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右横断と左横断の話。

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ちょっと前に書いたこちら。

「横断」に右も左もない。
なかなか不思議なんですが、これを「横断歩道の逆走(右側通行)」と捉える人が絶えないこと。こういう挙動する自転車よく見るけど、アウト? pic.twitter.com/VQk2vTugBo— 宇摩志麻はㇶwiㇶㇶerを利用しています (@Um...

これは「交差点を右折」ではなく「横断」だから指定方向外進行禁止違反にならないし、ましてや「上下道路の横断」だから左右道路の逆走(右側通行)にもならないと説明しました。

 

いわゆる左側通行/右側通行とは異なる概念ですが、元々横断には「左に横断」と「右に横断」という概念があるのよ。

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左横断と右横断

昭和46年改正以前は、右左折とは「交差点限定」の概念でした。
道路外に左折することを「左に横断」、道路外に右折することを「右に横断」としていたのね。

 

理由はこれ。
昭和39年改正で「横断の方法」という規定が新設され、「右に横断する方法」が25条1項になった。

横断の方法
第二十五条 車両(軽車両及びトロリーバスを除く。)は、右に横断するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、徐行しなければならない。

これに伴い旧25条は25条の2になりましたが、昭和46年改正までは「横断」なんよ。

(横断等の禁止)
第二十五条 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、横断し、転回し、又は後退してはならない。

昭和46年改正で左横断を「道路外への左折」、右横断を「道路外への右折」としたけど、

ワケわからん意見が出てくる理由を考えると、「車両の横断」という概念を定義しきれてないのかと。
そう考えると、昭和46年改正で「道路外への右左折」という概念を定義すべきではなく、「道路外への横断」のままのほうが分かりやすかったのかもしれない。
ちなみに現行25条は「道路外に出る場合の方法」としてますが「第三節 横断等」になっているのはそういう歴史。
あくまでも横断なのね。

「横断」とは、道路の反対側の側端または道路上の特定の地点に到達することを目的として、道路の進行方向に対し、直角またはこれに近い角度をもって、その道路の全部または一部を横切ることをいい、必ずしも道路の反対側の側端に到達することを必要としない。

 

木宮高彦, 岩井重一、詳解道路交通法、1977、有斐閣ブックス

現行法では「道路外への右左折」と「横断」を分けている関係から、車両の横断はクルマでは滅多にない。
コンビニから対岸のスーパーに入るみたいなプレイが「横断」。
車両の横断の大半は自転車になるでしょう。

 

ちなみに私が「道路外への右折横断」みたいな表現を使う理由は、そういう歴史を踏まえて横断の一部ととらえたほうが理解しやすいからです。
もし昭和46年改正で「道路外への右左折」ではなく「道路外への横断」のままだったら、今のような誤解も少なかったかも。

執務資料でも

みんな大好き執務資料でも、「右横断/左横断」としていた話は書いてあるはずですが、歴史を知らないと「車両の横断」という概念がイマイチ理解しにくいのよね。
だから旧規定の概念を紹介している。

 

クルマが「横断」するのは、

T字路正面の路外に出る場合、右左折してないから「横断」と捉えるしかないかと。
ちなみに仮に右左折の指定通行区分があったとしても、「横断」する車両はどちらの通行帯から横断しても問題ないはず。

なぜ「直進レーン」から転回しても、指定通行区分違反にならないか。
さて、こちらの正解編。直進レーンから転回しても指定通行区分違反にならない理由として「転回は直進だから」という意味不明な説明をしている人がいますが、その珍説を採用すると、右折レーンから転回したら指定通行区分違反になってしまうわけであり得ない。...

車両の横断という概念がイマイチ理解されてないから逆走なんじゃないかと疑問が出ますが、もっとややこしいことに民事の概念だとまた別なのよね笑。
それらをきちんと理解している人がどんだけいるのだろうか…

 

もし「道路外への右左折」ではなく「道路外への横断」のままだったなら、もう少し理解しやすかったのかも。
現行規定を理解しようとすれば、必然的に旧規定と改正経緯まで知らないと理解しにくいのよね…

 

ちなみに現行規定を勘違いする人が絶えないけど

(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない。

◯間違い

車両は

歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるとき

は、

①道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をしてはならない。
②道路外の施設若しくは場所に出入するための横断をしてはならない。
③道路外の施設若しくは場所に出入するための転回をしてはならない。
④道路外の施設若しくは場所に出入するための後退をしてはならない。

◯正解

車両は

歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるとき

は、

①道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をしてはならない。
②横断をしてはならない。
③転回をしてはならない。
④後退をしてはならない。

旧規定をみても明らかかと。
ちなみに道路外に右折する方法(25条2項)から軽車両と特定小型原付が除外されてますが、軽車両や特定小型原付も道路外に横断する方法は規定されてます。
それを読み取れるかについても、旧規定からの改正経緯を理解するとわかりやすくなる。

 

軽車両や特定小型原付が道路外に右折するときは、18条1項と25条の2。
25条2項は18条1項の除外規定になっていることからも明らかかと。

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