かなり興味深い実験結果が出てますが、近畿大学が電動キックボードの事故について、「電動キックボード自体が危険なのか?」それとも「運転者の運転方法が危険なのか?」実験したそうな。

実験方法は学生を対象に、大学構内のテストコースを電動キックボードと自転車で走行させ、それぞれの運転行動を比較したと。
最も注目すべき発見のひとつは、運転の傾向が
「乗り物の種類によらず一貫していた」
ことだ。スピードを出す人は電動キックボードでも自転車でも速く走り、慎重な人はどちらの乗り物でも慎重に運転する傾向が明らかになった。
同様に、キープレフトを守る程度についても、乗り物の種類に関係なく個人の特性が強く反映された。
「電動キックボード = 危険」って誰が言ったの? 近畿大学「自転車の比較実験」で明らかになった意外な事実! ユーザー心理と安全対策の最新研究とは | Merkmal(メルクマール)2023年7月の公道走行解禁以来、増加する電動キックボードの事故。その原因は乗り物自体にあるのか、それとも運転者の特性にあるのか。近畿大学の実験で明らかになった、運転行動と個人特性の関係に迫る。自転車と電動キックボードの比較から浮かび上がっ...
慎重な運転をする人は自転車だろうと電動キックボードだろうと慎重に運転し、スピードを出す人は自転車だろうと電動キックボードだろうと同じだとする。
もうひとつ興味深いのは、キープレフト遵守についても車両の種類ではなく運転者の特性が強いというところ。
この場合のキープレフトとは左側通行を指すようですが、自転車だろうと電動キックボードだろうと逆走する人は逆走する。
筆者たちはさらに、質問紙の回答をもとに運転者の個人特性と運転行動の関係についても詳しく分析を行った。その結果、
・運転スキルへの自信
・せっかちな運転傾向
・几帳面な運転傾向といった個人特性が、運転行動に影響を与えていることが明らかになった。
特に顕著だったのは、運転スキルに自信を持つ人の傾向だ。自転車では統計的に有意な相関が見られ、運転に自信のある人ほど速い速度で走行する傾向が確認された。電動キックボードでも同様の傾向が見られたものの、その相関はやや弱かった。これは電動キックボードに速度リミッターがついていて、時速20km以上は出せないようになっているためかもしれない。
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運転に自信がある人ほどスピードを出すし、慎重な性格の人は抑える。
ちょっと興味深いのは、電動キックボードについては運転スキルへの自信とスピードの相関性がやや弱い結果になっていて、その理由として「スピードリミッターの存在」を挙げている点。
特定小型原付は時速20キロ以上出ないようにスピードリミッターがついてますが、自信と過信は紙一重。
「オレは上手いから大丈夫」と豪語する人をみると、自信てはなく過信なんじゃないの?と疑問がありますが、そういう過信家はリミッター制御したモビリティに乗らせたほうがいいとも取れる。
ところで近畿大学の実験については、著者が述べているように限定された環境下なので、この実験を以て全てを語るのはムリがある。
対象車両を一般原付に拡大したときにはどうなるのか、年代により差が出るのかなども興味がありますが、大雑把にいえばバカは何に乗ってもバカをするだろうし、慎重な人は何に乗っても慎重。
その意味では、特定小型原付にスピードリミッターを搭載したことは大正解だったんじゃないかと。
以前から指摘しているように、特定小型原付は取り締まりしにくい違法モペット等に対する「飴と鞭」だと思っている。

本来免許等が必須のモペットについて、整備不良や無免許のまま爆走するヤカラが増えてきたことから、「免許不要&ヘルメット不要ですよ(飴)、ただし時速20キロまでしか出ないけど(鞭)」という方向に誘導したものだと捉えてますが、要はバカは何に乗ってもバカをするのだから、だったら時速20キロまでのモビリティに誘導した方がマシと考えたんじゃないかな。
ところでドコモが特定小型原付のシェアサービスに参入するという報道が出てますが

ドコモのシェアサービスは、免許必須にするらしい。
某LUUUUUPが批判されまくっている現状からすればその考え方は理解できますが、個人的には単なる体裁の問題にしか見えない。
「うちは免許必須にして、きちんと交通ルールを知っている人にしか貸しません」という考え方は理解できるし、特定小型原付法制化前に警察庁が行った実験でも一時停止、信号遵守、左側通行については免許ありと免許無しでは無視できない程度に差が出ている。

警察庁はこの結果を受けて、「一部を除き大差なーし!」と結論してしまいましたが(全米が震撼したレベル)
運転免許を受けている者、運転免許を受けていない者ともに、指定場所不停止、信号無視、右側通行、右左折方法違反、歩行者保護不停止等の順で点数が高かった。また、違反行為別に見ると、多くの違反では、運転免許を受けている者とそうでない者とで点数にさほど差が見られなかったが、指定場所不停止や信号無視、右側通行などについては、点数の開きが認められた(表4)。このうち、信号無視と右左折方法違反については、二段階右折に対する理解の不足が要因の一つとして考えられる。
③ 結論
②ウの採点結果をみると、運転免許を受けている者と受けていない者との間で、一部の項目を除き、運転者の運転行動に全体的には大きな差はないと言うことができる。
個々の違反行為では大きな差が生じているものもあるが、これらはもっぱら交通ルールに関する知識の差が要因となっているものと考えられる。https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/mobility/interim-houkoku.pdf
こういう事情を踏まえるとドコモが免許必須にする理由も理解しますが、免許を持たない人は某LUUUUUP等を使うだけだし単に批判回避目的に見えるのよ。
ちなみに某LUUUUUPが免許必須にした場合、免許を持たない人は結局違法モペット等の通販で簡単に購入できるものに流れていくだけな気がする。
ドコモのシェアサービスでは歩道通行モードを搭載しないそうですが、歩道通行モードを搭載してないから歩道通行しないか?と聞かれたら別問題としか言いようがないし、そもそもの話、「免許持っているからルールを知っているし違反がない」とは言い難い。
特定小型原付法制化前には「免許保持者のみを対象にした実証実験」をしてましたよね。
電動キックボードを「小型特殊自動車」とみなす特例により、普通自動車免許等を持つ人を対象にした実証実験を何ヵ月もしてましたが、

免許持ちを対象にした実証実験でも「通行区分違反(歩道通行)」は問題になっていたように、免許必須&歩道通行モード排除したから歩道通行しないかは別問題なのよね…

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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