警視庁は自転車の「悪質な」違反に対し、「積極的に」赤切符を切る運用を始めるそうですが、
これについて。
悪質な違反
何を以て悪質な違反とみなすのかはケースバイケースでしょうけど、昨年でしたっけ。
これが話題になっていたのは。
自転車で赤切符切られた話
先日呟いたらレポート需要があるとのことなので、つらつら書いていきたいと思います。主観と心の声がうるさいと思いますが、気が向いたら読んでみてください。
遡ること3週間ほど前
仕事が休みだった義理母に0歳息子を預けて、自転車で買い出しに出ました。— あしゃ (@asami2692) November 17, 2021
車道から交差点に進入し、車道の信号が赤、横断歩道の信号が青(いわゆる歩車分離式)で、横断歩道の信号に従って進行したという話。
これさ、確かに分かりにくいルールです。
車道から進行した自転車は車道の信号に従う。
ただし、横断歩道の信号に「歩行者自転車専用」と書いてある場合は、車道進行自転車でも横断歩道の信号に従うルールです(歩道進行自転車は横断歩道の信号に従う)。
「こんな程度で赤切符はおかしい」とか「自転車が気の毒だ」みたいな意見を平然と語る人がいたけど、そもそもこの方が赤切符を切られた理由は違う。
さらに言うと、車道を渡ったとこ横断歩道を渡っていた作業着のおじさんの通行を妨げたというのである。おっと、という感じに、すこし足を止めた、とのことだった。
信号無視と、歩行者妨害。
2つ重なってしまうと、さすがに見過ごすことができない、とのことだった。おっさん!!!😂
— あしゃ (@asami2692) November 17, 2021
信号無視+「横断歩行者妨害」が加わったことにより赤切符なワケ。
歩車分離式信号で自転車が従うべき信号については、確かに分かりにくい。
それ単独で赤切符を切るほどの悪質性はないので、通常は注意止まり。
しかし、横断歩行者妨害も加わったことにより悪質と判断されての赤切符になるわけだ。
こういうのもさ、ちゃんと中身を読んでない人からすると事実誤認による批判を繰り広げるけど、自転車による横断歩行者妨害は普通に死亡事故が起きてますからね。
そりゃ悪質と判断されるよな。
全然理解してない例↓
自転車で赤切符(免停)!? とある主婦のツイート話題 なぜ「アウト」かhttps://t.co/gHjxpHNtym
自転車に乗っている時に従うべき信号機がどれか、子供や外国人でも分かるように専用信号機があれば、あのような不条理に厳しい取り締まりを受けずに済んだのでは思うと気の毒でなりません。 https://t.co/fmXRzKAqVF
— ろぜつ@自転車 (@rzt_ashr) November 20, 2021
信号間違えても、横断歩行者妨害しなけりゃ赤切符にはしないって笑。
分析力の欠如。
自転車のルールの中には分かりにくいものがあるのは事実で、そんなことまでいきなり赤切符にはしない。
信号間違えても歩行者妨害しないよう注意していれば赤切符まではしないもんです。
「歩行者が足を止める程度に危険があった」のだから、根本的な安全意識の問題。
ところで、自転車に対する赤切符のうち、98~99%は不起訴です。
起訴猶予処分。
あくまでも反省を促すプロセスに過ぎなくて、前科持ちにするほどのこととまでは考えていないようです。
ただし、出頭命令を無視すると逮捕案件に変わります。
ルールが必ずしも周知されてない状況から見れば、罰金という刑罰を以て対処するよりも、「平日に仕事休んで検察に出頭する」というプロセス自体をある種の刑罰的に考えているのかなと思いますが、即座に前科持ちにすることは極めてマレだということを付け加えておきます。
以前、逆走自転車と衝突した「順走自転車」が書類送検された判例を紹介していますが、
それなりに短期間の間に、安全運転義務違反(70条)と重過失傷害罪の嫌疑で書類送検されていますが、全て不起訴になっています。
順走側なので悪質性は低いとは言え、逆走自転車も不起訴です。
実際のところ
赤切符を切られない程度に自転車のルールを守ること自体何ら難しくもなくて、「止まれ」と書いてあれば止まればいいし、赤信号なら止まるし、夜はライトをつけるし、危ないからちゃんと前を見て乗るし。
スマホながら運転とか、前をみないでよく乗れるなと思うけど。
車道の左側を通行することも何ら難しい技術を要求していませんし、車道を通行するのが危険なら歩道を徐行すりゃ済むし。
歩道を徐行したくないというなら単なるワガママなんで、自転車に乗らなきゃ済むし。
「自転車インフラがきちんと整備されてないから逆走が出る」みたいな話をしだす人もいますが、
「自転車道」というインフラを整備しても、自転車道の中で逆走する自転車が現れるくらいなので何ら説得力がないご意見としか。
自転車道のほうがよっぽど逃げ場もないし、車道よりも危険ですな。
バカが現れたときには、自転車道のような空間は厳しい。
インフラがきちんと整備されてないから逆走するという理論はチンカス系サイクリストがよく使う「論点逸らし」の手法ですが、現状でも普通に左側通行を守っている自転車に対し失礼だし、単なる言い訳。
違反を肯定したいがための言い訳に過ぎません。
まあ、ルールを守っている側からすれば赤切符を積極的に運用する方針は歓迎だし、何も恐れる理由がない。
違反しなけりゃ赤切符を切られることはないのだから。
以前も挙げた判例ですが、
適法に車道を進行していても、歩道からノールック車道アタックを決めてくる自転車がいて、お若いのに言語障害と片半身の麻痺という重篤な後遺症が残り、しまいには過失割合50:50なんて判決になる。
ルールを守らないことの恐ろしさって、本人が想定してないような重大事故になるのね。
インフラ整備されても、ルールを守らない自転車がいたら変わらん。
ということで、赤切符運用が全国展開することを望みます。
犯罪者を積極的に検挙する方針に反対する理由もない。
そもそも、違反しなけりゃ何ら問題ないしね。
普通のことを普通にやればよい。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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