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人身傷害特約で「裁判所基準」の損害賠償額を確保しうるか?

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読者様からご意見を頂いたのですが、

読者様
読者様
某YouTuberの動画では交通事故の損害賠償額を裁判所基準で算定し、人身傷害特約に加入していれば過失相殺されずに満額もらえるとしています。
しかし人身傷害特約でもらえる額(人傷基準)は裁判所基準より低いのだから、説明がおかしいと思う。

うーん…
これはある状況下では正しいとも言えるし、違う状況下では不正確ともいえる。

 

参考までにある裁判の判決文によると、裁判所基準による算定では被害者の損害額は7828万2219円、被害者過失が10%なので過失相殺後の額は7045万3997円となり、

 

一方では過失相殺されない人身傷害特約による算定(人傷基準)によると6741万7099円としている。
人傷基準の計算方法は保険会社の約款によるもの。

 

つまりこの事故については、裁判所基準による算定と人傷基準による算定では1000万以上の差があり、過失相殺の影響を受けない人身傷害特約と、過失相殺後の裁判所基準で比較しても裁判所基準のほうが高いことになる。

裁判所基準 人傷基準
7828万2219円 6741万7099円

ただまあいろいろ条件が重なれば、人身傷害特約を使うことで、裁判所基準の「過失相殺前の満額」を確保しうるのも確かなこと。
いろいろ条件が重ならなければ当てはまらないことにもなる。

 

これについて詳しく解説してもいいんだけど、民事賠償額はかなりややこしいので、ちょっと事情が違うだけでいくらでも変わるんですね。
なので個別具体的に考えるものなので一般化すると誤解を生むし、現実的には実際に事故が起きてしまった以上は弁護士に一任した方がいいと思う。

 

なのでヒントとして最高裁判所第一小法廷 平成24年2月20日判決や大阪高裁 平成24年6月7日判決を紹介しておきますが、詳しく知りたい人は交通事故賠償の専門書をいくつか読んだ上でこれら判決文を読むことをオススメしておきます。

 

民事ってちょっと事情が違うだけで請求根拠や考え方が変わりうるので、民事に詳しい弁護士さんは個別具体的内容を踏まえて「最も依頼者の利益になる方法」を考えることになりますが、

 

素人解説って誤解を生みやすい。
例えばこちら。

法律を知らずに判例を語ると、違う内容になってしまう。
ずいぶん前に有名な「福井地裁 平成27年4月13日判決」を取り上げてますが、なんかまたおかしな解説をする人がいて…法律を知らずに判例を語ると、違う内容になってしまうのかと驚く。福井地裁 平成27年4月13日判決の趣旨事案の概要です。対向車が...

どこかのYouTuberが福井地裁判決を解説しているのを見ましたが、全然違う内容にすり替えられている。
自賠法を理解してない人が解説するとここまで支離滅裂になるのかと驚きますが、上で挙げた最高裁判例にしても、ほとんどの人は判決文を読んでも意味がわからないと思うのよね。

 

民事って「起きた結果に対する当てはめ」みたいな感じになりますが、一般人は「事故が起きないように注意する」ことまでがせいぜい。
起きた結果に対する問題はプロに一任すべきと思っていまして。

 

福井地裁判決についても、法律を理解しているプロだから「そういう請求方法」があると理解して訴訟提起できますが(もちろん認められないリスクも説明した上で)、

誰に損害賠償請求するか?
先日のこちら。イマイチ分かりにくいといくつか質問を頂いたのですが、要はこれ誰に損害賠償請求するか?の問題と、損害賠償請求した際の立証責任は誰にあるかの問題でして。誰に損害賠償請求するか?対向車が居眠り状態に陥り、センターラインを50センチ(...

一般人が本人訴訟したら、回収の見込みが薄い相手に対する損害賠償を確定させたり、「過失責任」を主張して過失の立証に失敗するのがオチ。

 

何を主張するか次第で裁判の結果は変わるんだし、事後はプロに任せて一般人は「事故を起こさないこと」に集中した方がいいんじゃないかな。
ただまあ、保険は大事とはいえ、あのYouTuberの解説じゃ世間に誤認識を植え付けるだけという点は同意しますが。

 

そもそも間違いばかりの人だし、勉強不足で解説するセンスはわからない。
例えば某YouTuberはサイクリングロードで歩行者と自転車が衝突した東京地裁判決について「○千万の賠償になったが過失割合は非公開」と解説しているけど、判決文を読まなかったことを「過失割合非公開」と語るセンスがわからない。
この事故は飲酒運転で前方不注視のまま歩行者に衝突した事故なので、「普通に前を見ていたら容易に避けられる事故」。
なので過失相殺はされていない。

 

この事故については保険云々や賠償額以前に、ちゃんと前をみて自転車に乗れやとしか言いようがないんだけど、判決文すら読まない人には本質がわからないのよね。

 

起きた事故に対する当て嵌め以前が一般人の注意義務。
判決結果に着目するか、判決理由に着目するかは意識の差とも言えるけど、賠償額云々なんて状況次第でいくらでも変わるものだけど、

 

事故を起こさなければ賠償も何もないし、一方では人間の注意は完全ではないから事故が起きてしまう。
起きた結果に対する当て嵌めはプロに一任して、一般人は事故を起こさない努力に目を向けた方がいいでしょうね。

 

自転車の酒気帯び運転に罰則が出来た理由も頷けるというのが東京地裁判決なんだけど、事故を起こす前に捕獲して事故を防ぐのが罰則化なのでして、事故を起こした人が飲酒運転だったことで罰則を加重することが本質ではないのですが…

コメント

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