このような事故が起きたそうな。
きのう夜、東京・秋葉原でバイクと自転車が衝突する事故があり、自転車に乗っていた67歳の男性が死亡しました。
きのう午後8時20分ごろ、秋葉原の路上で「バイクと自転車の事故です」と通報がありました。
現場は片側3車線の道路で、警視庁によると、自転車が横断歩道の無い場所を横断していたところ、直進してきたバイクと衝突。そのはずみで自転車は近くに停車していた軽乗用車にも衝突しました。
東京・秋葉原 バイクと自転車が衝突事故 自転車に乗っていた67歳男性が死亡 現場は片側3車線の道路 自転車が横断中直進してきたバイクと衝突 | TBS NEWS DIG (1ページ)きのう夜、東京・秋葉原でバイクと自転車が衝突する事故があり、自転車に乗っていた67歳の男性が死亡しました。きのう午後8時20分ごろ、秋葉原の路上で「バイクと自転車の事故です」と通報がありました。現場は片側… (1ページ)
わりと横断歩道に近い場所だったみたいですね。
秋葉原のライブカメラ垂れ流しにしていたら自転車と搭乗者が車?と接触後に飛ばされる様子が映っていてびっくりしました>RP pic.twitter.com/iK4IHPPzZx
— しげる (@sgr_) June 22, 2025
で。
「自転車は車両だから横断歩道を使う義務はない」と力説する人がいて閉口しますが、
自転車は車両なので横断歩道は関係ない。
車やバイクが横断歩道を横断するか? https://t.co/qumcQCHCG7— きつねさん (@XtqQmwQGtc81756) June 23, 2025
この場合は車両の横断なのだから25条の2第1項を遵守する義務があり、
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない。
都心の片側三車線道路で午後8時に、正常な交通を妨害するおそれがなく「横断」をするのは不可能に近いのだから、横断歩道を青信号で「横断」すべき注意義務があるのは当たり前なのよ。
これは普通に判例でも採用されている考え方でして、25条の2第1項を遵守するために付近に信号付き横断歩道があるなら、横断歩道を青信号で横断すれば済む話なのでして。
それこそ平成20年だかの施行令改正以前は、歩行者用信号の効力は普通自転車には及ばなかったので、普通自転車が押しボタン式信号を押さずに赤信号で横断しても信号無視にはならなかったけど、
「押しボタンを操作して青信号にしてから渡れば容易に事故を回避できた」とし注意義務違反を肯定した事例とか普通にあるのよね。
◯大分地裁 平成7年8月24日判決
| 押しボタン式信号を押さなかった自転車 | 青信号のクルマ |
| 60 | 40 |
本件事故現場は、別紙図面のとおり、両側に歩道の設置されている東西に伸びる片側二車線(両側四車線)の国道(以下「東西道路」という。)と、ほぼ南北に伸びるセンターラインのない幅員6m余りの道路との交差点であり、東西道路を本件交差点に向かつて東進する車両からは、本件交差点付近の見通しは良好である。本件事故現場付近の東西道路の制限速度は、時速50キロメートルである。また、本件交差点のすぐ西詰には、東西道路を南北に横切る横断歩道(以下「本件横断歩道」という。)と、本件横断歩道上を通過する歩行者用の押しボタン式信号機が設置されている。右信号機は、東西方向に表示する赤、青、黄色の車両用信号機と、南北方向に表示する赤、青の歩行者用信号機とで構成されている。右信号機の表示は、押しボタンを押さない限り、東西方向の車両用信号機は常に青信号で、南北方向の歩行者用信号機は常に赤信号となつている。そして、押しボタンを押すと、東西方向の車両用信号機が青、黄、赤の順に表示が変わり、赤信号になると同時に、南北方向の歩行者用信号機が青信号となる。
(中略)
二 被告の民法709条に基づく過失の有無、被告道広の自賠法3条但書に基づく免責の可否について
前記一で認定したところによれば、本件事故当時、被告車の対面信号が青色を表示してはいたものの、被告車の進路前方には本件横断歩道が設置され、そのすぐ東側は被告車からは見通しの良い本件交差点となつていたうえ、被告車の隣接車線上の進路右前方を同一方向に走行するA車が減速した後、本件横断歩道の手前で停止したのであるから、被告が本件交差点を通過する際には、本件交差点付近の車両及び歩行者の有無、動静に充分注意し、とくに、被告車の右前方を走行するA車のために、右前方の見通しを妨げられる状況にあり、また、A車の減速、あるいは停止が本件交差点を右折するためだけではなく、A車が、その進路前方を通過しようとする車両、あるいは歩行者を認めたためであることも充分予想して運転すべきであつたにもかかわらず、対面信号が青信号であつたことに気を許し、A車の動静に対する注意が不十分なままで本件交差点を直進通過しようとして本件事故を発生させたものであるから、被告には民法709条の過失があるといわなければならず、また、被告の自賠法3条但書に基づく免責の主張は理由がない。
三 過失相殺について
被告には、前記二で判示した過失があるが、他方、原告博についても、東西道路が制限速度時速50キロメートルで片側二車線の幅員の広い国道であることから、同道路上をある程度の高速度で通過する車両があることは充分予想される場所であつたうえ、原告が進行しようとしたすぐ近くには、本件横断歩道上を通過する歩行者用の押しボタン式信号機が設置され、右信号機のうち、東西道路側の車両用の信号機が本件交差点のすぐ近くに設置されており、東西道路を本件交差点に向かつて接近してくる車両からは、右信号機によつて本件交差点自体の交通規制が行われていると誤解し易い状況になつているのであるから、車両用の対面信号が青色を表示している際に本件交差点を南北に通過する場合には、東西道路を走行してくる車両の有無、動静に充分な注意を払うべきであるにもかかわらず、A車が停止したのに気を許し、左方に対する注意が不十分なままで本件交差点を通過しようとし、しかも、原告が、すぐ近くにある押しボタン式信号機を利用すれば、本件事故を容易に防ぐことができたと解されることの諸事情を考慮すれば、本件事故発生について、被告には40パーセントの、原告には60パーセントのそれぞれ過失があると解される。
大分地裁 平成7年8月24日
このような片側三車線道路で自転車が横断する場合に、25条の2第1項を遵守しようとしたら青信号の横断歩道を使うことになるのは当たり前なんだけど、青信号の横断歩道、つまり車道が赤信号に変われば車道の交通を止めることができるのだから、車道が赤信号に変わるまで待って横断歩道外を横断することもありうる。
とはいえこういうのをみると、
自転車は車両なので横断歩道は関係ない。
車やバイクが横断歩道を横断するか? https://t.co/qumcQCHCG7— きつねさん (@XtqQmwQGtc81756) June 23, 2025
理解力が足りないとしか言えないのよね。
これを主張したところで何の意味もないのだから、こういうのを主張自体失当というのだろうか。
ところで、この場合オートバイ側が無傷とは考えにくいので、ケガしたなら自転車は重過失致傷罪の被疑者になる(ただし被疑者死亡のため不起訴になりますが)。
双方ともに加害者でもあり被害者でもあるわけですが、どっちが死ぬかなんて結果論に過ぎず、似たような場面で「歩行者が横断」してオートバイが死亡した事故すらある(歩行者は重過失致死罪で有罪)。
結果論は遡って注意義務を逆転させるわけではないし、この場合に片側三車線道路で25条の2第1項を遵守しようとしたら青信号の横断歩道を使うことになるのは当たり前としか言えないところ、
「自転車は車両なので横断歩道は関係ない」
と語るのは相当理解力に難があるとしか言えないのよね。。。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。



コメント