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自転車が左折巻き込みにあった場合の判例。

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先日の続きです。

 

「自転車の左折巻き込み」と民事判例の考え方。
先日の話の続き。 アホ車が左折する際に自転車を巻き込むのは、左側端寄せが不十分、合図不履行、左後方確認義務違反などが残念ながら多い。 左折前から寄せることで自転車など2輪車の進入を防ぎ、徐行によりリスクを減らすとも言えますが、なぜか雑になる...

 

今回は判例をいくつか。

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東京地裁H21.12.22

事故態様から。
正確な位置取りは不明ですが、衝突部位は自転車の前部と左折車の左後輪付近。

交差点進行後、先行車が十分左側端に寄らないまま道路外に左折。

過失割合

左折車 自転車
70 30

双方の過失

左折車 自転車
十分左側端に寄らず、後方確認しないまま左折した過失(25条1項) 車間距離を十分取らず適切な回避行動ができなかった

なお、争点の一つに「自転車が追突のような形で接触(左折車の主張)」がありますが、衝突部位から追突は否定。
自転車にもまあまあ大きな過失をつけた判例です。

名古屋地裁H29.11.22

まずは事故態様から。
クルマが先行、自転車は車間距離を取り左後方を進行。
歩道にはガードレールがあります。

先行車が僅かに減速したものの、合図なし、左側端寄せなしで突如道路外に左折。

後続自転車は回避できずに衝突。

過失割合

左折車 自転車
100 0

本件事故の態様は、原告自転車が、一定の車間距離を開けて被告車に追従して進行していたところ、被告車は、本件事故現場の手前で減速を開始したものの、被告車を左側に寄せることなく、左折ウインカーを出さずに、本件駐車場に進入しようと左折を開始し、原告は、被告車が左折を開始して初めて、被告車が左折しようとしていることを認識し、ブレーキを掛けたものの、それにより、原告自転車の後輪が浮き上がり、原告自転車ごと体が前方に投げ出され、被告車の左後輪付近に原告の体が衝突したというものであったと認められる。

 

このような事故態様からすると、被告には、左折するにあたり、方向指示器により合図をし、左折が終わるまでその合図を継続しなければならない義務(道路交通法53条1項)、道路外に出るため左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、徐行しなければならない義務(同法25条1項)、被告車のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない義務(同法70条、以下「安全運転義務」という。)を負うにもかかわらず、これを怠り、追従して進行する原告自転車から、被告車があらかじめ本件駐車場に進入するために左折することを認識できない状況のまま、左折を開始し、原告自転車の進路を妨げ、急ブレーキの措置を取らせた過失があるといえる。
なお、被告車がもともと道路の左側寄りを走行していたとしても、その進行経路を進行し続けている限り、後続車から左折の可能性が認識できるとはいえないから、この点によって過失の有無及び程度は左右されないというべきである。

 

他方、被告車が、道路の左側端に寄ろうとして方向指示器による合図をした場合には、原告自転車は、その速度及び方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、進路の変更を妨げてはならない義務を負うが(同法25条3項)、上記のとおり、被告車は左側端に寄らず、方向指示器による合図もしていないから、原告にそのような義務があるとはいえない。また、原告も、安全運転義務を負うが、交差点における左折とは異なり、本件現場で被告車が左折することを認識するには、左折ウインカーの点滅を初めとする被告車の動向によらざるを得ないところ、被告は左折ウインカーを出さず、左側に寄せることもせず、本件事故現場の手前で減速を開始したものの、その減速の程度が被告車の停止や左折を予想されるに足りるものであったと認定できないことからすれば、原告は、被告車の左折を、被告車の左折開始まで認識、予想することはできなかったというべきであり、原告が被告車に追従して原告自転車を走行させたことに安全運転義務違反があったとはいえない。また、上記認定の被告車の左折の態様からすれば、原告が自転車のブレーキ操作等により転倒を回避できる時点で、被告車の左折開始開始を認識しなかったことが、原告の前方不注視や不十分な車間距離にあったとただちに認めることはできず、原告に過失があるとは認められない。

 

名古屋地裁 平成29年11月22日

違反ではなく過失の争い

民事は過失、つまり予見可能な結果を回避しなかったことを争うわけで(民法709条)、予見不可能&回避不可能なら当然のように過失ゼロになります。
もちろん道路交通法違反がなくても過失にはなります。

 

追い越し直後に左折するようなタイプについては、自転車としては予見不可能な上、回避不可能になるのですが、車間距離についても道路交通法の規定を厳格に解釈するわけではないようです。

 

基本的には左折車の過失を大きく認定しますが、中には逆のケースもあるので、結局は個別判断としか言えません。

 

左折するときに先行自転車に被せたら何が起きるかくらいわかりそうなもんですが、残念ながら自転車同士でもこんなメチャクチャな事故は起きているのが現実。

 

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