先日の記事に質問を頂いたのですが、こちら。


この件ですよね。

https://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/kisha_01916.pdf
結論からいうと違反になる。
Contents
自転車専用通行帯の「中」では追い越し禁止
要はこれが違反になる。
正解はこちら。
理由はこれ。
第二十条
2 車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。
3 車両は、追越しをするときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。
20条3項の規定により、追い越しする車両は右側の通行帯を「通行しなければならない」なので、同一通行帯内での追い越しは違反になる。
「通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない」とは
車両が本来通行しなければならないとされている車両通行帯の中で追い越した場合、その通行帯とその直近の右側の通行帯とにまたがって通行しながら追い越した場合、直近の右側の通行帯のさらに右側の通行帯で追い越した場合には、いずれも本項違反となる<同旨 法総研81ページ>
東京地方検察庁交通部研究会、最新道路交通法事典、東京法令出版、1974
車両通行帯の趣旨はあくまでも通行帯の中は一つの車両という趣旨で、自転車専用通行帯はその趣旨に基づいて幅員が設定されているので(施行令1条の2で車両通行帯の幅員が最小1mに設定されているのは、当然自転車通行帯をイメージしている)、
そもそもこれがアウトだという前提なのよね。
ただまあ、ややこしいことにこれは違反にならない。

◯違反
◯違反ではない
何が違うかというと、道路交通法上「追い越し」の定義に理由がある。
車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。
「他の車両等に追い付いた場合」というのは、法26条でいう車間距離に迫った状態を意味する。
追い付いてから進路を変えるのが追い越しだと定義しているので、こっちは追い越しだけど、
下記は追い付く前に進路変更したので、追い越しではなく「追い抜き」なのよ笑
なので追い付く前に進路を変えて側方通過する分には、自転車専用通行帯内でも可能。
ただし、それが「安全にできる」幅員には見えませんが。
現実的には
違反の成立はさておいても、同一通行帯内で「安全に」追い抜きできる幅員はない。
通行帯の趣旨からすると、そもそも同一通行帯内で追い越しすることを想定してないからこういうことになりますが、
無理して右側の通行帯に出ると、ポールに引っ掛けて爆死するリスクもあれば、ポールを気にして右側通行帯の後方確認が疎かになることも想定される。
なのでムリに追い越しや追い抜きせずに追従するのが吉かと。
この手の話って、要は法律と実情が合わないのに見直ししないまま「法律に従って」道路構造を設計するからバグが起きる。
なので本質的には先に法律を見直さないと、いくらでもバグが起きるしどこかに皺寄せが来るのは当たり前なのよね。
自転車同士であっても、至近距離の追い抜きが危険なのは言うまでもないし、先に行きたいなら右側の通行帯から追い越しするしかありませんが、
細かいことをいうと、「追い付く前」に右側の通行帯に出ると「追い越し」ではないので通行帯違反()なのよね笑。
20条3項は追い越し時に例外的に違う通行帯から通行してよいとするので、「追い付く前に進路変更」だと「追い越しではない」ことになりますが、現実的には細かすぎてルーズに運用せざるを得ないでしょう。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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