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ジャイアントがアメリカから制裁を受けた件と、その真相。

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ジャイアント製品がアメリカで輸入禁止措置(今のところ暫定的)になったことが話題になってますが、「トランプに贈り物をしなかったからだ」みたいな低レベルな論評すらみかける始末で、事の重大性が理解されてない気がする。

 

ちょっとまとめてみようと思う。

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事の発端~ル・モンド紙の調査結果

事の発端は2月にフランスのル・モンド紙が公表した台湾自転車企業の奴隷実態です。
台湾が自転車大国であることは言うまでもない事実ですが、ベトナム、タイ、インドネシア、フィリピンなど貧しい近隣諸国からたくさんの移民を受け入れ雇用してきた。

 

台湾で働く移民は、母国と台湾のブローカーに高額な手数料を支払うシステムになっていて、ブローカーに高額な手数料を支払うために家を抵当に入れて借金する者もいれば、台湾企業から支給される給与が労働者の自由に引き出せないようになっていて、ブローカーのみが口座にアクセスできる場合もあるという。
要は手数料という債務に束縛され、場合によってはパスポートも取り上げられ、脅迫や威嚇が常態化し、劣悪な生活環境(寮のような場所)に閉じ込めるような奴隷と言われても過言ではないシステムで運営されていることを公表した。

 

なお、ブローカーによる手数料徴収については、台湾法では違法ではないらしい。

 

しかしこれらの奴隷と言われても過言ではないシステムは、国際労働機関(ILO)の定義だと強制労働とみなされかねない。
そしてアメリカ合衆国米国税関・国境警備局(CBP)は「強制労働によって製造された製品の米国への輸入を禁じる法律である合衆国法典第19編第1307条に違反したため」としてジャイアント・マニュファクチャリング社が台湾で製造した自転車、自転車部品、付属品に対して、出荷保留命令を発令したわけです。

CBP issues Withhold Release Order on Giant Manufacturing Co. Ltd.
Securing America's Borders

もちろんこれは、ジャイアントがこのような強制労働を行わせていたことを合理的に示唆する情報に基づいて行われたもので、台湾政府もこれらの情報に一定の根拠があるとみなして状況を注視しているらしい。
トランプに贈り物をしなかったからだみたいな低レベルな話ではない。

ジャイアントだけではない

台湾を代表する自転車といえばジャイアントですが、今回のような「強制労働とみなされかねないシステム」を使っていた台湾自転車企業はジャイアントだけではないことも公表されている。

 

メリダやマキシス、Fritz Jou(ビアンキ、キャニオン、ピナレロなど)も同様のシステムを使っていたとしている。
これについて詳しく書いてある海外記事はいくつかあるが、以下を紹介しておく。

The bicycle industry’s dirty secret
Open access // by Peter Bengtsen (Le Monde diplomatique - English edition, February 2025)

ジャイアントはこれらの問題について、採用手数料撤廃を約束する声明を出したが、現在働いている労働者に対する「払い戻し」は否定している。
メリダについては現在コメントを出していないようですが、過去にはこのように述べている。

 

メリダの社長は2024年に自社ウェブサイトで、「メリダは、(手数料無料採用の実施や手数料を支払った従業員への返金を含む)責任ある企業同盟(Responsible Business Alliance)の行動規範と関連する人権方針をまだ採用しておらず、したがって人権デューデリジェンスを実施していない」と述べた

The bicycle industry’s dirty secret
Open access // by Peter Bengtsen (Le Monde diplomatique - English edition, February 2025)

ビアンキやピナレロ、スペシャライズドやトレックなどもこれらの問題を把握して改善を進めているのが現状。
おそらくアメリカ合衆国米国税関・国境警備局(CBP)が発令したのがジャイアントのみな理由は、ジャイアント製品の輸入量が多いことを勘案しての話なんだろうと推測される。
なぜなら、輸入量が少ないならアメリカ企業に対する脅威にはなり得ないからでして。

 

ジャイアント「だけ」の問題ではないし、間接的にはヨーロッパブランドも巻き込んだ話になってますが、わりとヤバい話なのよね…
自転車業界は右肩下がりと言われますが、今回の事案は下手すると自転車業界全体の利益を害することにすらなりかねない。

 

わりとヤバい話なのよね…

コメント

  1. よもぎ より:

    事件について良くまとまっていてわかりやすかったです。
    ひどい話ですがこの強制労働の状態が改善されたら台湾GIANTで生産されてる製品は高くなってしまうわけで…なんだか嫌ですね

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      わりとヤバい話なのに、茶化すような内容を見かけるのでして。
      ただまあ、自転車業界全体に影響しかねないので注視する必要があります。

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