ちょっと調べ物をしているときに見つけたのですが。
これはマジで書いている、のでしょうか?
Contents
立ち漕ぎは安全運転義務違反
立ちこぎ…安全運転義務違反になるケースも。
「自転車のルール」知られていない? 重い罰則がありうる場合も - ライブドアニュース自転車のルールには違反すると重い罰則が下される場合もある。飲酒運転は5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる。夜間の無灯火は5万円以下の罰金、2人乗りは2万円以下の罰金か科料になる
自転車での立ちこぎは違反になるの?
立ちこぎを直接禁止する規定はありません。しかし、立ちこぎをして交通事故を起こした場合には、安全運転義務違反となるおそれがあります。
安全運転義務は70条ですよね。
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
どういう立ち漕ぎと、状況をイメージしているのかよくわかりませんw
例えばですが、前を見ないでスプリントしているようなのも立ち漕ぎだというなら、確かに安全運転義務違反に問われる可能性はある。
前を見ていないわけですから。
けどこういうので解説されているのって、基本はママチャリの話ですよね。
歩道で立ち漕ぎしてスピードが上がっているのは単に徐行違反だと思うし、どういう状況をイメージしているのでしょうか?
以上にフラフラしている立ち漕ぎだと安全運転義務違反になる・・・のかな???
立ち漕ぎで交通事故を起こしたら、と書いてありますが、本来、安全運転義務違反は事故という結果に着目するのではなくて、事故る前の走り方が危険かどうかの話のはず。
事故だから安全運転義務違反というのもちょっと安易な気がする。
安全運転義務違反
安全運転義務違反って凄ーく安易に使われますが、あまりにも抽象的な規定なので、拡大解釈禁止の国会決議も立法当時に出ています。
拡大解釈すれば、

その顔は危険だから安全運転義務違反だ!

今一瞬だけ片手運転したな!
安全運転義務違反だ!
無理矢理摘発する材料にされかねないし。
顔が危険だとか言われたら、一生運転禁止になる。
なので最高裁でもきちんと判示されているんですよね。
道路交通法七〇条のいわゆる安全運転義務は、同法の他の各条に定められている運転者の具体的個別的義務を補充する趣旨で設けられたものであり、同法七〇条違反の罪の規定と右各条の義務違反の罪の規定との関係は、いわゆる法条競合にあたるものと解するのが相当である。したがつて、右各条の義務違反の罪が成立する場合には、その行為が同時に右七〇条違反の罪の構成要件に該当しても、同条違反の罪は成立しないものと解するのが相当である
昭和46年5月13日 最高裁判所第二小法廷
同法七〇条の安全運転義務は、他の各条の義務違反の罪以外のこれと異なる内容をもつているものではなく、その構成要件自体としては他の各条の義務違反にあたる場合をも包含しているのであるが、ただ、同法七〇条違反の罪の構成要件に該当する行為が同時に他の各条の義務違反の罪の構成要件に該当する場合には、同法七〇条の規定が同法の他の各条の義務違反の規定を補充するものである趣旨から、他の各条の義務違反の罪だけが成立し、同法七〇条の安全運転義務違反の罪は成立しないものとされるのである。
昭和46年10月14日 最高裁判所第一小法廷
これは法条競合時は他条優先の原則で、要はほかの条文で処罰される違反については70条違反を併科出来ないというもの。
ただし道交法の中には故意犯のみが処罰対象になるものもある。
70条は故意犯と過失犯の両方の処罰規定なので、他条で故意犯しか処罰対象ではないものでも、70条の過失犯として処罰することは出来ます。
同法七〇条後段の安全運転義務違反の罪が成立するためには、具体的な道路、交通および当該車両等の状況において、他人に危害を及ぼす客観的な危険のある速度または方法で運転することを要するのである。
昭和46年10月14日 最高裁判所第一小法廷
具体的な状況下で客観的に危険と言える速度か方法を認定しないと安全運転義務違反は成立しません。
こういうのを分かっていないと、


車間距離保持義務違反(26条)が成立するだけで70条は成立しません。


それは他人に危害を及ぼす恐れがあるんですか?
状況次第で成立する余地はあるけど、手信号出すくらいなので危険性が無い場所でしょ。
成立せんわ。


ドリンク飲むくらい余裕がある場所で、誰にどのような危険性を及ぼすんですか?



あのロード乗りのサングラス怖いし危険人物に見えるから安全運転義務違反だよね?

立ち漕ぎが安全運転義務違反になる恐れ・・・
状況次第ではあり得るかもしれないけど、ちょっと無理筋ではないですかね?
強いて言うなら、違う部分が立っている状態でロードバイクに乗ると、違う意味での安全運転義務違反が成立するかもしれませんが、走行中におっ立てる人がいますかね。
立ち漕ぎが安全運転義務違反というのはちょっと解釈に無理がある気がしますが、状況次第では成立する余地もないとも言えません。
けどこういう広報資料とかって基本はママチャリの話だと思うので、ママチャリでスプリントして下見ている人がいるとも思えないし・・・
何でもかんでも安全運転義務違反罪が成立するみたいにされるのは、ちょっと違うんじゃないでしょうか?
ちなみにですが、理屈の上では時速10キロ程度でも安全運転義務違反が成立する余地はあります。
目隠しして自転車に乗れば、時速10キロだろうと成立する余地はある。
自転車に逆立ちしながら乗れば、時速10キロくらいでも成立するかもしれませんw
目隠しして乗るバカがいるとは思えませんが。
逆走自転車が迫ってくる状況で、優雅にドリンクを飲みだしたすれば安全運転義務違反になる可能性とかはあるかもしれませんが、どちらにせよ具体的な状況下で、客観的に他人に危害を及ぼす恐れがある速度か方法を認定しない限りは安全運転義務違反は成立しない。
安全運転義務違反は、具体的な状況下で他人に危害を及ぼす恐れがある速度か方法ということなので、例えばですが見通しが悪い左カーブでドリンクを飲み名が運転するとか、そういう話。
見通しがよくて前方に歩行者等がいないことが明らかない状況でドリンクを飲んだとして、誰に危害を及ぼすんだ?
何でもかんでも安全運転義務違反とか言いだす人がいるけど、立ち漕ぎが安全運転義務違反になる恐れ・・・ゼロとは言いませんがなんか違うんだよなぁ。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント