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運転者が褒められるべき事案。

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ちょっと前に、自転車(小学生)が赤信号無視してクルマと衝突したものの、運転者が「青信号にもかかわらず徐行」していたことからケガに至らなかった事案がありましたよね。

10歳が乗る自転車が赤信号無視し、過失割合は自転車が100%。
なかなか興味深い記事が出ています。10歳児童が運転する自転車と乗用車の衝突事故で、過失割合は自転車が100%-。修理費用を巡る訴訟で、こんな判決が下された。幼児からお年寄りまで、幅広い年齢層に利用される自転車だが、道路交通法上はれっきとした...

自転車に乗る小学生がクルマを破壊したことから、運転者が提訴して小学生側の過失が100%(過失相殺を認めず)。
ポイントになるのは青信号にもかかわらず、見通しが悪かったことから徐行していたところになりますが(徐行していなかったなら無過失は厳しい)、イメージはこう。

ところで、こういう意見って法をガン無視な上に、公平さすら感じない暴論と言えますが

そもそも法を理解していないのではなかろうか。

 

この事案は自転車がクルマを破壊したという物損事故ですが、民法による不法行為責任として損害賠償した。
より正確にいえば、小学生に責任能力はないと考えられるので、保護者の監督責任の問題。

(責任能力)
第七百十二条 未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。
(責任無能力者の監督義務者等の責任)
第七百十四条 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない

さて。
過失相殺をしてクルマ側にも過失をつけるならば、クルマに過失が必要になる(民法722条2項)。

第七百二十二条
2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

この場合「被害者」はクルマを破壊された運転者になりますが、このような意見を述べる人は、

運転者にどのような「過失」があったと考えているのだろうか?

 

徐行義務が青信号交差点にもかかわらず、運転者は見通しが悪いことを考慮し徐行した。
「過失」は具体的に示さないと成り立ちませんが、前方不注視?
見通しが悪いのに徐行していたことからも、運転者は赤信号無視の飛び出しを相当程度考慮していたと考えられるので、徐行していた以上の注意義務を要求するとなると

 

「青信号でも進むな」

 

しかないのよね…
そんな過失が認定されるわけもない。
「青信号にもかかわらず進行した過失」なんて認定された日には、全米が震撼するような珍事でしかない。

 

こういう意見の怖いところって、視野が狭すぎる点にあると思う。
見通しが悪いことは自転車側からしても同じなのであって、たまたまクルマに衝突したけど

歩行者をはねていたり、自転車と衝突していたかもしれない事案。
そして「10歳の子供の性向が教育やしつけで矯しうるという残念な人間理解」などと述べてますが、何も難しい判断を求めているわけじゃないのよね。

 

単なる信号無視ですから…

 

この事案はある意味特殊で、通常は自転車が被害者になるところ、クルマが最大限の注意を払っていたからケガさせなかったもの。
なのでクルマの運転態度が称賛されるべきなのであって、自転車を非難する話じゃなかったのかもしれません。
そして自らの不法行為でクルマを破壊した以上は、きちんと弁済しましょうねで済んだ事案。

 

ちなみに記事中では、自転車がケガした場合も過失割合は変わらないとありますすが、それについてはややビミョーな気がする。
小学生が純粋な加害者なので児童修正が適用されないけど、被害者になるなら話は変わりうるので。

加害者の場合には、「児童・高齢者修正」はしない。
先日取り上げたこちら。読者様から質問を頂いたのですが、これ。自転車が赤信号の場合の基本過失割合は自転車80%、クルマ20%です。なお、児童修正(-10%)は児童が被害者の場合に適用するものなので、このケースでは自転車が加害者なので通常は適用...

小学生が赤信号無視して飛び出しするのはたまにあるけど、運転者が青信号であるにもかかわらず徐行して最大限の注意を払っていたからケガさせなかったわけで、運転者が称賛されるべき事案にしか思えないのですが…
なお「飛び出し」とは強者目線の言葉なわけもなく

歩行者が事故に巻き込まれたら、「赤信号無視して飛び出した自転車にはねられた」でしかないよね…
歩行者のほうが強者…なわけもない。
そして法に沿った判決でしかないのに、過失相殺を認めなかった判決に「苛立ち」があるということは、この人にとっては「青信号でも進むな」ということなのだろうか?
公平さの欠片もない思考にしか思えない…

 

しかしこの事案、なぜに示談がまとまらなかったのか、なぜに上告したのかのほうが気になる。
上告して判決が変わる可能性は「統計上」1%程度ですが、適法な上告理由がありそうには見えないので事実上ノーチャンスなのよ。

「まだ最高裁があるじゃないか!」は真実か?
こちらの件が話題になってますが、概略を説明すると、赤信号無視の自転車(10歳)と青信号を徐行通過したクルマが衝突し、小学生にケガはなかったもののクルマが破損。クルマの運転者がクルマの修理代金を求めて提訴した事件です。簡裁、地裁ともに自転車側...

誰か止めてあげれば良かったのにと思ってしまいますが…
そもそも、青信号の交差点で徐行して警戒する人がどんだけいるのか?と考えたら、めったに起こらないパターンの事故なのよね。

 

もしクルマではなくオートバイだったなら、信号無視した自転車と衝突を回避するために転倒していたかもしれない。
そういう事案で自転車が重過失致死罪に問われ有罪になった事例もありますが、結局何も難しいことを小学生に求めているわけじゃないのよね。

 

単なる信号無視なのであって、それは小学校低学年で習うような簡単なことなのだから。
そしてそれを怠り他人の所有物を破壊した以上は、弁済しましょうねというだけの話なのに…

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