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そーいやどうでもいい話。

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ちょっと前にこんなコメントを頂きました。

読者様
読者様
この人もそうですが、管理人さんにつっかかってくる人って法律の専門家でもないのにまるで自分は専門家であるかのように発言してきますねw
管理人さんみたいに警察に電話して聞けばそれで正否がわかるのに。
でもこの人達のおかげで自分が知らなかったことも知ることできたし、管理人さんもネタを拾うことができるし、いいことだらけ?

専門家じゃないですが

私自身、法律の専門家なんて身分ではないのですが、これの件。

 

信頼の原則。
この人の間違いの元凶と思わしき判例について説明しておきます。前提この人の理論では、横断歩道が赤信号だろうと、信号無視して横断開始された場合には道路交通法38条1項の義務があるというスタンスのようです。上のイラストでも明らかなように、横断歩道...

 

言ったけど言ってない。
正直、本当に意味がわかりません。200mから義務ありとは言ってないと言い出すけどさ、例えば200m先に老人が信号無視して横断歩道を歩いています。70条、38条両方の義務はある。「例えば」という具体例として「200m先に見える状況」を挙げて「...

 

たぶんなんですが、横断歩道には38条しかないとでも思っているのではないかと。
38条の義務がないことは、事故を起こしていい理由になるはずもなく。

 

これなんかもそうです。

 

横断歩道の自転車通行と、38条の関係性。
こちらにまとめ直しました。以後、追加は下記にしていきます。先日このような記事を書いたのですが、記事でも書いたように、横断歩道=歩行者のためのもの、自転車横断帯=自転車のものなので、基本的には横断歩道を通行する自転車に対しては適用外です。ただ...

 

横断歩道を横断しようとする自転車がいても38条の義務はない。
38条の義務がないことは、事故を起こしていい理由にはならないし。

 

優先権と事故回避義務を混同するから意味不明な主張になるだけなんじゃないですかね。

 

38条の義務がない場面でも、事故が起きる可能性(予見性)がある場面では減速したり徐行するなど警戒する義務はあるわけだし。
これの違いを理解してない人ってそこそこいる。
車両の運転者は、予見可能なことは回避する義務があるの。
予見可能なものを回避しなかったことを、法律上は「過失」と呼びます。

 

ちなみになんですが、車や原付については、事故を起こした場合には無過失の立証をしない限りは賠償責任を負う法律になってます。

 

自賠法

(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない

民法709条は逆です。

(不法行為による損害賠償)
第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法709条は、損害賠償を求める側(被害者)が加害者の不法行為を立証する。
自賠法3条は逆で、無過失を証明出来ない限りは賠償責任を負う規定になっています。

 

自賠法の対象は車、オートバイ、原付など免許制の乗り物。
自転車は対象外です。

 

自賠法3条がこのようになっている理由はまさに「弱者保護」でして、自力で無過失の立証をしない限りは賠償責任を負うシステムです。
ずいぶん前の判例ですが、このような判例があります。

センターラインをはみ出してきた対向車に衝突された事故をめぐる民事訴訟でしたが、衝突された車両に過失はなかったとはいえないとして4000万円もの損害賠償を命じられた

 

福井地裁の「もらい事故」判決が出された背景とは?(THE PAGE) - Yahoo!ニュース
福井地裁の「もらい事故」判決がネットなどを中心に波紋を広げました。センターラインをはみ出してきた対向車に衝突された事故をめぐる民事訴訟でしたが、衝突された車両に過失はなかったとはいえないとして40

判例は平成27年4月13日福井地方裁判所です。
判決文は裁判所ホームページにも出てますが、そもそも報道が雑過ぎて正しく理解している人は少ないような。
結局のところ、無過失の立証がない以上は自賠法3条により賠償責任を負うだけの話。

 

最近だとこんな判例もあります。

 

横断歩行者に過失100%をつけた珍しい判例。
横断歩道がなく、かつ横断禁止ではない道路の場合、民事上では車にもかなりの過失がつきます。目安は歩行者:車=20:80。ところが、横断歩行者に過失100%とした珍しい判例もあります。横断歩行者に過失100%※画像と事故現場は関係ありません。判...

 

横断歩道ではないところを横断し事故が発生した判例です。
加害者側の無過失の立証を認め損害賠償請求を棄却しました。

原告には、夜間、幅員約30m(片側約13.8m)の国道を左右の安全確認不十分のまま横断したことについて過失が認められ、また、証拠によれば、被告車両に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことも認められるから、被告は、自賠法3条ただし書の適用により、同条本文の損害賠償責任を免れる。
そして、以上の検討結果によれば、被告に民法709条所定の過失が認められないことが明らかであり、同条による損害賠償責任も負わない。

 

新潟地裁長岡支部 平成29年12月27日

この判例、かなり長い判決文なのでかなり大雑把にしか紹介していませんが、横断歩道ではないところでの横断事故の場合、基本過失割合は歩行者:車=20:80。
それが100:0になった判例です。
なお、車は法定速度をオーバーしていたと認定されてますが、法定速度内で通行していても回避不可能との判断です。

 

どれだけ注意していても防げない事故は存在するわけで、歩行者側にも相応の注意義務があるわけですが、大怪我したのに1円も支払う義務がない。

 

法律は不可能なことまで義務にしているわけではなくて、きちんと注意義務を怠ることなく進行したとしても事故は起こる。
以前、時速20キロで進行していても3m以内に停止できるとか寝惚けた発言している奴がいましたが、人類には不可能です。
断言しますが、人間の反射能力を越えてます。
出来もしないことを出来ると思い込んで過信している奴が一番危ない。

 

出来もしないことを出来るかのように語るよりも、まずは法律が求める注意義務を全部クリア出来るように努力すべき。
不可能なことをやれというのではない。
当たり前のことを当たり前にやれというだけのこと。
当たり前のことを当たり前に出来ない人が多いから問題になっているわけで、不可能な曲芸的プレイなんて誰も要求していないのですよ。

 

先日のロードバイクの件については、

 

難しい、のか?
こんなのが話題になっているようですが。右折車と左折自転車動画が切り取られているのでわかりづらいけど、自転車が左折、対向右折車が右折直後に道路外に左折しようとしたものと思われます。凄く微妙な位置関係なのでわかりづらいけど、車が道路外に左折する...

 

そもそもあれ、右折車が悪いことは見りゃわかる。
想定外のプレイを予見して回避しろという話ではなくて、左折時徐行義務(34条1項)を果たしていたら左折完了まで徐行義務があるわけで、徐行状態からならトリッキーで予測不可能なプレイをされても急ブレーキで回避出来るだけのこと。

 

普段から左折時に徐行しない人には理解できないだろうけど。

 

対向右折車と左折車が衝突した判例。
先日ちょっと書いた件ですが、自転車に違反がないとか、回避不可能とか語る人は道路交通法を理解していないのかと。左折時には徐行義務がありますが、あれを徐行とみなすのはヤバい。(なお、過失の大小で言うなら対向右折車がはるかに大きいですが。)(左折...

 

二輪車の特性上、それなりの速度で左に曲がろうとしたら視線はコーナーの出口に向けることになるけど(膨らんでしまう)、だからと言って右折車の動静を注視する義務は無くならない。
徐行義務と交差点内動静確認義務など考えたら、交差点付近の状況を確認しながらの左折って最徐行に近いレベルにならざるを得ないんだよな、ロードバイクの場合は。

 

以上の理由から、右折車のトリッキーなプレイを予測する必要はなく、単に徐行義務と動静確認義務を果たしていたら回避可能。
トリッキーなプレイ自体の違法性はまた別問題。

 

問題を切り分けられない人って多いのかなと思うけど、例えば横断歩行者事故の65.1%に歩行者の違反があった(令和元年)。
よくこの手の話になると、「車だって横断歩道で止まらないのだから、歩行者を責めることはしない」とか言う人っているんだけど、基本的に「別問題」。
歩行者には大して難しいルールは課してない上に、ほとんどの違反について歩行者には直接的な罰則すら置かないことによりバランスを保っている。

 

歩行者が違反したから事故を起こしていいわけでもないし、車が横断歩道で止まらないから歩行者が違反してもいいなんて理屈もないし、歩行者が違反するから車も違反していいなんて理屈もない。
基本、別問題。

 

「あっちがこうだからこっちも」みたいな小学生レベルの発想は、本当のアホなんだろうなと。
煽り運転する人って「やられたからやり返す」的なしょーもない発想の人がいるわけで、煽り運転する奴と発想が同じレベルにしか聞こえない。

判例は判例に過ぎず

ちょっと前にこんな判例を取り上げました。

 

路側帯を通行する自転車は、どの程度の速度まで認められているのか?
自転車は路側帯を通行可能ですが、ちょっと前の記事についていろいろ質問を受けていたので。路側帯の定義と自転車路側帯と路肩を混同すると話がおかしくなるので、まずは定義から確認します。三の四 路側帯 歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つた...

 

路側帯を通行する自転車は、どの程度の速度まで認められているのか?②
前回の続編です。前回は業務上過失致死傷容疑の刑事事件。このように路側帯を時速50キロすり抜けして交差点に進入したオートバイについて、37条の直進車優先はないとした判例です。今回は民事で、状況はほぼ同じですがオートバイの速度は30キロ、対向右...

 

どちらもオートバイが路側帯を高速度進行して右折車と衝突した事例です。

東京高裁は被告人(右折車)に過失はないとして無罪にし、仙台地裁は被告(右折車)に過失はないとして損害賠償請求を棄却。
法律上、交差点では直進車優先ですが法律は不可能なことまで強いているわけではなくて、きちんと注意義務を怠ることなく果たした場合には過失を認めない。

 

最近さ、歩行者側の違反行為(赤信号無視など)によりオートバイの運転者が死亡する事故すら起きてますし、いわゆる「当たり屋」の事例につき運転者を無罪にした判例などもあります。

 

当たり屋さんを防げない。
こちらのアンケートですが、まあいつも通り、機材に関係ないアンケートは低調です笑。ちょっと気になる意見があります。民事の過失割合頂いたご意見。自転車側のフラツキも含めて、事故時の車側過失が100%になるなら数値規定なしでも良い。民事の過失割合...

 

法律は不可能なことまで求めているわけではないのでね。

 

自転車だろうと歩行者だろうと、きちんと法律を理解してないと事故は防げないから。
最近だと、横断歩道を自転車で横断した事故について、自転車が車の進行妨害したと判示しているものすらある(福岡地裁平成29年5月31日、控訴棄却福岡高裁平成30年1月18日)。
高齢者修正込みで30:70なので、高齢者や子供以外なら40:60くらいですかね。
自転車側の違反についても評価する事例もあるので、優先関係がどうなっているのかきちんと知らないと。
自転車だからといって違反を甘く見る時代はもう終わったのですよ。

 

おっと、話を冒頭に戻します。
冒頭の件についてはいろんな方からメール等頂いてますが、あえてこだわって書いたのは一応理由があります。
SNSの時代は好き勝手な意見を安易に発信する人が多いけど、その結果として何が起きるかはわかるかと。
裁判長がおかしいとか平然と語っていたけど、裁判長がおかしいケースで批判するならともかく、自身の勉強不足で非難するようなことは慎むべきという話です。

 




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