それなりの年数、自転車を趣味とする人なら、ご存知の方も多いのかもしれませんが。
2010年の事故ですが、スポーツ用自転車(ロードバイク)で走行していた40代男性が、信号無視した結果、横断歩道を横断中の歩行者を死亡させるという事故がありました。
これについては知っている方も多いのかなと思うところです。
当サイトでは交通ルールの啓蒙や安全対策の記事を度々取り上げていますが、実際に被害に遭った人がどう思うのか、被害者家族はどう考えるのかなども知っておいたほうがいいと思ってます。
事件の詳細
詳しくはこちらに記されています。
スマホでみるより、PCで見たほうがいいかもしれません。
PCで見ると、右カラムに事件詳細が出てきます。
スマホだと記事リンクしか出てこないようでしたので。
この事故、信号無視で交差点に突っ込み、横断歩道を渡っている方を死亡に至らしめたわけですので、加害者が悪いのは当たり前。
重過失致死罪で立件されていますが、判決は執行猶予付きとなっています。
本来、青信号で渡る横断歩道というのは、渡っても安心だと信号がお墨付きを与えているようなもの。
信号を守るのってルールだからということも当然ありますが、ルールを守ることで秩序が保たれるものだと思うんですね。
その交差点付近に例えば30人の歩行者や車両がいたとして、30人全員が信号機を守ることで秩序が保たれて、安全性が担保される。
1人でも信号機を守らない人や車がいれば、危険性が増すのは当たり前の話。
被害者家族の方のブログにも出ていますが(PC表示で右カラム)、加害者の主張があまりにも酷い。
※加害者の主張:逃げずに介護してやったんだ。サイクリング自転車は下を向いているので斜め上の信号なんか見えなくても仕方ない。自転車で殺したのではなく、自転車にぶつかって道路に頭を打ちつけて死んだんだ(意味不明)。だから執行猶予つけてね。
自転車に家族を殺されるということ東光宏(自転車交通犯罪遺族)さんのブログです。最近の記事は「日本医師会と日本脳神経外科学会からの回答結果(画像あり)」です。
ロードバイクをはじめとするスポーツサイクルは、確かに前傾姿勢になっている。
けど、ロードバイク乗りとして当たり前過ぎることですが、信号機が見えないということは絶対にありえません。
レース中のゴール前スプリントをしているというなら前が見えなくてもしょうがないですが、それはレースというクローズドな空間であるから成り立つこと。
公道で下向きで前を見ずにスプリントしているバカはいない(はず)。
下を向いているから斜め上の信号が見えなくても仕方がないなんて、全く被害者に向き合ってもいない。
ちなみに前にも少し触れていますが、重過失致死罪というのは刑法211条後段のことです。
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
自動車運転死傷行為処罰法という法律もあるのですが、こちらは軽車両(ロードバイク)は対象になっていません。
実際のところ、ロードバイクに乗る人が重過失で他人を殺めてしまった場合でも、法定刑の上限は5年以下の懲役、5年以下の禁固、100万円以下の罰金のいずれかにしかならないため、人を殺してしまったのに刑罰が軽いといえます。
前にも取り上げていますが、歩道上で時速9キロで電動アシスト自転車に乗る女子大生が、片手にドリンク、片手にスマホ、音楽を聞きながら高齢者に衝突し、死亡させてしまった事件もあります。
これの判決も、執行猶予付きとなっています。
執行猶予なので、事実上はその間大人しくしていれば、刑罰は消滅します。
被害者、被害者家族としては、これでは怒りの矛先をどこに向けたらいいのかわかりませんし、納得できるものではないでしょう。
人が死んでいるのに。
反省の弁を述べているからというのも執行猶予の理由の一つになっているようです。
反省だけならサルでも出来る、とも言いますが、反省の弁だけなら誰でも述べることは出来る。
反省しているのと、反省の弁を述べることは必ずしもイコールではないと思うんですね。
被害者感情としても。
冒頭で取り上げた事件についても、
※加害者の主張:逃げずに介護してやったんだ。サイクリング自転車は下を向いているので斜め上の信号なんか見えなくても仕方ない。自転車で殺したのではなく、自転車にぶつかって道路に頭を打ちつけて死んだんだ(意味不明)。だから執行猶予つけてね。
自転車に家族を殺されるということ東光宏(自転車交通犯罪遺族)さんのブログです。最近の記事は「日本医師会と日本脳神経外科学会からの回答結果(画像あり)」です。
信号が見えなくても仕方ないと主張するレベルなので、一般的に考えれば、反省しているとは到底思えない。
というよりも、全ロードバイク乗りへの挑戦だと思うんですね。
こんなことを主張されて、ロードバイクは信号が見えなくてもしょうがない乗り物だと思われたら大変心外です。
車両感の無さ
昨年、ロードバイクに限らず、自転車でのひき逃げ事故報道が多かったように感じます。
自転車は道交法では軽車両ですが、車両なんですよ。
免許もなく乗れる乗り物だからなのか、車両感がない乗り方をしている人って多いように感じます。
車を運転しているときに、信号無視しますか?
見つかれば減点で罰金があるわけで、しかも危険なのでほとんどの車は信号をきちんと守っている。
ところが自転車になると、なぜか信号を守らない層が結構出てくる。
【どうせ自転車だから】程度にしか考えていないことも一つの原因ではないかと思うんです。
自転車の信号無視なんて、万が一警察に見つかっても注意止まりだったり、カード渡されて2回累積で講習行き程度の話。
全然罰則が厳しくないわけです。
実際、冒頭で取り上げた事故もそうですし、時速9キロで歩行者に突っ込んだ女子大生もそうですが、判決は執行猶予にしかならない。
これでは被害者感情としてはなかなか納得できるものではない。
当サイトを見ているような方は安全意識が強くて、ルール違反をしている人のほうが少数派だろうと思います。
公道を走る以上、絶対に事故を起こさないなんてことは不可能ですが、その不可能なことを限りなくゼロに近づけるのが意識や行動、装備。
被害者という立場になったときのことを考えて、ロードバイクに乗ることも安全意識が高まるのではないでしょうか?
結局、意識と行動次第ですから。
ノーブレーキピストとかは論外。
信号などルールを守って走るのは当たり前。
法令順守に努めるのは当たり前のこと。
ロード乗りに求められているのは、さらにそこから先の安全対策だと思ってます。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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