運転中に病死。

これなんですが、身近なところで二件の「運転中に病死」を知ってまして。
一件は友達の元旦那が運転中に病死。
もう一件は10年くらい前に参加したツールド東北で、走行サポートライダーが走行中に病死。

たまたまバスだったから負傷者の数が多いけど、マイカーや自転車でも起こりうる話なのよね。
正直なところ、友達の元旦那は運転中に病死した上にいろんなものをなぎ倒してだいぶ迷惑をかけたそうですが、ザ・健康体みたいな人でした。
で。
冒頭の件について、「バスはなるべく避けたほうがいい」みたいな意見をみて、その理屈でいえば全ての乗り物に当てはまるのよね。
たまたまバスだっただけで、現実にはマイカーだろうと自転車だろうと起きている。
被害の大小については結果論に過ぎず、それこそ友達の元旦那の件にしても仮に小学生の集団に突っ込んでいたなら多数の死亡者を出すし、たまたま物損で済むかもしれない。
ところで、運転中に病死したときにたまたま横断歩道を横断する歩行者がいたとする。
当然事故るけど、運転者は既に死亡もしくは意識不明なんだから車両はコントロールできる余地がない。
「横断歩道はノールックで横断してもいいんだ」みたいな話をする人がいるけど、それは道路交通法上の禁止規定がないに過ぎず、注意義務はあるというのが判例の立場。
要は立場によって注意する内容が違うのであって、他人に期待しても無意味な場合があるのよね。
既に死亡もしくは意識不明な運転者に何を期待するのだろう。
ちなみに運転者死亡につき刑事責任は問えないことになりますが、当たり前だけど民事責任はある。
一見すると意識不明なんだから民法713条の適用があるのではないか?と疑問がありますが、
第七百十三条 精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。
以下判例がある。
自賠法3条は、自動車の運行に伴う危険性等に鑑み、被害者の保護及び運行の利益を得る運行供用者との損害の公平な分担を図るため、自動車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における損害賠償責任
に関し、過失責任主義を修正して,運行を支配する運行供用者に対し、人的損害に係る損害賠償義務を負わせるなどして、民法709条の特則を定めたものであるから,このような同条の趣旨に照らすと、行為者の保護を目的とする民法713条は、自賠法3条の運行供用者責任には適用されないものと解するのが相当である。東京地裁 平成25年3月7日

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
お世話になっております。
記事最後の賠償責任の件ですが自転車の場合はどうなるのでしょうか?
コメントありがとうございます。
自転車による事故の場合は自賠法の適用がなく民法709条による問題になりますが、おそらくは713条により免責になるのかなと。
ただし、713条但し書きにより意識不明になることが予見可能な場合は別です。
けどちょっと自信がないので、もう少し事例を調べてみます。
ほとんどの列車が1人運行になって、運転士の急病に備えEB装置(列車緊急停止装置、JRの場合1分間機器操作しないと警報が鈴鳴しリセットか機器操作しないと5秒後に非常ブレーキ)等が装備されてますが、電源が切れて(切って)運行してた事例が有り、完全ではない。
バスでは車内の非常停止釦で止める事が可能なものも有るようですが、長距離夜行バスでは押す人が居ないから無意味なんですよね。
完全自動運転が実現したら、急病で事故を起こす事も無くなるのでしょうか。。。。
自動運転中に事故だと、誰が責任を取るのかもモヤモヤします。
コメントありがとうございます。
自動運転の責任については議論がありますね。
結局、どの方法でも完全ではないということでしょうけど…