先日取り上げたこちら。
事故 ドラレコ pic.twitter.com/C2qxLEGR5m
— タカ王子★ -旅人- 天空のキャンプ場 公開中 (@takaohjitabijin) January 12, 2023
要はこれ、双方ともに違反がある。
クルマ | 自転車 |
徐行(42条1号) | 一時停止(43条) |
これについて「双方やることやろうや」という理由は、どっちが加害者になるか被害者になるかなんて所詮結果論に過ぎず、交差点に進入する前にはそれがわからないからです。
Contents
自転車が加害者になるケース
例えばこんな判例があります。
自転車は一時不停止のまま交差点に進入し、国道を直進していたオートバイと衝突。
オートバイ運転者は投げ出されて対向車に轢かれて死亡した事件です。
自転車は重過失致死罪で有罪(福岡高裁平成22年3月10日)。
一時不停止により加害者になるケースは他にもあります。
静岡市駿河区で自転車を運転し、交差点の一時停止を無視して死亡事故を起こしたとして、重過失致死罪に問われた静岡市葵区、農協契約職員の被告の男(25)に対し、静岡地裁は21日、禁錮10月、執行猶予3年(求刑・禁錮10月)の判決を言い渡した。
判決によると、男は昨年9月19日午前7時頃、静岡市駿河区小鹿の交差点で自転車を運転中に一時停止の標識を無視し、静岡市葵区の大橋貴之さん(当時50歳)の原付きバイクと出合い頭に衝突した。大橋さんは転倒し、3日後に死亡した。現場に信号機はなく、見通しは悪かった。
自転車で一時停止を無視、衝突されたバイク男性死亡…「注意義務あった」と有罪判決【読売新聞】 静岡市駿河区で自転車を運転し、交差点の一時停止を無視して死亡事故を起こしたとして、重過失致死罪に問われた静岡市葵区、農協契約職員の被告の男(25)に対し、静岡地裁は21日、禁錮10月、執行猶予3年(求刑・禁錮10月)の
このような事例はいくつか見当たりますが、例えばこの交差点。
自転車が一時不停止のまま交差点に進入した場合、可能性はこうですよね。
②他の自転車やオートバイなど2輪車がケガ又は死亡する
③偶然何も起きなかった
そして徐行義務を怠ったクルマが加害者になるか被害者になるかもビミョーなのよ。
たまたま歩行者や自転車が飛び出してきたなら加害者になるだろうし、クルマが飛び出してきたなら加害者にも被害者にもなる。
双方やることやろうや、としか言えないよね。
そしてタイムリーなことにこのような報道が。
埼玉県宮代町で昨年11月、20代の男性が乗る自転車が歩いていた50代の女性に衝突し、女性が足の骨を折る重傷を負った。男性は県が条例で義務付けている自転車保険などに未加入で、女性の医療費と慰謝料の賠償額は200万円を超える見通し。女性は取材に「自転車も車のように安全運転し、保険に入ってほしい」と警鐘を鳴らす。男性は今年1月に重過失傷害罪で略式起訴され、5月に罰金40万円を納付した。
事故発生状況報告書と事故証明書などによると、昨年11月18日午前9時40分ごろ、当時学生だった男性は同町国納で一時停止義務のある町道交差点を停止せずに左折し、路側帯の方に侵入して歩行中の女性と衝突。前方の車輪付近が女性の右足に強く当たり、女性は転倒した。
「自転車保険に入っておけば…」ある男性の後悔 賠償額は200万円超か、歩行者と衝突、骨折させて:東京新聞 TOKYO Web埼玉県宮代町で昨年11月、20代の男性が乗る自転車が歩いていた50代の女性に衝突し、女性が足の骨を折る重傷を負った。男性は県が条例で義...
重過失致死傷罪で罰金刑の場合、被告人が同意していれば略式起訴対象。
略式は判例として判決文があるわけじゃないから検索しても出てこないけど、そこそこあるんじゃないかと思ったりする。
当然クルマには徐行義務が
事故 ドラレコ pic.twitter.com/C2qxLEGR5m
— タカ王子★ -旅人- 天空のキャンプ場 公開中 (@takaohjitabijin) January 12, 2023
クルマには徐行義務(42条1号)がありますが、この感じだと歩行者相手でも事故っている。
横断歩道がない交差点では歩行者優先の原則もありますが、
第三十八条の二 車両等は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない。
徐行義務(42条1号)は38条の2を担保する規定とする見解もありますが、
「自転車が一時停止していれば事故ってないだろ!」
という主張は、要は自分の徐行義務違反を棚に上げている。
この主張の問題点は、結局水掛け論にしかならないことと所詮結果論なのよ。
クルマ「自転車が一時停止していれば事故ってないだろ!(自分の徐行義務違反は無視)」
自転車「クルマが徐行義務を果たせば事故を回避できただろ!(自分の一時不停止は無視)」
加害者にも被害者にもなるのだし、双方やることやろうやとしか言えないのよね…
きちんと徐行していたのに防げなかった事故や、一時停止して確認したのに高速度で突っ込んできたような事故なら、裁判所はちゃんと無罪にしている。
やることやろうやとしか言えないのよね。
徐行義務と一時停止の関係については様々判例がありますが、例えばこういうの。
自分の違反を棚に上げて他人の違反を糾弾しても、無理筋としか言えない。
そもそも徐行義務は何のためにあるのか知らない人もいるのですが、
一時停止義務も38条の2を担保する規定だとされますが(注解特別刑法 第1巻 交通編1、第2版、青林書院、259~260ページ)、徐行や一時停止を怠れば何かが起きやすくなるのは当たり前かと。
たまたま被害者になるか加害者になるかは結果論。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント