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左方優先?一時停止?

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いきなりですが質問です。

道路幅員が同程度、センターラインや車両通行帯はなく、左右道路には一時停止規制があります。

1、この交差点に優先道路はありますか?
2、優先順位はA車、B車どちらが上ですか?
3、双方の車両に課された義務はなんですか?
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左方優先?一時停止?

さて。
なんでこんな話をするかについてはさておいて。

 

左右道路には一時停止規制があるので、A車は一時停止し交差道路の進行妨害をしてはいけないのはわかると思う。

(指定場所における一時停止)
第四十三条 車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。

これは誰でもわかりますね。
次。
なんと恐ろしいことに、B車は左方優先(36条1項1号)だから一時停止したA車の進行妨害をしてはいけないと解釈する人がいらっしゃる。

(交差点における他の車両等との関係等)
第三十六条 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、次項の規定が適用される場合を除き、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に掲げる車両等の進行妨害をしてはならない。
一 車両である場合 その通行している道路と交差する道路(以下「交差道路」という。)を左方から進行してくる車両及び交差道路を通行する路面電車

えっ!?
双方に進行妨害禁止が課されたら、どうすればいいの?笑

 

さて、これをどのように解決するか。
そもそも36条(4項除く)は双方に交通規制がない条件で働く優先順位の決め方なので、一方に「一時停止規制」が掛かっている条件では左方優先の原理は働かない。
しかしB車からすると「交差点左側」の見通しが悪い以上、42条1項により徐行義務がある。

(徐行すべき場所)
第四十二条 車両等は、道路標識等により徐行すべきことが指定されている道路の部分を通行する場合及び次に掲げるその他の場合においては、徐行しなければならない。
一 左右の見とおしがきかない交差点に入ろうとし、又は交差点内で左右の見とおしがきかない部分を通行しようとするとき(当該交差点において交通整理が行なわれている場合及び優先道路を通行している場合を除く。)。

優先道路とは、交差点内にセンターラインか車両通行帯がある場合のみです。

 

では冒頭の質問。

1、この交差点に優先道路はありますか?
2、優先順位はA車、B車どちらが上ですか?
3、双方の車両に課された義務はなんですか?
いろんな人
いろんな人
1、この交差点に優先道路はありますか?
管理人
管理人
優先道路はありません。
優先道路とは交差点内にセンターラインか車両通行帯がある場合のみです(36条2項カッコ書き)。
いろんな人
いろんな人
2、優先順位はA車、B車どちらが上ですか?
管理人
管理人
もちろんB車です。
一時停止規制がある側はそれだけで劣後します。
いろんな人
いろんな人
3、双方の車両に課された義務はなんですか?
A車 B車
一時停止&交差道路の進行妨害禁止(43条) 徐行義務(42条1項)

双方に進行妨害禁止が課されるなどという恐ろしい解釈をする人がいるとは思いませんでした。
それは実現不可能では?

 

「優先道路」と「優先順位」は別概念。
一時停止規制は左方優先や広狭関係よりも強い「交通規制」なので、当然劣後します。
けど優先順位が高い側も見通しが悪い以上は徐行義務を免れません。

ビックリした笑

まさかこんな珍解釈をする人がいるとは思いませんでした。

双方に進行妨害禁止が課されたら、ジャンケンか得意の譲り合い以外では危なくて進行できなくなりますが、片方に一時停止、片方に徐行の状態ならそれだけで既に明らか。

 

なお、優先道路(交差点内にセンターラインあり)側に一時停止規制を掛けることは混乱を招くため、あり得ません。

 

これと交差する道路の方に同法43条による一時停止の標識があつても、同法42条の徐行義務は免除されないものと解すべきである。(中略)本件のように、交差する双方の道路の幅員が殆んど等しいような場合には、一時停止の標識が存在しても、その存在しない方の道路を進行する車両等の運転者にとつては、その標識の存在を認識することは、必ずしも可能であるとは限らず、もし、右認識を有する者についてだけ、同法42条の徐行義務を免除することにすれば、当該交差点における交通の規整は一律に行なわれなくなり、かえつて無用の混乱を生ずるであろうからである。また、本件のように、あまり広くない道路で、しかも交差点の見とおしのきかない場合には、歩行者の安全も考慮しなければならないことは、原判決も説示するとおりであり、このことも前記解釈の根拠となり得るであろう。

 

最高裁判所第三小法廷 昭和43年7月16日

信号があるなら当然左方優先なんて関係ありませんが、一時停止規制は交通整理の次に「強い規制」なわけで、36条1項の規定よりも優先することは条理上当然なのです。
一時停止した車両に対し、左方優先から進行妨害禁止なんてするなら、何のために一時停止規制を掛けるのかすらわからない。

 

けどまあ、どや顔でこういう解釈をする人がいるとは、

何かがおかしいと疑問に感じないのですかね。
昭和の時代から当たり前に解釈されてきたことが、令和になっても誤解する人がいる。


コメント

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