点滅を含むかになるわけで、警察庁(国)の解説はこうなる。
前回回答のとおり、軽車両の灯火については、道路交通法施行令第18 条の規定に基づき、地域の実情に応じて、自転車の
運転者が前方を十分に視認できるよう、各都道府県公安委員会が定めることとされている。なお、道路交通法上、「灯火」には点滅も含まれ得る。各都道府県公安委員会が軽車両の灯火に関して定めた規定に該当するかどうかは、それぞれの都道府県公安委員会が判断すべきことであり、当庁が判断すべきものではなく、ガイドライン等を発出することは妥当ではない。具体的な事項については、前回回答のとおり埼玉県公安委員会に相談されたい。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kouzou2/jyoukyou/2007/10/pdf2/vote/npa.pdf
警視庁の解説にしても、条文からするとフロントライトに限定した話ではないワケです。
実際、ママチャリ(電動アシスト自転車)についているリアライトって余裕で点滅してません?
注意して見てみるとわかるかと。
で。
条文解釈からすれば点滅だからといって必ずしも52条違反とは言えない。
ここから先は裁判所のお仕事ですが、現実的には点滅リアライトと点灯リアライトを組み合わせるのが吉。
回答拒否した警察本部についても、ワケわからん切り抜き解釈されたくないから回答拒否になるわけで、ハイパーフラッシュのような「点滅リアライト」を夜間に使えば幻惑灯火になり違う違反になりうる。
ハイパーフラッシュじゃなくても、異常に明るいリアライトを点滅させたら残像のようになり幻惑効果があるわけで、だから「見てみないと判断できない」となるわけ。
ワケわからん切り抜き解釈されたくないから回答拒否することになりますが、行政に質問すると回答拒否とか話を濁すことはそれなりにありますよ。
それこそだいぶ前に、「38条2項は対向車を含むか?」について質問したところ
「安全のためには一時停止したほうがいいですね!」
と話をすり替えられたことも。
それはわかっているので、38条2項の解釈は…
「点滅はOK」だけを切り抜くと
東京都(警視庁)はこういう説明ですが、
このたびは、警視庁に対する御意見をいただき、ありがとうございます。
夜間における自転車の点滅式ライトでの走行について、警視庁の取組を御説明します。
点滅式ライトの使用自体は道路交通法等に違反するものではありませんので、同ライトの使用のみをもって取り締まることはできません。
なお、同ライトの角度や使用法等によっては、他の車両の運転者等をげん惑させるおそれがありますので、事故防止のため、引き続き、現場における指導を徹底して参ります。
今後とも、警視庁の活動に御理解と御協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
(警視庁)
別紙 交通安全|東京都
まさか「点滅はOK」だけを切り抜きして、
なんて読み方をする人がいるとは思えないけど、「同ライトの角度や使用法等によっては、他の車両の運転者等をげん惑させるおそれがありますので」とはこれの話。
第17条 法第76条第4項第7号の規定による道路における禁止行為は、次に掲げるとおりとする。
(3) 車両の運転者の目をげん惑するような光をみだりに道路上に投射すること。
「点滅OK」だけを切り抜きするバカがいたら、かなりまずい。
要は警視庁の解説って、点滅ライトが必ずしも52条1項違反とは言えないけど、幻惑灯火なら76条4項7号違反になるから注意指導することもありますよという意味ですよね。
幻惑灯火に該当するかどうかは見てみないとわからないけど、かなり明るいライトを点滅にして水平照射すりゃ幻惑灯火になる可能性が高いことくらいわかる。
その意味では、無条件に点滅なら違反にならないとは言えないわけで、回答拒否する警察本部があるのも納得できる。
グレーゾーンだから
前回記事にも書いたけど、「グレーなことを行政に質問すると原則NGの回答しか来ない」説。
そういうこともあるけど、わりとそんなことないのよね。
むしろ回答拒否みたいな話は多い。
私が行政訴訟した際も、自治体の法解釈が正しいのか国に質問したことがありますが、
「…自治体の解釈に国が関与できないので、不服があれば裁判してもらうしかない」
「…自治体の解釈が正しいとも間違っているともお答えしかねる」
回答拒否なのよ。
要はあの人たちは合法/違法をジャッジする立場にないのだから、余計なことを言って責任問題になりたくないわけ。
なので前回記事に書いた「説」自体が不思議だし、リアルな世界とはかけ離れた話をする人もいるんだなあと思ってみてましたが、リアライトの点滅にしても常識的な範囲なら違反とは言えないのかと。
けど、「常識的な範囲」という意味を拡大解釈する人もいるから、回答拒否したほうがマシという話にもなる。
警視庁のフロントライトの解説にしても、「点滅は違反ではない」だけを切り抜きされたら困るわけ。
「点滅は違反ではないが、幻惑灯火は注意指導する」でしょ。
いきなり検挙するのはなかなか難しいので、注意指導になるのは当然。
警視庁/東京都の解説にしても、なぜか「幻惑灯火は注意指導」をすっ飛ばして読み、「よーし!ハイパーフラッシュを使おう!」みたいな人も残念ながらいるわけですが、
少なくとも、自分が喰らって不快感がない使い方なのは必須でしょう。
リアライトの点滅にしても、結局最終的には常識的範疇の問題なのよね。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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