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運転レベル向上委員会は情報の「切り抜き」をして何をしたいのだろう。。。

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いろんな意味で心配になりますが、

まず一点目。
この人は「書類送検」を理解してないのだろうか。
刑訴法246条によると、警察が犯罪捜査をしたときには書類送検しなければならないとしている。

第二百四十六条 司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。

つまり過失運転致死傷で書類送検したというのは、単に警察の捜査が終了したことのみを意味し、警察が書類送検するにあたり付した罪状に検察官は拘束されない。
そもそも「無免許過失運転致死傷罪」は俗名で「過失運転致死傷罪+無免許運転加重罪」なのだから、報道からは無免許加重を付して書類送検したかは全くわかりませんし、そもそもそこがどうであろうと検察官が無免許加重を適用して起訴することはできるし、それを裁判所がどう判断するかも別問題。

 

報道だけで考えるのはムリがあるし(論理の飛躍)、そもそも書類送検とはなんなのか理解してないのよね。

 

これは傷害致死等の告訴を受けて書類送検した件も同じで、

第二百四十二条 司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。

告訴を受けたなら書類送検することは義務。
たとえ嫌疑無しでも「嫌疑無し」という書類を検察官に送らないと違法なのでして。

 

次。
運転レベル向上委員会は宮崎注解に「ある程度客観的にみていわゆる「道」の形態をそなえていることが必要であろう」
という記述があることを挙げてますが、切り抜き論法と言わざるを得ない。
その一例として宮崎注解では「空地や広場」も挙げているように、

ただし、「道路」という以上、それはある程度客観的にみていわゆる「道」の形態をそなえていることが必要であろう。一般交通の用に供する場所の例としては、不特定人の自由な通行が認められている私道、空地、広場、公開時間中の公園内の道路および学校の構内の通路、神社、仏閣の境内等が挙げられよう。もっとも、私道、私有地等にあっては、その管理者の意思に基づいて閉鎖されたときは、この法律でいう道路ではなくなる。

宮崎清文、注解道路交通法、立花書房、1966(昭和41年)、27頁

「ある程度」なのよね…グラウンドであるからという理由で道路性を否定することにはなり得ない。
なんで例として挙げている部分を割愛して、持論に都合よく引用するのか謎過ぎる。

 

ところで、運転レベル向上委員会は「学校のグラウンドを道路と解したなら、何かある度に道路使用許可が必要になる」と力説してますが、

 

警察や検察、裁判所はそのような考えには立っておらず、「道路交通法の道路該当性」と「道路使用許可の必要性」は別問題と捉えている。

 

まずは東京地検交通部の見解。

横井・木宮氏や法総研は、学校の校庭などを道路と認めると、77条(道路使用許可)なども適用しなければならなくなり不合理であるということなどを根拠に道路性を否定しているが、もともと、学校の校庭や工場の敷地などは一般交通の用に供する場所として設けられたものではなく、道路としての形態も備えていない。したがって、そのような場所で運動会を行ったり、工事をしたり、工作物を設ける場合に使用の方法や形態などについて警察署長の許可を得なくても道路交通の安全や円滑を損なうおそれはなく、77条の適用などはその必要がない
これに反し、64条(無免許運転の禁止)や65条(酒気帯び運転などの禁止)の規定などは、当該場所が現に公衆の通行の用に供されている以上その交通の安全を図るためにその適用が必要とされるのである。
かように、道路交通法の目的・諸規定の立法趣旨にたちかえって考えれば、道路交通法の道路と認定された場所について、ある規定が適用され、ある規定が適用されないという結果が生じても不都合ではない。

東京地方検察庁交通部研究会、最新道路交通法事典、東京法令出版、1974

次に法曹会の見解。

ところが、この判例については、前記第四の観点からする有力な学説の反対がある。すなわち、その趣旨は、この解釈を前提にすると、学校が校庭を使用する場合にも、必ず警察署長の許可を要し(法77条)、あるいは校庭で遊戯・体操等をする学童が、法76条4項3号違反に問われるおそれも生じ、不合理である。このような不合理を避けるためには、右の罰条との関係では道路ではないと解することになるが、このように、同一の法律の中で同一の用語が区々に解釈されるというようなことは、法の正しい解釈態度ではない、というのである(横井・木宮・前掲書41頁。なお、法総研前掲書45頁も、校庭を道路と解するのはこの点から疑義があるとする)。たしかに傾聴すべき批判ではあるが、法76条、法77条をいますこし合目的的に弾力的に解釈することもあながち不当ではないのではなかろうか(同旨、藤井一夫、判タ284・133)。

法曹会、道路交通法 : 例題解説 改訂版 (法曹新書)、1976

判例タイムズ284号「道路(東京地裁判事補 藤井一夫)」でも「道路使用許可に関してはある程度合目的的、弾力的に解釈可能」として東京地検交通部と同じ見解に立ってますが、

 

たとえばパチンコ屋の駐車場を「道路交通法上の道路」と解した名古屋高裁判決や、小学校の校庭を道路として無免許運転を肯定した判例があるように、

道路交通法72条1項にいう「車両等の交通による人の死傷又は物の損壊があつたとき」とは、道路上における車両等の交通に起因する事故があつたときをいい、その道路とは、同法2条1号に定める道路をいうことは明らかであり、更に、所論ミユキ観光駐車場又はその一部が道路法に規定する道路又は道路運送法に規定する自動車道でないこともまた明白であるから、要は、所論場所が同条にいわゆる「一般交通の用に供するその他の場所」すなわち、現に不特定多数の人ないし車両等の交通の用に供されているとみられる客観的状況のある場所に該当すると認められるか認められないかにある。
ところで、記録及び当審における事実取調べの結果によれば、被告人が原判示第三の(二)で報告義務を履行しなかつたとされた事故を惹起した場所は、同原判示のとおり、岐阜県海津郡海津町馬の目103番地の1所在のミユキ観光駐車場内であるが、右駐車場は、同敷地内にあるミユキパチンコ店及びミユキ喫茶店の附属の駐車場で、右敷地は、東西約54メートル、南北約36メートルのほぼ長方形(但し、その東北角部分において約17メートルにわたつてすみ切りが施され、該部分が県道津島南濃線に接している。)の土地であり、右土地の東端にミユキパチンコ店の建物が、また南端にミユキ喫茶店の建物が建てられているが、その余の部分はアスフアルト舗装の広場であつて、その東側及び西側はいずれも水田に、南側は農道に、北側は排水路に面していること、右土地の正規の出入口は、前記東北角部分一か所のみであり、同所に門戸の設備はなく、守衛等も置かれていないこと、その駐車場の部分は、自動車一台ごとの駐車位置を示す白ペイントの区画線によつて仕切られているが、右駐車区画は、右広場の北側及び西側に接した部分、ミユキパチンコ店及びミユキ喫茶店の各西側部分等の周辺部分、更にそれら周辺部分から各通路部分を隔てた広場の中央部分にそれぞれ設けられていて、特にその利用者の制限等を示す標識等はなく常時一般に開放使用されていて、もとより管理人等も置かれておらず、前記パチンコ店及び喫茶店を利用する不特定多数の客が自由かつひんぱんに右駐車場内の駐車区画外の道路部分を通行して車両を駐車区画内に駐車させ、あるいは右通路部分を歩行して通行し、ことに、前記喫茶店を利用する客にとつて右通路部分は唯一の正規の進行路であるばかりか、右通路部分は、前記県道津島南濃線と南側の農道との連絡通路として付近の店舗等に赴く者や近隣の者の通行利用に供されることも稀でないこと、以上の事実が認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。以上認定の事実状態に徴すると、なるほど本件駐車場のうち駐車位置を示す区画線によつて仕切られた各部分は、これを前記「一般交通の用に供するその他の場所」ということが困難であり、これを道路と認めるべきではないが、駐車位置区画線のない通路部分は、同駐車場の一部としてこれを利用する車両のための通路であるにとどまらず、現に不特定多数の人ないし車両等が自由に通行できる客観的状況にあると認められるから、前記「一般交通の用に供するその他の場所」に包含され、したがつて、道路交通法にいわゆる「道路」に該当すると認めるのが相当である。所論引用の判例は本件と事案を異にして適切でない。

名古屋高裁 昭和56年7月14日

一 道路
道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。

道路交通取締法は道路における危険防止及びその他の交通の安全を図ることを目的とするものであり(同法第1条参照)、本件運転の場所は小学校校庭であること所論の通りであるけれども、道路交通取締法第2条第2項によれば同法に所謂「道路」とは道路法による道路、自動車道のみならず一般交通の用に供するその他の場所をも包含すること明かであるから、学童その他一般公衆の多数出入する小学校校庭の如も道路交通取締法にいう「道路」の中に包含されるものと解するを相当とする。従て被告人が法令に定められた運転の資格を持たないで原判示小学校校庭において本件貨物自動車を運転した以上かかる所為もまた道路交通取締法第7条第1項第2項第2号、第28条に該当するものと謂うべきであつて、原判決には法律の解釈適用を誤つた違法はなく、論旨は採用し難い。

 

高松高裁 昭和27年3月29日

「道路交通法上の道路と認めるか?」と「道路使用許可が必要か?」は別問題なのよね。
現に警察や裁判所はそのような考えで運用し、パチンコ屋の駐車場に露店を出すのに「道路使用許可」なんて問題にもしない。

 

ところで、埼玉栄高校のグラウンドを道路と認めるかについては、

 

報道からはイマイチわかりません。
単に施錠していた程度でも一般人が通行していた実態があれば道路と認めうるし、施錠してないならなおさら。
その上でいうと、わざわざ宮崎注解の一部を「後半を引用せずに」都合よく引用したり、判例からみても明らかに否定されている「道路と認めたら道路使用許可が必要になり不合理だ説」を引用する心理がわからない。

 

道路と認められたくない事情でもあるのか不思議ですが、そもそも

私有地を道路と認めるか?
運転レベル向上委員会が何度も判例を改竄してフェイクニュースにしている件。覚えているだけでも全然違う内容に改竄しているのは7、8件あった気がしますが、運転レベル向上委員会より引用最高裁第三小法廷 昭和44年7月11日判決(刑集 第23巻8号1...

一般邸宅の一部を「道路」と認めた最高裁判所第二小法廷 昭和44年7月11日判決を「小学校の校庭を道路と認めた判例」、「通称 小学校校庭事件」などとガセネタを流すくらい支離滅裂な人なので…

運転レベル向上委員会より引用

 原判決が維持した第一審判決が確定した事実は、被告人は、農耕作業用自動車の運転業務に従事しているものであるが、昭和四〇年一一月一四日午前一一時五分頃農耕作業用自動車(以下農耕車という)を運転し、福島県岩瀬郡a町大字b字cd番地A方宅地内を右斜に進行し須賀川市からe町へ通ずる道路に出るに際し、右道路の右方は右A方住家のため見通しが困難であるので、自動車の運転者としては道路の手前で一時停止して安全を確認すべき業務上の注意義務があるのに、被告人はこれを怠つて右道路上に進出した過失により、折柄右方道路から軽二輪自動車に乗つて進行して来たBの左膝辺等に自車前部を接触同人を路上に転到させ、よつて同人に対し側方動揺性屈曲制限荷重痛の後遺症を残す開放性骨折(左膝蓋骨大腿骨外顆)左膝外側々副靱帯損傷兼半月枝損傷の傷害を負わせた、というのである。
ところで、第一審判決が証拠として掲げている第一審検証調書、証人Cの供述および第一審裁判所が適式に証拠調をした被告人の検察官に対する供述調書ならびに第一審第二回公判期日に証人として取り調べられた巡査部長Dの証言によれば、被告人が本件事故直前に進行していた場所は、Aの私有地ではあつたが、道路との境界を区画するものはなく、むしろ道路状をなして何人も自由に通行できる状態にあつたというのである。そうすると、右部分は、被告人の進行していた農道と、被害者の進行していた道路とが丁字形に交わる北東角にいわゆるすみ切りが施されている状態と同様であつたとみられないことはない。そして、道路交通法は、二条一号で「道路」の定義として、道路法に規定する道路等のほか、「一般交通の用に供するその他の場所」を掲げており、たとえ、私有地であつても、不特定の人や車が自由に通行できる状態になつている場所は、同法上の道路であると解すべきであるから、右部分は、同法上の道路であつたと認めるべきである。

最高裁判所第二小法廷 昭和44年7月11日

エア判例、情報の切り抜き、裁判所の判断と反する理論。
この人は何をしたいのだろうか。

 

ところでもっと不思議なのは、運転レベル向上委員会はツールド北海道事故について、「道路使用許可を取った場所だから道路交通法上の道路ではない」と力説してました。
今回の運転レベル向上委員会の説「道路と解したら道路使用許可が必要になる」という話と矛盾してんのよ。

 

都合よく持論を切り替えているだけにしかみえませんが、ツールド北海道の件にしても東京地検交通部の見解で全て説明がつく。

 

「レースとして許可したのだから、レースとして通常認めるべき内容にまで道路交通法の具体的義務を課す理由がない。たとえば並進禁止規定を適用する理由なんてないけど、一般人の通行を制限するためには道路交通法が適用される」

 

北海道警もツールド北海道事故を「交通事故」として処理してまして。

北海道警察 交通事故情報マップ

運転レベル向上委員会の説明とは全く違う内容になってますが、そもそもこの人は主要論点に目を向けず、どうでもいいところに着目して間違いを起こしている気がする。
埼玉栄高校の事案にしても、道路交通法上の道路であるかは単に科刑上の問題でしかないし、仮に道路交通法の適用がなくても運転免許を持たない人が起こした過失運転致死傷については当然考慮される。
そして無免許の人が運転して起こした事故である事実には何ら変わりなく、道路交通法上の道路ではないから「運転していい」にはならないのよね。

なぜ自己矛盾を解消せず思いつきで解説するのか不思議です。

コメント

  1. 通りすがり より:

    スーパーの駐車場の通路部分は、普通は道路と認められるわけですが、では道交法のどこまで従うべきかが今一つ解りません。

    標識や路面標示は店が設置したヤツですから(道交法上は)従う義務はないはずですが、道路があれば必然的に存在する直進優先、左方優先、広路優先、左側通行、ウィンカー等は従う義務があるのでしょうか?

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      要は駐車場の通路を道路、駐車枠を道路外と考えると道路と道路の交差を交差点と解せるかになりますが、わかりません。
      ビミョーな気がします。

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