ちょっと前にですが鹿児島市で、高校生が乗る自転車が転倒し、バスにひかれて死亡するという事故が遭ったのをご存じでしょうか?
詳しくはこちらを。
24日午前7時25分ごろ、鹿児島市武岡1丁目の市道で、歩道を自転車で通行していた同市武岡2丁目、高校1年生の男子(15)が車道に転倒し、南国交通の路線バスにひかれた。高校生は市内の病院に搬送されたが、頭などを強く打ち死亡した。
鹿児島西署によると、現場は常盤トンネル近くの下り坂で、緩やかなカーブを曲がりきった直線。高校生は左側の歩道を通行していたが、何らかの原因で車道側に転倒。後続のバスにひかれた。高校生は部活動に向かう途中だった。
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事故報道を最初に見たときに、そもそも歩道にいた自転車はなぜ転倒したんだ??という疑問がありました。
時間も夜ではなく明るい時間帯。
事故原因は不明
現状ですが、なぜ高校生が転倒して車道側に倒れたのかについては不明だそうです。
現場検証の様子はこちらの報道でも出ています。
当初事故の報道があった時、歩道と言っても狭い歩道なのかな??と勝手に想像していました。
けどどうも違うようです。
事故現場は鹿児島市の常盤トンネルの前、とのことですが、こちらがその現場。
見たところ、歩道の広さは車道の1車線分くらいはありそう。
こちらの報道では、歩道幅は3.5mとあります。
市によると、車道と歩道の境には高さ約15センチの縁石がある。歩道は幅3.5メートルで、車道側1.5メートルが自転車通行帯。
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現場近くの歩道は、左側が歩行者、右側が自転車用に分けられているが白線が消えてしまっている。警察は、今年度中に塗りなおすという。
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かろうじて自転車マークが残っている程度のようです。
かなり長い下り坂のようで、坂を上り切った交差点ところまで来ると、自歩道の標識がありました。
また、【普通自転車通行指定部分】を示す自転車マークが残っているにも関わらず、線引きはほぼ消えているようです。
とりあえずこの歩道には、普通自転車通行指定部分がある(あった)歩道ということでいいのかと。
第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
一 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。
ただまあこの道路、かなり長い下り坂になっているようです。
下り区間は500m程度はあるのではないかと。
ママチャリでもノーブレーキであれば勝手に40キロは超えそうな予感すらします。
登り車線には登坂車線もあります。
とりあえず、まずはの確認だけ。
警察の対応
事故現場に13日、地元の自治会のメンバーや周辺の学校の教師など約25人が訪れ、警察と事故の状況を確認した。参加者からは「カーブと下り坂でスピードが出やすい」「現場近くにガードレールを設置してほしい」などといった意見が寄せられた。また、現場近くの歩道は、左側が歩行者、右側が自転車用に分けられているが白線が消えてしまっている。警察は、今年度中に塗りなおすという。
(中略)
警察によると、事故現場近くでは、自転車が絡む事故がこの事故を含め、5年間で5件起きているという。
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これだけ見ていくと、事故に遭った高校生はいわゆるオーバースピードではないのか?と思うじゃないですか。
数百メートル続く長い下り坂、広い歩道。
オーバースピードにより、コントロール不能に陥ったのではないの??と思いがち。
ところがどうも違う。
散歩中に事故を目撃したという近くの男性によると、自転車はあまりスピードを出しておらず、進路直近に歩行者や自転車はいなかった。
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やや大きめの異物を踏んで制御不能に陥ったのか??
違う要因なのかも不明。
普通自転車通行指定部分を示す白線が消えかかっているのを直すのは当たり前として、それ自体は今回の事故とは関係があるとは言えない。
歩道内での対歩行者事故なら、白線で区切ったほうがわかりやすいよね、となるけど・・・
ガードレール設置を求める声も出ているようですが、確かにガードレールがあれば、よほどのスピードで突っ込まない限りは車道まで吹っ飛ぶ可能性は少ない。
けどどちらにせよ、今の段階で明らかなのは
①自転車はそれほどスピードが出ていなかった
②何らかの原因で車道側に転倒した
③車道を走る路線バスにひかれた
【何らかの原因】が明らかにならない限り、対策といっても有効なものにはならない可能性があるわけですよ。
ここがどうもスッキリしないポイント。
原因不明の事故なんてあるでしょうけど
例えばちょっと前にも紹介した、こちらも高校生のロードバイクの死亡事故。
こちらの事故は、何らかの理由で転倒して、そのまま滑って対向車線にはみ出したことでの事故となっています。
このあたりが事故現場。
これ、もしもですよ。
【オーバースピードでコーナーに突っ込んで、曲がり切れずにセンターラインを越えた】だったら、一般的なコーナーリングでの注意事項を守ろうねで終わります。
一般的なコーナーリングでの注意事項はこちら。
・コーナーリングの出口に視線を向ける
・自分が制御不能な速度域には上げない
けど事故原因としては、まず【何らかの原因で転倒して、そのまま滑ってセンターラインを越えた】になっているわけです。
コーナーリングでバイクを倒し過ぎて、タイヤのグリップを失って転倒した可能性もあるので、それであればコーナーリング前には十分減速して、目線でコントロールしましょうが対策になる。
けどバイクの倒し過ぎではなかった場合、何に気を付ければいいのだろうと。
結局のところ、原因が不明だと対処も曖昧になるので、警察も出来る限り事故原因を発表してほしいところなんですが。
どうしても加害者と被害者に分かれてしまう都合上、全てを発表するとその後の訴訟の行方に影響するらしく、発表できないことも多いらしい。
とりあえず言えるのは、鹿児島の事故についてもそうですが、一般的な注意事項として
これが鉄則、としか言いようがないですね。
ついでにですが
近年、自転車ナビライン、ナビマークの設置が進んでいます。
警察は効果が高い!みたいな宣伝をしますが、正直なところかなり疑わしい部分もあるなと思ってみてます。
自転車ナビライン・ナビマークを設置する理由は、
・自転車は車道を通行するという原則を促す
・自転車は車道の左側(左端)を通行すること促す
逆走防止と車道通行の原則の確認ですね。
東京都の資料では自転車事故10%減少、車道利用率上昇、逆走自転車が44%減少とありますが、
https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/syukei1/zaisei/30jigyouhyouka/01_30jigo/30jigo_227.pdf
逆走防止には大きく関わっている・・・というデータにはなってます。
これもやや怪しいデータですが。
その一方、自転車事故の主な原因は何なのか?という話です。
自転車事故の原因で多いのは出会い頭や左折・右折時が75%超とされます。
そうなると逆走自転車が大きく関わるのかというと、どうもそういうわけでもなさそう。
こちらによると、自転車事故での法令違反のうち、【通行区分違反】ってたった2%になっていたりする。
https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cmsdata/e/a/7/ea7165dddb1b0166e7195b0d5b21e947.pdf
逆走が減ったほうが安全になることは間違いないにしても、東京都管内だけでも毎年5億とか7億とか掛けてまでやることなのか?と聞かれると個人的には疑問。
自転車事故の主な原因は、安全不確認、一時不停止、信号無視の3つで84.2%も占めているので、そっちを何とかしたほうが事故は減るはず。
まあ、車道左端を走ることを徹底した結果として、安全確認や信号順守まで繋がっていく可能性もあるので、一概には言えないところ。
例えば、歩道から車道に向かってノールックで降りてくるおバカな自転車もいますが、
理屈の上では、ずっと車道を通行していればこういうバカはいなくなる。
けど実態としては、都合よく歩道と車道を切り替えるように走るママチャリはいる。
先日もこういうのを喰らってマジでビビりました。
片側3車線道路で歩道アリ。
歩道にいたママチャリ(子供載せ)なんですが、歩道にたくさん人がいたからだと思いますが、歩行者回避のためにいきなり車道に降りて逆走開始ですよ。
そのタイミングで降りてきたらぶつかるだろ・・・そもそも逆走だしと思いながらもギリギリで回避。
後続車はたぶん怒ってました。
クラクションが聞こえたので。
こういうのも自転車ナビライン・ナビマークがあれば防げるのかというと、ずっと車道を走っていたなら防げる。
けど片側3車線の道路、イチイチ反対に渡ってまで車道を走ろうと思わないママチャリも普通にいる。
自転車ナビマーク・ナビラインの有無での検証が雑なので、もはや本当に効果的なのかすらわからない。
前にも書いた件ですが、サンスポのサイクリストに、ツーキニストと自称する疋田氏が書いたもの。
疋田氏は京都市での矢羽根が大成功だと書いてましたが、正直なところ検証としては不十分。
けど読んだ人は、京都はすごく進んでいるんだと誤解する。
そんでもってサイクリストの記事に、京都在住の方からコメントが寄せられた結果、なんとコメント欄ごと削除。
うーん、なんでそうなってしまうのだろうか・・・
この流れについてはこちらのサイトさんが詳しく書いてます。
本当に【驚くべき成果】なのかは正直怪しい。
前から書いているように、自転車ナビライン・ナビマークは逆走を多少減らす効果はありますが、効果として誇張しすぎだなと思うことはあって、もうちょっと費用対効果は検証されるべきだと思う。
自分が関わったから誇張したい気持ちもわからんでもないですし、効果としてゼロだとは思いませんが、驚くべき成果と言えるものは本当に上がっているのだろうかと。
話が脱線しましたが、事故には原因があって、原因に対する対策でないと、的外れなお金の使い方になってしまいます。
全ての事故の原因が判明するのかというとそうではないにしろ、なんだか不可解だなと思う報道もあるので、ホントややこしい。
けど有名人がメディアで声を挙げると、それが全てだと思ってマンセー・ブラボー・ハラーショしちゃう人もいるんだなと思ったのが、サイクリストの記事でした。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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