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「まだ最高裁があるじゃないか!」は真実か?

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こちらの件が話題になってますが、

10歳が乗る自転車が赤信号無視し、過失割合は自転車が100%。
なかなか興味深い記事が出ています。10歳児童が運転する自転車と乗用車の衝突事故で、過失割合は自転車が100%-。修理費用を巡る訴訟で、こんな判決が下された。幼児からお年寄りまで、幅広い年齢層に利用される自転車だが、道路交通法上はれっきとした...

概略を説明すると、赤信号無視の自転車(10歳)と青信号を徐行通過したクルマが衝突し、小学生にケガはなかったもののクルマが破損。
クルマの運転者がクルマの修理代金を求めて提訴した事件です。
簡裁、地裁ともに自転車側の過失を100%と認定したそうですが、交通法規上徐行義務がない青信号交差点を徐行していたクルマに過失を見いだすのは難しいので、判決は妥当かと。

 

ところでこの件は自転車側が上告したそうですが、一審が簡裁なので上告審は高裁になります。
高裁への上告理由は「判決が不服」ではできなくて、憲法解釈の誤りか、裁判手続きの違法、判決に影響を及ぼす明らかな法令違反に限定される。

(上告の理由)
第三百十二条 上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる
2 上告は、次に掲げる事由があることを理由とするときも、することができる。ただし、第四号に掲げる事由については、第三十四条第二項(第五十九条において準用する場合を含む。)の規定による追認があったときは、この限りでない。
一 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
二 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
二の二 日本の裁判所の管轄権の専属に関する規定に違反したこと。
三 専属管轄に関する規定に違反したこと(第六条第一項各号に定める裁判所が第一審の終局判決をした場合において当該訴訟が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときを除く。)。
四 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
五 口頭弁論の公開の規定に違反したこと。
六 判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること。
3 高等裁判所にする上告は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由とするときも、することができる

ところで、「まだ上告審があるじゃないか!」は真実か?という問題があって、確かに上告審は存在している。
高裁への上告により原判決が破棄されるケースはどれだけあるのでしょうか?

高裁上告件数 弁論件数 原判決破棄件数
2023 435 8 3
2022 424 14 8
2021 383 12 8

最高裁への上告にしても原判決破棄は1%かそれ以下ですが、そもそも憲法違反その他若干しか上告理由が認められてないことや、原判決破棄率が1%程度だという現実をみれば、報道内容をみる限り上告して何か変わりそうな雰囲気は皆無に等しい。

 

上告するにも費用がかかるし、弁護士に依頼すれば当然上告理由書の作成費用がかかるので、こういう事案って弁護士は受けたがらないもの。
勝てない可能性がほぼ確実なのに、顧客に費用を負担させるのは顧客の利益に反するし、何よりちゃんと「勝てない理由」を説明してそれでも構わないから上告してくれと言われたとしても、敗訴すると顧客から恨まれるリスクすらあるわけよ。

いろんな人
いろんな人
勝てないのがわかっていたなら、もっと全力で止めて欲しかった!
管理人
管理人
…(だから勝てない理由は説明して全力で止めたじゃんかよ)
いろんな人
いろんな人
勝てなかったのは弁護士の腕が悪いから。
管理人
管理人
…(誰がやっても同じですって…)
いろんな人
いろんな人
あの弁護士が全力で止めてくれなかったのは、着手金が欲しかったのだろう。
カネ目的の弁護士だ!
管理人
管理人
…(着手金だけではむしろ赤字ですが…)

勝てない理由を説明してもいざ負けたら恨まれるリスクがあるので、あの事件は弁護士を立てずに本人訴訟なのか?と思ってしまう。

 

ほとんどムリな案件って、お金をもらっても受けたくないよね。
例えば、自転車チェーン用の洗浄液をショップに持ち込んで「これで完全脱脂して欲しい」と言われたとする。
持ち込みOKのショップなら仕事として受ける可能性はありますが、お客さんがこんなことを言い出したら考えてしまう。

読者様
読者様
完全脱脂して注油すれば、平地での巡航速度が簡単に5キロアップすると聞いたからです!
管理人
管理人
!?

この仕事を受けた場合、平地での巡航速度が5キロアップしなかったなら、ショップのせいにされかねない。

読者様
読者様
平地での巡航速度が5キロアップしなかったけど、あのショップは手抜きしたか腕が悪いのではないか?

どんだけ「5キロアップはムリ」だと事前に説明しても、いざ仕事として受けた後に5キロアップしなかったならショップのせいにされかねない。
なのでうまく濁して断りたいわな。
けど断り方を間違うと、

読者様
読者様
持ち込みOKと謳っているのに断られた!
客を選ぶクソショップです!

と言われかねない。

 

なので「5キロアップの元ネタ」からきちんと否定しないと大変なことになりますが、なにせ元ネタ発信者は何の根拠も条件も書かずに「簡単に5キロアップ」なんて発信するからタチが悪い。

 

「まだ上告審があるじゃないか!」として上告する権利はありますが、報道から見てとれるのは上告してもほとんど可能性がない。
なぜ上告したのか不思議ですが、ほぼノーチャンスな事案にしか見えないのよね。
自力で上告するにも費用が掛かりますが、なぜ争っているのか不思議です。

 

けど裁判やっていると、謎のアドバイスをしてくる人が出てくるのよ。
私のときも、謎の政治団体を紹介してくる人すらいましたし、マスコミからも記事にしたいから取材させてくれと連絡が来ましたが…全部断って正解だったなと。

 

なお当該事案を検索してみましたが、それらしきものは見当たりませんでした。
自転車過失が100になるのは事案が多いとは言えませんが必ずしも珍しいわけでもないし、徐行して注意を払い青信号を通過しようとした原告に過失を認めるのは難しいので、判決自体は妥当だと思われますが…

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