いきなりですがクイズ。
三車線の道路の第3車線を時速60キロで進行中、交差点の信号が「青」なのに先行する大型貨物車(第2車線)が急に減速。
先行する第3車線の普通車も徐行しているのが見えた。
さて、この場面でどういうことを想定すべきなのでしょうか?
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先行車2台が突如減速した理由は?
なぜ先行車が青信号にもかかわらず大幅に減速したかというと、要は交通事故が発生したからなんですね。
交通事故の被害者が道路上に横たわっていた状態なので、大型貨物車は青信号の交差点手前にもかかわらず時速5キロ程度まで減速した。
しかし被告人はそんな大型貨物車を右から追い抜きし、左に進路変更した。
その結果、事故により道路上に横たわっていた被害者を轢過したという事案です(東京高裁 平成29年3月23日)。
このような事案についてどこに過失を認定するかというと、片側三車線の青信号交差点で突如先行車2台が大幅に減速し徐行したことから、何らかの異常事態が起きたことが予見される。
このような場合には後続車としては、直ちに減速し進路前方の安全を確認し、異常事態の有無と内容を確認しながら進行すべき注意義務があり、それを怠り漠然60キロで進行したことが過失だとする。
まあ、当たり前の注意義務と言えますが…
先行車が突如大幅に減速したことがサインなんですよね。
注意義務という概念
日本の法律上、予見可能なことは事故を回避する注意義務があるとしていますが、青信号の交差点で突如大幅に減速したことから「何らかの異常事態発生」が予見される。
それが何なのかはわからないにしても、わからない以上は同じく大幅に減速して確認する注意義務があるのは当然かと。
間違っても「最初に事故を起こした当事者が悪いのだからボクは悪くない!」なんて話は通用しない。
何らかの異常事態が起きたことが予見される以上、それが何なのか確認するまでは進行しちゃダメなのよね。
つい先日のこと。
狭い道路(歩車道の区別あり)でバス同士がすれ違いする際に、安全のためにバスが一時停止した。
両者が進行状態だとすれ違いに危険があるので、この道路ではどちらかが一時停止することはしょっちゅうみられる。
しかし空気を読めない後続車がガンガン追い越ししていく…
「このハゲー!違うだろ!違うだろ!」と言いたくなりますが、バスのような大型車が停止したら前方は死角になるわけで、死角を無視して追い越ししていくセンスが怖いのよ。
「なぜ先行車が止まったのか?」を考えないと、事故るよね。
ちなみにですが、公安委員会遵守事項(道路交通法71条6号)にこのような規定を持つ都道府県がある。
○東京都
第8条 法第71条第6号の規定により、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。
(1) 前方にある車両が歩行者を横断させるため停止しているときは、その後方にある車両は、一時停止し、又は徐行して、その歩行者を安全に横断させること。
○山梨県
第十条 法第七十一条第六号の規定により、車両等の運転者が守らなければならない事項は、次の各号に掲げるとおりとする。
一 歩行者を横断させるため停止している車両の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止すること。
○石川県
第十二条 法第七十一条第六号の規定による車両等の運転者が遵守しなければならない事項は、次の各号に掲げるものとする。
七 横断歩道以外の場所において歩行者を横断させるため一時停止している車両等の直近の側方を通行するときは一時停止し、又は徐行して歩行者を安全に横断させること。
これらの規定について「違反の成立」という観点からみたら、たまたま「横断歩行者のための先行車の停止」ではなかったなら該当しませんが、おそらく法の趣旨からすると、先行車の死角に何があるかわからない場合にも同様の注意を求めているんじゃないかなと。
たまたま横断歩行者がいなくて別の理由で停止したとしても、安全確認させる趣旨なんじゃないかな。
なので違反の成立と義務の履行は必ずしも一致しませんが、そもそもこのルールは知られていない…

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
後半の事例、そもそも前方車両がバスなら、その前方の確認なんて不可能な訳で、何も考えずに前に出るセンスがありえないですね。バス停の乗降中と都合の良いように判断したんですかね。
そう言えば、某ロードバイクが多い峠の登りでタイムアタック中に隘路のすれ違いで先行自動車が停止してたので止むくバックする事も考慮して停止したましたが、対向車両後方から下ってきたロードバイクが何も考えずにお見合い状態の隙間を縫って通過してきたのを見て、センスねーな、と感じたのと、そりゃこう言うの繰り返されてたら、ロードバイクのマナーガー、とうるさく言われるよな、と感じました。
コメントありがとうございます。
わりといるんですよ。
何のために停止したか考えないまま前に出たがる人。
事故寸前になってましたが…
事故とまでは想定しませんでしたが、緊急車両(サイレンの指向性と障害物による減衰で聞こえない事が良く有る)とか、誰かが横断しきれてない(お年寄りで結構あるある)とか、左の死角にある交差点から右折レーンにまで行こうとしている車両や歩行者が居る等、追い抜き不可のヤベェ状態だろうなと警戒モードで進行しますね。
横断歩道で一時停止してる車を抜くのと同じぐらいセンス無いなと。
コメントありがとうございます。
それが当たり前と思いますが、当たり前ではない人がわりといるんですよ。。。