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ロードバイクが事故破損したときに、減価償却はどうなるか?

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荷物が輸送事故で破損した事例のようですが、若干気になるところ。

今のところこの方と運送屋が揉めているのかなと思いますが、民事って基本的には「請求する側」(この場合はこの人)が計算根拠を立証するのであって、運送屋の一方的な計算に合意せず争うのは自由なのよね…

 

運送屋の主張は、税法上の法定耐用年数での減価償却が妥当だと言っているわけでしょ。
これについては、合意しないことも可能。

思うに、交通事故により自動車が損傷を被つた場合において、被害車輛の所有者が、これを売却し、事故当時におけるその価格と売却代金との差額を事故と相当因果関係のある損害として加害者に対し請求しうるのは、被害車輛が事故によつて、物理的又は経済的に修理不能と認められる状態になつたときのほか、被害車輛の所有者においてその買替えをすることが社会通念上相当と認められるときをも含むものと解すべきであるが、被害車輛を買替えたことを社会通念上相当と認めうるがためには、フレーム等車体の本質的構造部分に重大な損傷の生じたことが客観的に認められることを要するものというべきである。
また、いわゆる中古車が損傷を受けた場合、当該自動車の事故当時における取引価格は、原則として、これと同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価額によつて定めるべきであり、右価格を課税又は企業会計上の減価償却の方法である定率法又は定額法によつて定めることは、加害者及び被害者がこれによることに異議がない等の特段の事情のないかぎり、許されないものというべきである

 

最高裁判所第二小法廷 昭和49年4月15日

要は、本来の原則はこっちなのよ。

原則として、これと同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価額によつて定めるべき

とはいえロードバイクの場合、中古市場がクルマのように確立されているわけでもないし、「同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離」のデータもないから税法上の概念で代用しようとしているのが保険屋。
例えば比較的最近の事例では、ロードバイクの耐用年数を5年として計算した京都地裁 平成27年7月29日判決もあるし、先日紹介したように購入一年で60万→15万とした判例もあるわけで、個別の事情による。

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要は民事って交渉事なので、相手の理屈がおかしいと思うなら自分で調べて有利な判例を添付して、相手の理屈が間違いだと納得させないと変わらないのよね。

 

まあ、相手は相手なりに有利な判例を探してくるだけなので、最終的には多少の妥協をするか、もしくは裁判するかになってしまいますが。

 

そもそも本来、運送屋に計算させる前に自分で調べて「同車種、同年式の再購入価格が○○万であることから○○万請求します」とか「再購入価格の基準がなく、京都地裁判例から耐用年数5年として計算したところ✕✕万になるため✕✕万請求します」として請求する側から具体的数字を出すべきところ、運送屋に計算させるとこうなる。

 

若干気になるのは「入金予定」とあることをみると、運送屋の主張に合意しちゃってますよね…
民事は双方が合意したらそれで決まりになるので、「X」で不満をぶちまけるくらいなら合意しないほうがいいと思うのですが…

 

わりとこういう話って交渉次第であっけなく主張が通ることもあるのよね。
あとになって不満をぶちまけても、一円たりとも増額されませんから…

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