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自転車も「飲酒検知拒否罪」に問われる時代。

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改正道路交通法の施行により自転車も酒気帯び運転が罪になりますが、飲酒検知拒否罪で検挙された人が登場。

4日未明、福岡市早良区で、自転車の飲酒運転を疑われた男が、呼気検査を拒否したとして現行犯逮捕されました。「他人に迷惑かけていないからいいやろう」と抵抗したということです。

警察によりますと、4日午前3時前、福岡市早良区昭代3丁目の片側1車線の道路を右側通行する自転車を、パトカーで警ら中の警察官が発見しました。

運転していた男を呼び止めたところ、酒の臭いがしたため呼気検査を求めると、「何でそんなことせないかんと」「他人に迷惑かけていないからいいやろう」と検査を拒否したということです。

10分ほど説得したものの応じなかったため、警察は自称・飲食業の46歳の男を呼気検査拒否の疑いで現行犯逮捕しました。

福岡県で”呼気検査拒否”相次ぐ 自転車の男「他人に迷惑かけてないからいいやろ」(九州朝日放送) - Yahoo!ニュース
4日未明、福岡市早良区で、自転車の飲酒運転を疑われた男が、呼気検査を拒否したとして現行犯逮捕されました。「他人に迷惑かけていないからいいやろう」と抵抗したということです。警察によりますと、4日午
(危険防止の措置)
第六十七条
3 車両等に乗車し、又は乗車しようとしている者が第六十五条第一項の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるときは、警察官は、次項の規定による措置に関し、その者が身体に保有しているアルコールの程度について調査するため、政令で定めるところにより、その者の呼気の検査をすることができる。
第百十八条の二 第六十七条(危険防止の措置)第三項の規定による警察官の検査を拒み、又は妨げた者は、三月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

わざわざ罪を増やさなくてもね。
なお、「第六十五条第一項の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるとき」については下記判例がある。

本件において、被告人が責任を問われている犯罪は、酒酔い運転(道交法117条の2第1号)あるいは酒気帯び運転(同法119条1項7号の2)の罪それ自体ではなく、道交法67条2項による呼気検査を拒んだ罪(同法120条1項11号)であることに注意しなければならない。酒気帯び運転の罪であれば、その際に運転者は、呼気1リツトル中少なくとも0.25ミリグラム以上のアルコールを保有している状態にあることが必要とされているから、その程度は通常酒臭が他人に感じられる程度のものであろう。
したがつて、酒臭が感じられるか否かは、犯罪の成立を認定するについて極めて有力な証拠であることは疑いない。酒酔い運転についても、同様のことがいえるであろう。しかし、本件のように、呼気検査を拒んだ罪においては、実際に運転者が身体にアルコールを保有していたことは、必ずしも犯罪の成立に必須のものではなく、その呼気検査を求めた際に、運転者が酒気を帯びていたと疑うべき徴候が存すれば足りるものである。もとより、右の場合においても酒臭は通常その徴候の一つというべきものであるけれども、しかし、酒臭が感じられなくても、酒臭帯びを疑う徴候が他に存在する場合もあるから、本件において、酒臭を認めるに足りる証拠がないことから直ちに呼気検査を必要とする客観的状況が存在しないとするのは相当ではない。

東京高裁 昭和58年9月6日

警察官がこの規定をみだりに使うのは許されないにしても、疑わしき兆候があるなら飲酒検知自体は正当なので拒否したら犯罪が成立する。
10分ほど説得したそうですが、せっかくチャンスをもらっているので…

 

けど、冷静な判断ができるわけないのよね。
酒飲んだのだから。
自転車の酒気帯び運転に罰則が出来て以降わりと検挙事例があるけど、今まで罰則がなかったほうが不思議なのよね。
これが「なぜか」というと、昭和の時代には「自転車の他害性は低い」と評価していたから。

自転車、荷車等の軽車両(第2条11号参照)を第119条第1項第7号の2の罰則の適用からはずした理由は、これらの軽車両の運転が他の交通に与える危険性は比較的低いので、軽車両については、危険度の高い酒酔い運転した場合のみを処罰することとすれば足りると考えられたからである。

 

「道路交通法の一部を改正する法律」(浜邦久、法務省刑事局付検事)、警察学論集、1970年9月、立花書房

けどどちらかというと、今回の改正は他害性よりも自爆性の高さに着目している気がする。

 

まあ、昭和の時代には間違えて自転車の酒気帯び運転に有罪判決を出し、最高裁が非常上告で破棄した事例もあるのですが。

 本件記録によると、高崎簡易裁判所は、昭和六一年八月一五日、「被告人は、酒気を帯び、呼気一リツトルにつき〇・二五ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で、昭和六一年五月二二日午後三時二五分ころ、群馬県群馬郡a町bc番地の二先道路において、自転車を運転したものである。」との事実を認定し、これに対し、「道路交通法六五条一項、一一九条一項七号の二、同法施行令四四条の三、刑法一八条、刑訴法三四八条」を適用して、「被告人を罰金一万円に処する。右罰金を完納することができないときは、金二〇〇〇円を一日に換算した期間(端数は一日に換算する)被告人を労役場に留置する。被告人に対し、仮に右罰金に相当する金額を納付することを命ずる。」との略式命令を発付し、右略式命令は、昭和六一年九月四日確定したことが認められる。
しかしながら、右事実に適用された道路交通法(昭和六一年法律第六三号による改正前のもの)一一九条一項七号の二によれば、酒気帯び運転の処罰の対象は、軽車両を除く車両等であり、本件自転車は、軽車両に当たるから、右略式命令の認定事実は、罪とならなかつたものといわなければならない

 

最高裁判所第三小法廷 昭和62年12月1日

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