選挙期間中は道路交通法違反ネタは絶えませんが、
これって道路交通法違反にはならないの?
国会議員として常識ないね。
真似する人が出て事故になるとか考えない人なんだね。
スタッフも進次郎を止めてないし。
#小泉進次郎 #衆議院議員選挙 pic.twitter.com/r0fu1ALFpe— ぴろん🇯🇵 (@pirooooon3) October 21, 2024
道路交通法違反については置いといて、箱乗りし頭を出している以上、豆腐の角に頭をぶつけて負傷ないし死亡する可能性は否定できない。
仮に進次郎氏に何か起きてしまった場合に、任意保険はおりるかについて解説してみようと思う。
箱乗りと搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険にはこのような規約がありまして。
自家用自動車普通保険契約の搭乗者傷害条項は、「被保険自動車の正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」に対して、所定の保険金を支払う旨定められている。
箱乗り進次郎氏を「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」と見なせるか?が問題になる。
こんなくだらない判断をした判例があるのかというと、最高裁判所第一小法廷 平成元年3月9日にあるのよ。
自家用自動車保険普通保険約款の搭乗者傷害条項一条にいう「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」とは、当該乗車用構造装置の本来の用法によつて搭乗中の者をいうものと解するのが相当である。原審の適法に確定したところによれば、亡Dは、本件事故当時、E運転の普通乗用自動車の助手席の窓から上半身を車外に出し、頭部を自動車の天井よりも高い位置まで上げ、右手で窓枠をつかみ、左手を振り上げる動作をしていたというのであつて、かかる極めて異常かつ危険な態様で搭乗していた者は、乗車用構造装置の本来の用法によつて搭乗中の者ということはできず、「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」に該当しないものというべきである。
最高裁判所第一小法廷 平成元年3月9日
②右手で窓枠をつかみ(一致)
③左手を振り上げる動作をしていたというのであつて(一致)
かかる極めて異常かつ危険な態様で搭乗していた者は「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」に該当しないとし、保険金の支払い対象ではないとする。
まあ、自賠法3条/民法709条による損害賠償責任はあるだろうし、自賠責保険は支払われるでしょうけど。
運行供用者とみなされれば自賠法でいう「他人」ではない問題もあるのだろうか。

正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者
「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」に該当するかしないかは他にも最高裁判例がある。
一 原審の適法に確定した事実関係は、次のとおりである。
1 Dは、その所有する普通乗用自動車(以下「本件自動車」という。)につき、昭和六二年五月二四日上告人との間で、搭乗者傷害保険を含む自動車保険契約を締結した。右保険契約中搭乗者傷害保険に関する部分は、自家用自動車保険普通保険約款中の搭乗者傷害条項(以下「搭乗者傷害条項」という。)に従ったもので、「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」を被保険者とし、被保険者が被保険自動車の運行に起因する急激かつ偶然な外来の事故により身体に傷害を被り、その直接の結果として、事故の発生の日から一八〇日以内に死亡したときは、死亡保険金五〇〇万円を被保険者の相続人に支払う旨の条項が含まれていた。
2 昭和六二年一〇月四日、広島県福山市内の国道上において、Dの運転する本件自動車が転回中に後方から走行して来た大型貨物自動車に追突され(以下、右事故を「本件事故」という。)、本件自動車に同乗していたEは右事故により脳挫傷等の傷害を負い、同月六日死亡した。被上告人らはEの父母であり、その相続人である。
3 本件自動車はいわゆる貨客兼用自動車であり、後部座席の背もたれ部分を前方に倒して折り畳むことにより、折り畳まれた後部座席背もたれ部分の背面と車両後部の荷台部分とが同一平面となってこれを一体として利用することができる構造になっていた。本件事故当時、本件自動車の後部座席は折り畳まれた状態で、右の場所には洗剤、鍋等の商品が積まれていたが、Eは、右の場所に商品の脇に少し身体を起こした状態で横たわって乗車していたところ、前記大型貨物自動車に追突された衝撃により、本件自動車後部の貨物積載用扉が開き、右商品と共に路上に投げ出された。
二 原審は、右事実関係の下において、いわゆる貨客兼用自動車の後部座席は座席としても荷台としても使用することができる構造になっているから、もともと人間が搭乗しないという前提で設計されている乗用車のトランク又は貨物自動車の荷台等とは異なり、たまたま後部座席の背もたれ部分を折り畳んで使用していたからといって、直ちに「正規の乗車用構造装置のある場所」でなくなったということはできないとし、Eは搭乗者傷害条項にいう「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」に当たると判断して、前記保険契約中の搭乗者傷害保険に関する条項に基づき死亡保険金の支払を求める被上告人らの請求を認容した。
原審は「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」に当たるとし保険金を支払うよう命じた。
しかし最高裁が破棄。
搭乗者傷害条項にいう「正規の乗車用構造装置のある場所」とは、乗車用構造装置がその本来の機能を果たし得る状態に置かれている場所をいうものと解するのが相当である。けだし、右条項にいう「乗車用構造装置」とは、車両に搭乗中の者が車両の走行による動揺、衝撃等によって転倒、転落することを防止し、その安全を確保するための装置をいうものと解すべきところ、搭乗者傷害条項は、車両に搭乗中の者が、右装置が本来の機能を果たし得る状態に置かれている場所に搭乗していたにもかかわらず発生した事故によって生じた損害を補填することを目的とするものであって、それ以外の場所、すなわち右装置が本来の機能を果たし得ない状態に置かれている場所に搭乗中に発生した事故による損害まで補填しようとするものではないというべきだからである。
前記事実関係によれば、本件事故当時Eが乗車していた場所は、いわゆる貨客兼用自動車の後部座席の背もたれ部分を前方に倒して折り畳み、折り畳まれた後部座席背もたれ部分の背面と車両後部の荷台部分とを一体として利用している状態にあったというのであるから、右の状態においては、後部座席はもはや座席が本来備えるべき機能、構造を喪失していたものであって、右の場所は、搭乗者傷害条項にいう「正規の乗車用構造装置のある場所」に当たらないというべきである。最高裁判所第三小法廷 平成7年5月30日
まあ、道路交通法違反については、進次郎氏クラスになると正当業務行為になるのでしょうか?()
頭部を自動車の天井よりも高い位置まで上げ、右手で窓枠をつかみ、左手を振り上げる動作をしていたというのであつて、かかる極めて異常かつ危険な態様で搭乗していた者は、乗車用構造装置の本来の用法によつて搭乗中の者ということはできず、「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」に該当しないものというべき
ちなみにこの最高裁判例は、こんな事故。
助手席にいた亡Aがその場で立ち上がるか若しくは座席にあがるか(亡Aは靴を脱いで乗車していた。)したうえ、助手席側窓から上半身を車外に出して頭部を自動車の天井より高い位置まで上げ、右手で上の窓枠をつかみ、左手で拳骨をつくつて振り上げる動作をしていたところ、本件自動車前部が進路左側電柱に衝突し、同人も頭部を電柱に衝突させ、頭蓋骨骨折等により死亡した
極めて危険。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
「出ないで出ないで」って叫んでるのは進次郎氏に対して?w
箱乗りが許されるのは警護車列を維持するために周りの交通にアピールするSPぐらいかな
最近アピールしなかった場合の例として石破首相の警護車列が事故りかけてましたねw
コメントありがとうございます。
「出ないで」は、保険金の話じゃないですかね()
保険金が出ないことをアピール中だとしたら、なかなかよくわかっている人なのかも。