わりと意味がわからないのですが、読者様からの情報。

歩道に破線を設けて歩行者と自転車を分離する取り組みらしい。
何が意味不明かというと、道路交通法/標識令では「特例特定小型原動機付自転車・普通自転車の歩道通行部分(114の3)」という正規の道路標示がありまして、
正規の道路標示を設置すりゃいいものを、なぜか疑似標示を使う点。
「なぜなのか?」と読者様から質問を頂いたのですが、たぶん。
「特例特定小型原動機付自転車・普通自転車の歩道通行部分(114の3)」は公安委員会の規制になりますが、警察庁が設置基準を示している関係上、下記のどれかに引っ掛かると警察的にはNGを出すわけでして…
1 歩道の有効幅員、特定小型原動機付自転車、普通自転車及び歩行者の交通量、沿道や道路の状況等の調査と歩行者に与える影響等から実施の可否を判断すること。
2 歩道幅員が3メートル未満の歩道における特例特定小型原動機付自転車・普通自転車歩道通行可の規制の実施は、原則として車道における特定小型原動機付自転車及び自転車専用の通行空間の確保が困難である場合であって、大型自動車等の混入率が高い等、特定小型原動機付自転車及び普通自転車の車道通行が危険であると認められる場合又は歩道における特例特定小型原動機付自転車及び普通自転車と歩行者の交錯の危険性が低いと認められる場合に限定すること。
3 歩道への乗り入れ部に段差がある場合は、歩道が切り下げられるように努めること。
4 道路標示「特例特定小型原動機付自転車・普通自転車歩道通行可(114の2)」及び「特例特定小型原動機付自転車・普通自転車の歩道通行部分(114の3)」は、道路標識「普通自転車等及び歩行者等専用(325の3)」を設置しなくても特例特定小型原動機付自転車及び普通自転車が歩道を通行できることとする効果があることに留意すること。
5 普通自転車専用通行帯規制が実施されている場合は、原則として本規制を実施しないこと。
6 自転車道が設置されている場合は、普通自転車は原則として自転車道を通行しなければならないため、本規制を実施することができないことに留意すること。
7 特例特定小型原動機付自転車・普通自転車歩道通行可の規制を実施している道路において、特例特定小型原動機付自転車のみをその対象から除く場合は、次の場合に該当する歩道とすること。
(1) 普通自転車と歩行者の交錯の危険性は認められないが、特例特定小型原動機付自転車の交通量が多いなど、普通自転車と特例特定小型原動機付自転車の混在通行によって歩行者の通行に支障があると認められる歩道
(2) 十分な幅員はないが、保育施設等が存在するため幼児を同乗させている普通自転車の交通量が多いなど沿道の状況により普通自転車の歩道通行についてやむを得ない理由がある歩道8 特例特定小型原動機付自転車・普通自転車の歩道通行部分を指定する場合は、次の事項に留意すること。
(1) 通行部分を指定する場合は、歩道の車道寄りを指定することとし、通行部分の幅員は原則として1.5メートル以上を確保すること。また、特例特定小型原動機付自転車、普通自転車及び歩行者のいずれもが安全、かつ、円滑に通行できるようにそれぞれの通行実態に見合った配分とすること。
(2) 通行部分を指定する場合は、歩道の幅員、歩道上の植樹、街灯、道路標識等の道路の附属物、その他工作物の設置状況に十分配意すること。留意事項
道路標示「特例特定小型原動機付自転車・普通自転車の歩道通行部分(114の3)」を設置する場合には、歩道上に植樹桝、電話ボックス、視覚障害者誘導用ブロック等が設置されている区間又は場所で自転車の通行に支障がある場合はその区間又は場所には表示しないこと。
警察にNGを出されたから、道路管理者が疑似標示を使った程度の話じゃないでしょうか?
まあ、規制標示ならカネを出すのは警察、疑似標示なら道路管理者がカネを出すことになるので、大人の事情という予算の枠組み問題の可能性もありますが…
とは言え、警察的には「げんそく!しゃどう!」の立場なので、歩道通行指定部分には乗り気じゃない可能性もある。
日本は今「疑似」が溢れているんですよ。
疑似自転車レーンもあるし、夜の街を歩けば疑似プレイのお店がたくさんある。
本番の「普通自転車通行指定部分」はダメだけど、疑似普通自転車通行指定部分ならOKなんですかね。
そもそも「歩道の中央から車道寄り」となっている以上、本番標示の有無に関係なく車道寄りしか走れませんが、規制というよりも単なる目安に近いのよね。
特定小型原付との絡みで「通行指定部分」を設置するのを嫌がった…というわけではなさそう。
なにせ「普通自転車等及び歩行者等専用(325の3)」の標識がついている以上、通行指定部分の有無に関係なく特例特定小型原付は通行可能だし。
疑似だろうと本番だろうとあまり実情とは関係しない気がしますが
疑似を多用するのも混乱の原因になるし、やるなら本番にすべきなのよ。
ちなみに最近は、公安委員会が指定した正規の車両通行帯のことを「石橋」、公安委員会が指定してない疑似車両通行帯を「木梨」と呼ぶのがツウだと言われております。
本番アリが「石橋」になった。
「○○は石橋」の記載は「顔が石橋に似てる」ではなく「本番アリ」を意味するのだと分かった時には達成感で満たされたが、その後「裁判官にどう説明すれば…」という難題に頭を抱えることになる。
10年以上前の話だが、今でもとんねるずを見るたびにこの話を思い出す。— 弁護士 関口 郷思(せきぐち さとし) (@sekiguchisatosh) January 25, 2024
「あそこは片側二車線の石橋」とか、「あそこは三車線でも木梨」と呼ぶ。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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