運転レベル向上委員会の人って、陰謀論が好きなんだなと思ってしまうんだけど、
外免切り替えのハードルを下げた黒幕がどうのこうのとし、民泊やホテルでも申請可能になったのは某政党所属議員の働き掛けなんだと言わんばかりの内容になっている。
運転レベル向上委員会より引用
23:15あたりからは「OKになったのは令和5年から」(文脈から民泊やホテルのことを指しているのは明らか)と解説している。
で。
運転レベル向上委員会が指摘している警察庁通達「丙運発第18号」(令和5年11月20日)には確かに「寄宿先の世帯主やホテルの支配人の証明等」という文言があるんだけど、
一方、申請者が同法の適用を受けない者である場合にあっては、次の(ア)から(ウ)までのいずれかの書類を提示させるとともに、免許申請書上の住所に関し、居所地に滞在していることを証明する書類(寄宿先の世帯主やホテルの支配人の証明等)を併せて添付させること。
https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/menkyo/meokyo20231120_18.pdf
問題なのは某政党所属議員の働きかけによりこの文言が追加されたのか?(つまり令和5年に初めて認められたのか?)
この因果関係を示すには「旧通達」にはこの文言がなかったにもかかわらず、新通達(令和5年発出)に記載されたことを示さないと意味がないんだけど、
警察行政を知っている人ならわかると思うけど、このような警察庁通達は都道府県警に届いた後に、都道府県警本部から全く同じ内容の通達が発せられます。
警察庁通達は「各都道府県警察本部長あて」で、都道府県警察本部長は「都道府県警察職員あて」に通達を出すのだから、内容は同じになる。
旧通達の残骸(正確には旧々通達と思われる)がインターネット上にあるんだけど、「外国免許関係事務取扱い要領の改正について(通達)」という島根県警通達(令和元年8月22日島免甲第2027号本部長通達)が残っている。
一方、申請者が同法の適用を受けない者である場合にあっては、次の(ア)から(ウ)までのいずれかの書類を提示させるとともに、免許申請書上の住所に関し、居所地に滞在していることを証明する書類(寄宿先の世帯主やホテルの支配人の証明等)を併せて添付させること。
https://www.pref.shimane.lg.jp/police/06_information_disclosure/kunrei_tsuutatsu/koutsuu/koutsuu.data/menkyo_gaikokumennkyo_toriatukaiyouryou.pdf
令和5年警察庁通達にある「民泊やホテルでも申請可能」という趣旨の記述は、少なくとも令和元年には存在していたわけでして、
すでに当該議員の発信と因果関係はないのよね…
当該議員が働きかけた結果(令和5年当該議員発信)として、通達に当該文言が追加されたわけではないのだと理解できる。
なお当該記述がいつからあるのかは調べようと思えばできますが、そこまでするのはさすがに面倒。
次に運転レベル向上委員会は重大な勘違いをしているんだけど、警察庁通達の全てがインターネット上で公開されているわけではない。
一例↓

なので運転レベル向上委員会の人が警察庁ホームページを調べて「該当する通達はこれしかない」と断じていることが既に的外れなのよ。
だって通達の全てが警察庁ホームページ上で公開されているわけではないのに、警察庁ホームページだけをみても意味がないですよね。
つまり運転レベル向上委員会の人は、何の根拠にもならないことを根拠だと思い込んで黒幕扱いしたことになりますが、
黒幕が誰なのか?という視点よりも今後どうあるべきかのほうが大事だし、警察庁は民泊やホテル等による申請を不可にする方針にした。
根拠がない話ってこうやって創作するんだなと考えさせられる典型例なんだけど、彼が判例の改竄を繰り返している様子をみても、

この人は事実確認をするという根本的なところが欠けている。
普通の感覚なら、当該ツイートと警察庁通達の文言に因果関係があるかを検証しようと思うなら、旧通達との差を確認するのよね。
旧通達に記載がないのに新通達で新たに記載されたのなら、因果関係がありそうだなとわかる。
しかしそれすら怠れば単なる妄想レベルの話でしかない。
ちなみにですが、「翻訳アプリ等」について公開されている通達に記述がある。
https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/menkyo/menkyo20240513_083.pdf
警察庁通達「丁運発第83号」(令和6年5月13日)には翻訳アプリ等の使用について記述がありますが、普通に考えれば当該議員が発信したツイートがいう「通達」とは警察庁ホームページには公開されていない通達なんだろうなと理解できるわけで、せめてそれらを開示請求して中身を精査してから騒ぐならわかるんだけど、
彼はそもそも、通達の全てがインターネット上で公開されているわけではないことを知らないのでしょう。
一番ややこしいのは、この人って自らが調べた浅い内容を根拠だと思い込んでしまうところ。
「全ての通達がインターネット上に公開されているわけではない」という大前提をすっ飛ばしてしまえば、話がおかしくなるのは当たり前。
この人の話って前提がおかしいことがあって

判決文の前提を理解してない人が判例を読めば、結論まで狂う。
ちなみに試験自体も何か変わったわけではない。
結局のところ、便宜を図って試験通過しやすくさせようとした事実を裏付けるような根拠は見当たらないので、
ろくに調べもしない人が安易におかしな発信するのがYouTubeなんですかね?
大事なことを理解してないとしか。
ちなみに警察庁通達はこのように改正理由を冒頭に書いている。
外国免許関係事務取扱い要領」によることとしているが、今般、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律(令和5年法律第56号)の一部の施行に伴い、本年12月1日から難民等に係る免許申請書の添付書類等の特例を改めるので
ここを見ても誰かが便宜を図って通達を改正したものではないんだなとわかるし(法改正に伴う変更に過ぎない)、難民等の措置の問題なんだと理解できそうなんだけど、彼はやたらと判例を事実無根な内容にしてしまうことを考えても、そもそも通達を読んでいないのではなかろうか。
少なくとも令和5年にこの通達の文言が追加されたのか?を検証するには、「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律」の改正理由と、旧通達との差を確認する必要がありますが、どちらも怠っている。
運転レベル向上委員会の人の問題点は、問題の検証方法を理解していないところにあると思う。
最初から「黒幕はこの人だ」という結論ありきで、中身を精査してないとしか言いようがないんだけど、
今回の件は、訴えられてもおかしくはないレベル。
よくよく考えれば根拠がない話をしているのに、あたかも根拠たっぷりかのように語る人がいることは、社会に間違った陰謀論を撒き散らす結果になりますが、
この人は、事実確認をしないまま誤った情報を流布することが度々起きている。
以前中国籍の人が犯した危険な運転による事故について、「現行犯逮捕されなかったのは中国籍だからか?神奈川県警の忖度か?」などと解説してましたが、

現行犯逮捕しなかった理由はシンプルで、被疑者も救急搬送されたからに過ぎない。
救急搬送する必要があるものを遮って現行犯逮捕したら大問題になるのだし、救急搬送して軽症なことを確認してから逮捕状を請求し執行しても何ら問題はないし、そこに国籍や警察の忖度が働く余地もない。
けど運転レベル向上委員会の人は、「逮捕要件は証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとき」だと理解してないから、「こんな悪い奴を逮捕しないのは何事だ!」となり、陰謀論を語り出す。
悪い運転行為なのは明らかなのできちんと処罰する必要があるのは明白なところ、処罰するにあたり現行犯逮捕する必要性がなければ逮捕しない。
それは池袋暴走事故についても同じで、現行犯逮捕しなかった理由は「被疑者も救急搬送されたから」であり、さらにいえば逃亡するおそれがないので令状逮捕もしてないけど、きっちり有罪判決で収監された。
運転レベル向上委員会に語らせると、根拠がない話でも根拠たっぷりかのように塗り替えられてしまいますが、火は無くても煙を出されてしまうことってあるのよね。
しかしまあ、このレベルはいろんな意味で心配。
ちなみに外国に居住している人が安易に日本で運転できる仕組みには反対。
これは日本人が海外で運転するときも同じで、国が違えばルールや慣習が変わるのだから、事故リスクが上がるのは当たり前なのよね…
なお外免切り替えの制度自体は昭和8年から存在しており、現行規定になったのが平成5年改正道路交通法であることを考えると、そもそも法令上は民泊やホテルを住所として申請することがダメだとする規定はないのだし、何十年も前からそこは変わってなかった可能性がある。

法律第四十三号(平五・五・一二)
◎道路交通法の一部を改正する法律第九十七条の二第一項第一号中「第九十九条第六項」を「第九十九条の五第五項」に改め、同条第二項中「前項に規定する者のほか」を「前二項に定めるもののほか、公安委員会は、政令で定める基準に従い」に改め、「、公安委員会は、政令で定める基準に従い」を削り、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前項に定めるもののほか、免許を受けようとする者が自動車等の運転に関する外国の行政庁の免許を有する者であるときは、公安委員会は、政令で定めるところにより、その者が受けようとする免許に係る自動車等を運転することに支障がないことを確認した上で、運転免許試験の一部を免除することができる。
外免切り替えの試験の難易度は何十年も変わっていない、警視庁に確認した人の報告では「平成5年改正道路交通法以降、ずっと試験は10問」と回答されたそうですが、
個人的には誰が黒幕か?なんてわりとどうでもいいのよね。
不正確な情報を撒き散らす人についてはいかがなものかと思うけど、
それ以前から認められていたのですが、それがいつからなのか調べたい人がいるなら頑張ってください。
そしてこの制度の妥当性については、個人的にはノーであることを明確にしておきます。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。











コメント
WALKCARについては通達ではなく事務連絡ですね。通達ではなくあくまで内部の事務連絡なのでサイトでは公開しませんて言われました
38条2項の件なんか公開するべき法解釈や運用の改訂の通達だと思うんですが、そこら辺よく分からないですよね
開示請求は今時全て文書と郵便で時間も金も掛かるし
コメントありがとうございます。
通達って内容的には事務連絡なので、分ける意味がよくわかりません笑。
ちなみに国会図書館には過去の通達を網羅したヤバいレベルのボリュームの本(加除式)があります。
そういうのには掲載されているのかもしれませんが、尋常ではないボリュームなので…
そもそもこの議員がいう「通達」にしても、実際には事務連絡扱いだった可能性もありそうな。
この議論、SNSやyahooニュースの等のコメント欄を見ていると、
外免切り替えと国際免許証をごちゃませにしているような人多数。
国際免許証に関しては、海外に行く日本人は恩恵を受けているわけで、それを厳しくはできない。
外免切り替えは、手続きや条件を厳しくしても良いと思いますが。
コメントありがとうございます。
外免切り替えについても、相手国との相互関係に基づくものなので日本人にも恩恵がないとは言い切れないのですが、日本がジュネーブ条約加盟国、相手が非加盟国ということから抜け穴化しやすいのかなと。
「国会図書館 インターネット資料収集保存事業」(WARP)により警察庁交通局長「『外国免許関係事務取扱い要領』の改正について」をさかのぼって調査してみたところ,平成20年9月19日付け警察庁丙運発第34号の別添「外国免許関係事務取扱い要領」4頁の「イ 添付書類等」の「(ア)住民票の写し等(規則第17条第2項第1号及び第2号)」には,「申請者が住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)の適用を受ける者である場合にあっては,同法第12条第1項に規定する住民票の写し(同法第7条第5号に掲げる事項を記載したものに限る。)を添付させるものとし,同法の適用を受けない者である場合にあっては,次の書類のいずれかを提示させること。」とあり,「次の書類」として,道路交通法施行規則17条2項2号に掲げる書類が記載されています。これに対して,平成26年5月19日付け警察庁丙運発第26号の別添「外国免許関係事務取扱い要領」4頁及びその次の平成28年9月28日付け警察庁丙運発第21号の別添「外国免許関係事務取扱い要領」4頁には,「申請者が同法の適用を受けない者である場合にあっては,次の(ア)から(ウ)までのいずれかの書類を提示させるとともに,免許申請書上の住所に関し,居所地に滞在していることを証明する書類(寄宿先の世帯主やホテルの支配人の証明等)を併せて添付させること。」とあり,「次の(ア)から(ウ)までのいずれかの書類」として,道路交通法施行規則17条2項3号(平成25年11月13日内閣府令第72号による道路交通法施行規則の改正前は17条2項2号)に掲げる書類が記載されています。なお,平成26年5月19日付け警察庁丙運発第26号によれば,平成24年6月25日付け警察庁丙運発第38号があるということエスが,この平成24年の通知は見つかりませんでした。
平成20年9月19日付け警察庁丙運発第34号
https://warp.ndl.go.jp/collections/content/info:ndljp/pid/3508161/www.npa.go.jp/pdc/notification/koutuu/menkyo/menkyo20080919-01.pdf
平成26年5月19日付け警察庁丙運発第26号
https://warp.ndl.go.jp/collections/content/info:ndljp/pid/10311281/www.npa.go.jp/pdc/notification/koutuu/menkyo/menkyo20140519.pdf
平成28年9月28日付け警察庁丙運発第21号
https://warp.ndl.go.jp/collections/content/info:ndljp/pid/11063990/www.npa.go.jp/pdc/notification/koutuu/menkyo/menkyo20161209.pdf
コメントありがとうございます。
調べていただきありがとうございます。
一点疑問なのですが、現行規則17条2項3号は
としているわけで、これ自体はずいぶん昔から同じと考えられます。
そうなると平成20年通達と26年通達の差は、施行規則の改正というよりも実務上の取り扱いの変更なのか?
もしくは平成20年通達時点でも「旅券」の提示があれば問題なかった(ホテルや民泊でもOKだった)ところ、平成26年通達ではあえてそれらを明示しただけなのかがよくわからなくなりました。
規則17条2項を見る限り、旅券等の提示があればホテルや民泊であろうと問題がないと読めますが(住民基本台帳法の適用を受けない限り)、あえて26年通達では旅券等に加えホテルや民泊等の証明書類を「追加」させているわけで、これの意図が知りたいところです。
施行規則の改正によりホテルや民泊がOKになったとしたら、その時期にパブコメを実施していた可能性がありそうですが、調べた限りその様子も見当たりません。
道路交通法施行規則17条2項3号(ただし,平成25年11月13日内閣府令第72号(平成25年12月1日施行)による改正前は,同項2号)の定める内容は,昭和35年12月20日(道路交通法の施行日)以後,ほとんど変わっていません(住民基本台帳法の施行による住民登録法の廃止(昭和42年11月10日)及び外国人登録法の廃止(平成24年7月9日)による字句の変更くらいのようです。)。
よって,警察庁交通局長「外国免許関係事務取扱い要領」において,免許申請者が住民基本台帳法の適用を受けない者である場合の申請書添付書類等について,平成24年6月又は平成26年5月に,「免許申請書上の住所に関し,居所地に滞在していることを証明する書類(寄宿先の世帯主やホテルの支配人の証明等)を併せて添付させること」としたことは,道路交通法施行規則17条2項3号(平成25年11月30日以前は同項2号)の改正に伴うものではないと考えられます。
ところで,道路交通法89条(免許の申請等)1項は,運転免許の申請先の公安委員会を「その者の住所地(…かっこ書内引用省略…)を管轄する公安委員会」としています。ここでいう「住所」は,民法22条(「各人の生活の本拠をその者の住所とする。」)に定める「住所」と同義又はほぼ同義であると解されています(宮崎清文『条解道路交通法』(昭和36年)258頁,横井大三・木宮高彦『註釈道路交通法』(昭和36年)386頁,東京地方検察庁交通部編『最新 道路交通法事典』(昭和48年)723頁,道路交通執務研究会編著・野下文生原著『執務資料 道路交通法解説』(19訂版(令和6年))986頁等)。そうすると,運転免許申請時に日本国内に住所を有しない者は,同項かっこ書内に定める「仮免許を受けようとする者で現に第九十八条第二項の規定による届出をした自動車教習所において自動車の運転に関する教習を受けているもの」を除けば,日本国籍を有するかどうかにかかわらず,運転免許申請をすることができないというのが,同項の本来の解釈ではないかと思われます。
この点に関して,運転免許申請書の様式は,内閣府令(中央省庁再編(平成13年)の前は総理府令)により定めるとされており(道路交通法89条1項),道路交通法施行規則17条1項,別記様式第十二で定められているところ,同施行規則制定時の同様式には申請者記載事項の一つとして住所がありましたが,平成14年4月19日内閣府令第34号によって,これが削除され(ただし,申請書下部の公安委員会記録事項に住所が追加されました。),令和6年11月1日内閣府令第97号(令和7年3月24日施行)により,公安委員会記録事項から住所が削除されました(なお,その際,申請者記載事項として,免許情報記録個人番号カード(マイナ免許証)に関する事項が追加されました。同改正に関するパブリックコメント(警察庁交通局の「『道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案』等に対する意見の募集について」(令和6年9月11日公示)及び「『道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令案』等に対する意見の募集結果について」(同年11月1日公示)にも,この点についての説明は見当たりません。)。
コメントありがとうございます。
法89条1項でいう「住所地を管轄する公安委員会」という部分から「住所がなければ管轄する公安委員会がない(つまり住所がなければ申請できない)」と解釈すると、施行規則17条でいう「旅券等」の意味がなくなってしまうと思うのです。
そうするとそもそも、平成20年時点でもホテルや民泊等を住所地として申請することは可能だったのではないか?と疑問があります。
何らかの理由により、旅券等「に併せて」ホテルや民泊等の滞在証明を必要としたに過ぎないのではないか?とも思うのですが、様式12で全てコントロールするという考え方なのでしょうか?
そして今回警察庁がパブコメを実施してますが、改正条文を載せていないことからみても、一時滞在NGにするための根拠が全くわからなくなりました。
平成24年6月25日付け「『外国免許関係事務取扱い要領』の改正について」(同年7月9日から実施)が見つかりました。
https://warp.ndl.go.jp/collections/content/info:ndljp/pid/8665744/www.npa.go.jp/pdc/notification/koutuu/menkyo/menkyo20120625.pdf
同要領には,入管法等改正法(平成21年法律第79号,第77号)の施行(平成24年7月9日)により,外国人登録法が廃止され,中長期在留者及び特別永住者についても住民票が作成されることに伴い,同日付けで改正道路交通法施行規則が施行され,免許申請の際,外国人(注:改正住民基本台帳法の適用を受ける中長期在留者・特別永住者等に限ります。)に対して国籍等を記載した住民票の写しの提出を求めることとされること(改正道路交通法施行規則17条2項1号)から,免許申請書の記載要領,添付書類の種類等について改正を行うこととしたなどと記載されています。そして,平成20年10月1日から実施の同要領にはなかった「,免許申請書上の住所に関し,居所地に滞在していることを証明する書類(寄宿先の世帯主やホテルの支配人の証明等)を併せて添付させること」という記載が追加されています。
改正前の道路交通法施行規則17条2項2号には「免許申請者が住民登録法の適用を受けない者である場合にあつては,外国人登録法(昭和二十七年法律第百二十五号)第五条第一項に規定する登録証明書,旅券,外務省の発行する身分証明書又は権限のある機関が発行する身分を証明する書類(以下「登録証明書等」という。)」とありましたが,これが「免許申請者が住民基本台帳法 の適用を受けない者である場合にあつては,旅券等」と改正されました(なお,「旅券等」とは,「旅券,外務省の発行する身分証明書又は権限のある機関が発行する身分を証明する書類」です(当時の9条の16(申請の手続)第2号)。)。
在留期間が90日以下の短期滞在者は,外国人登録法の適用を受け(同法1条(目的),2条(定義)1項ご参照。),外国人登録の申請(同法3条(新規登録)1項)をして,「外国人登録法第5条1項に規定する登録証明書」(「氏名」,「国籍」,「在留資格」,「在留期間」等のほかに「居住地の地番」も記載されます(同法5条(登録事項証明書の交付)1項,4条1項)。)の交付を受けることができましたが,平成24年7月9日以後は,同登録証明書の交付を受けることができず,改正住民基本台帳による外国人住民に係る住民票写しの交付を受けることができない(同法30条の45(外国人住民に係る住民票の記載事項の特例),39条(適用除外))ことになりました。
平成24年7月9日から実施の同要領における上記の記載の追加は,このことに起因するであろうと推測されます。
コメントありがとうございます。
なるほど、ようやく理解できました。
ありがとうございます。
そうすると今回パブコメで改正するのは法改正ではなく実務上の取り扱いの変更になるのですかね。
公的書類とは言い難い滞在証明では認めない方針にするようですが、具体的にどうするのか気になります。
それと、平成24年以前であればホテルや民泊等の住所を使って外国人登録法による登録ができた、とみてよいのでしょうか?
そうであるなら、結局は「外国人登録法による公的な書類」か「ホテルや民泊等の管理者による私的な書類」かの差でしかなく(取得にかかる手間は違うにせよ)、結局はずいぶん昔から同じだったと考えて差し支えないように感じました。
道路交通法施行規則等の改正(平成24年6月18日内閣府令第39号(同年7月9日施行))に係る警察庁のパブリックコメント(同年4月27日案公示(募集),同年6月18日結果公示(警察庁のウェブサイトの「パブリックコメント」の箇所から閲覧可能))では,「新たな在留管理制度の対象外となる『3月以下の在留期間が決定された者』,『短滞在の在留資格が決定された者』等については住民票が作成されないことから,許可申請等の添付書類である住民票の写しが提出できず,申請ができなくなるのではないか。」という意見に対する警察庁の考え方は「『3月以下の在留期間が決定された者』,『短期滞在の在留資格が決定された者』等の住民票の写しが取得できない方が許可申請等を行うことは基本的に想定していません。」であると記載されています。
この警察庁の考え方からすると,同年7月9日から実施の「外国免許関係事務取扱い要領」に「免許申請書上の住所に関し,居所地に滞在していることを証明する書類(寄宿先の世帯主やホテルの支配人の証明等)を併せて添付させること」という記載を追加する合理的な理由は見当たらないように思われます。
コメントありがとうございます。
うーん、、、ちょっとわからなくなりました。
基本的に短期滞在者の申請を想定してないなら、外国人登録法が廃止された後は中長期滞在者は住民票を取得すれば済むんじゃないかと思うんです。
そうすると平成24年通達で「ホテル等」を併せて提出させる意味がなんなのか?という話になります。
そもそも、平成24年以前は外国人登録法によりホテル等を住所地として登録できた(?)のであれば、24年以前と実質的な差はないに等しい(手続き上の差に過ぎない)。
意図はわかりませんね。