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通行と横断は二者択一()。

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最近、通行と横断は別だという説を語る人が増えているのかな。

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これさ、以前も書いたけど。

 

横断歩道と自転車の判例。
以前、横断歩道を渡ろうとする自転車の判例をいくつか挙げたのですが、正直なところこれについては道交法と実態の差が激しい面があって、どちらにせよ事故を防止する観点から考えると横断歩道を渡ろうとする自転車がいたら一時停止するのが当たり前のこと。そ...

 

なんだかよくわからないイチャモンつけてきた方がいて、リンク先を参考に書き直せと言われたリンク先がこれ。

この法律の本質を考えてみます。何もない原っぱにA地点からB地点までアスファルトで固めて道路を作ったと想像してください。まだ何もラインも標識も無いまっさらな道路では、[A地点からB地点を目指していない]誰もが自由に道路を横断【交】し、[A地点からB地点を目指している]誰もが自由に道路を通行【通】します。それでは危険なのでルールを制定しましょうというのが道路【交通】法です。

つまり【横断】と【通行】の2つは他の用語よりも2大要素といいますか、【横断】と【通行】という行為自体が大原則であると考えると道路交通法のすべてのつじつまが合います。禁止や制限がされなければ、【横断】と【通行】は当然の行為でいわずもがなということであり、道路交通法でわざわざ制定する必要がないということです。

【横断】と【通行】は2者択一であり、そのどちらとも取れる場合は【進行】という表現を使っています。【横断】行為には道路を横切るという行為しかありませんが、【通行】行為には(徐行・停止・通過・並進・左折・右折)など道路を進むにあたり制定する通行方法がいろいろあります。そういうイメージをもって道交法を読むと、理解度が格段にアップします。

 

道交法第38条で信号のない横断歩道を渡ろうとする自転車がいたら車両には停止義務があるとわかる話 | デフよん

通行と横断は別物説は流行りなんですかね?
考え方としては、通行という概念の中に横断が含まれるのが正解。
道路交通法を見れば明らか。
条文を挙げて説明します。

17条1項

17条は通行区分の規定。

(通行区分)
第十七条 車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第四十七条第三項若しくは第四十八条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない

車道を通行せよと定めていますが、「通行の除外規定として」、「ただし~この限りではない」としている。
つまり、歩道等を横断することは「通行」の概念の例外規定だとわかりますね。
通行と横断が別物なら、わざわざ17条1項を作る必要がない。

 

横断は通行の一形態だと理解できます。

38条1項

お馴染みの横断歩道の規定ですが、後段。

この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

もし横断と通行が別物なら、38条1項は歩行者の「通行」を妨げるなという規定なので、「横断」は妨げてもOKになってしまう笑。
不合理なのはいうまでもなく。

 

なお、38条の2も同じ。

第三十八条の二 車両等は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない。

横断している歩行者の通行を妨げるな」ですから、横断とは通行の一形態だと理解できます。

63条の6~8

63条の6~8は、自転車横断帯の使用義務と警察官の指示権の規定。

(自転車の横断の方法)
第六十三条の六 自転車は、道路を横断しようとするときは、自転車横断帯がある場所の付近においては、その自転車横断帯によつて道路を横断しなければならない。
(交差点における自転車の通行方法)
第六十三条の七 自転車は、前条に規定するもののほか、交差点を通行しようとする場合において、当該交差点又はその付近に自転車横断帯があるときは、第十七条第四項、第三十四条第一項及び第三項並びに第三十五条の二の規定にかかわらず、当該自転車横断帯を進行しなければならない

63条の6は横断、7は通行としていますが、警察官の指示権はどちらも「通行」になる。

(自転車の通行方法の指示)
第六十三条の八 警察官等は、第六十三条の六若しくは前条第一項の規定に違反して通行している自転車の運転者に対し、これらの規定に定める通行方法により当該自転車を通行させ、又は同条第二項の規定に違反して通行している普通自転車の運転者に対し、当該普通自転車を歩道により通行させるべきことを指示することができる。

もし横断と通行が別物の場合。
63条の6は「横断」の規定、8では「通行の指示」なので「横断の指示」が出来なくなるという珍事を巻き起こす笑。

 

今さら書くまでもなく、横断とは通行の一形態に過ぎないことが理解できます。

通行と横断の関係

簡単にまとめます。

プレイ 含まれるプレイ
通行 進行、停止、直進、右左折(道路外含む)、横断、転回、後退など全て
進行 通行のうち、停止状態以外

17条1項で、「通行区分」を定めながらも「通行区分の例外規定」を置いていたり、38条などをみれば明らか。

 

横断とは、通行の一形態。

 

けどこの「通行と横断は別理論」って流行りなんですかね?
別だというなら、38条は横断歩行者の横断を妨害しても違反ではなく、通行を妨げるのは違反だという謎状態になりますが。

 

まあ、Twitterの方は最高裁判所判例があっても認めないという実力派なので、道路交通法を理解しているとも思えませんし、理解するよりもエゴを撒き散らすだけの人なんでしょうけど。

 

まあ、これを信号無視に見えない実力派の方もいらっしゃいますが、

 

これを信号無視に見えない方々。
なかなかな。歩道を進行していた自転車と、交差道路を青信号で進行した車の衝突事故。ビックリすることに、この自転車を「信号無視には当たらない」とか「自転車を規制する信号はなかった」と捉える方々がいる。らしい。アホかそもそも交差点の範囲とは何を指...

 

道路交通法って分かりにくいけど、偉そうに語る人ほど間違っているなんてことは多いのかもね。
自分も気を付けないと()。
ちなみに「信号無視にならない」という凄まじいご意見はこちら。

この程度の理解では、そりゃ事故は減らない。
あのタイプの信号って、田舎道では多いんだけどな。
いい、悪いは別として。
おかしな解釈に陥らないように隅切りがあるのですが、交差点の定義を理解していないと話にならない。

なお、道路交通法2条5号にいう道路の交わる部分とは、本件のように、車道と車道とが交わる十字路の四つかどに、いわゆるすみ切りがある場合には、各車道の両側のすみ切り部分の始端を結ぶ線によつて囲まれた部分――別紙図面斜線部分――をいうものと解するのが相当である。

最高裁判所第三小法廷  昭和43年12月24日

けど、通行と横断は二者択一説が流行る原因は何なんだろう?
以前挙げたリンク先についても、自らが挙げた「前提」から間違っているので、その先も全部間違うというなかなかの法律解釈を披露していらっしゃるので、頭がクラクラします。
一瞬で論破されるレベルの間違いなのに。
とりあえず、根拠のない話には十分注意しましょう。

 
そして、歩道を進行して横断歩道がない交差道路を進行する自転車も、車道の信号機に制御されていることは理解しましょう。

信号無視になりますから。
分かりにくいことは加害者の過失ではなく、道路管理者の問題になりますが、道路管理者の責任追及って法律上極めて難しい。





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