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自転車が歩道を走り出したのは失敗なのか?

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昭和45年に一部歩道にて自転車の通行が許可され、もう50年以上経ちました。
自転車が歩道を走り出した政策は失敗なのか?という疑問があります。

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自転車が歩道を走り出した経緯

自転車が歩道を走り出したのは昭和45年。
車道を通行する自転車とクルマの事故多発から、自転車を歩道に上げたものと言われてます(ただしそれ以前から、警察官の任意指導で自転車が歩道を通行していた)。

 

昭和45年改正で出来たのはこれ。

(自転車の歩道通行)
第十七条の三 二輪の自転車は、第十七条第一項の規定にかかわらず、公安委員会が歩道又は交通の状況により支障がないと認めて指定した区間の歩道を通行することができる
2 前項の場合において、二輪の自転車は、歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければならない。

公安委員会が認めた歩道のみ(自転車通行可の標識あり)が通行可能。
今と異なり、徐行義務を明記していません。
自転車の歩道通行を解禁してまもなく、歩道上で自転車と歩行者の衝突死亡事故が起きるなど問題は多発。

 

歩道での徐行義務が明記されたのは昭和53年。
このときに「普通自転車」の定義も出来ました。

(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四 普通自転車は、第十七条第一項の規定にかかわらず、道路標識等により通行することができることとされている歩道を通行することができる。
2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない

歩道では歩行者が最優先、徐行して必要に応じて一時停止することが明記されています。

歩道の「徐行」とは時速4、5キロと国会で説明されていますが、現在の解釈は時速6~8キロ。
歩行者を最優先する趣旨を考慮し、いわゆる徐行よりもさらに遅い速度とされます。

なお、現行規定になったのは平成19年。

(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
一 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。

なお、「歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき」とは具体的には「交通の方法に関する教則」で示すと国会答弁がありますが、教則ではこのようになっています。

(4) 普通自転車は、次の場合に限り、歩道の車道寄りの部分(歩道に白線と自転車の標示(付表3(2)22)がある場合は、それによつて指定された部分)を通ることができます。ただし、警察官や交通巡視員が歩行者の安全を確保するため歩道を通つてはならない旨を指示したときは、その指示に従わなければなりません。
(中略)
ウ 道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行することが困難な場所を通行する場合や、著しく自動車などの交通量が多く、かつ、車道の幅が狭いなどのために、追越しをしようとする自動車などとの接触事故の危険がある場合など、普通自転車の通行の安全を確保するためやむを得ないと認められるとき。

時代考査

「自転車通行可」の歩道がある場合の歩道通行率

さて、昭和57年の調査になりますが、「自転車通行可の歩道」がある道路にて自転車がどこを通行していたかの台数調査があります。

歩道 車道
3659台(59%) 2556台(41%)

「車道左側端の自転車通行帯(自転車レーン)調査報告書」(日本自転車普及協会、1982年6月)

やや歩道を通行する自転車が多かったことになる。
「歩道という分離された空間を通行したいニーズ」もあれば、「歩道だと通行方向の指定がない(右側通行可能)」もあるだろうし、その理由は必ずしも明らかではない。

 

ところで車道を通行した自転車の「理由」もあるのですが、

・歩道が狭い
・歩行者と交錯する
・自転車らしい速度で走れない

などが主な理由。
この時代の歩道通行には「徐行義務」がありますが、必ずしも守られていたわけではないとしても、「歩行者が邪魔」として車道を通行する自転車もそれなりにいたことになります。
もちろん、歩行者からすれば「自転車が邪魔」なわけで、自転車と歩行者の利害が不一致だったことも明らか。

自転車による「被害」

歩道は「歩行者の場所」ですが、歩道通行を解禁してまもなく歩行者の死亡事故が起きていますし、歩行者が危険に晒されたことは間違いない。

 

歩道上で起きた自転車対歩行者の判例をテキトーにピックアップします。

①東京地裁 平成8年7月29日判決

1  原告は、平成4年7月31日午後7時ころ、東京都文京区小日向四丁目5番付近の歩道を茗荷谷駅方面から小石川方面に向かい歩行中、同歩道を反対方面から走行して来た被告運転の自転車(以下「自転車」という。)と擦れ違う際、自転車のハンドルが原告のシヨルダーバツグ肩ひもに引つ掛かり、そのため原告が転倒した(以下「本件事故」という。)。
2  原告は、本件事故により、右大腿骨頭頸部骨折の傷害を負い、(中略)までの47日間、(中略)までの31日間、東京都立大塚病院に入院し、人工骨頭置換手術を受けた。

自転車が走行していた歩道は、本件事故当時、丸ノ内線の茗荷谷駅で下車して帰る人で混んでいたため、自転車がやつと通れるほどであり、自転車のスピードを出せない程度であつたから、被告は、自転車が歩行者の持ち物等と接触などして同人を転倒させて傷害を負わせることを予見できた

 

そのため、被告には、そのようなことが起きないように、自転車の運転に注意を払い、場合によつては自転車を降りて手押しすべき注意義務があつたというべきである(このことは、本件事故が起きた歩道で、自転車の運転が認められていたとしても同様である。)。それにもかかわらず、被告は、右注意義務を怠り、自転車を運転したことにより本件事故を起こし、原告に右大腿骨頭頸部骨折の傷害を負わせたものであるから、被告には過失がある。したがつて、原告の主張は理由があり、被告は民法709条の責任を負う。

 

2  ところで、自転車の速度は人が歩くより少し速いくらいであつたが、被告は、自転車のハンドルが原告のシヨルダーバツクの肩ひもに引つ掛かつたことさえ気が付いていなかつたのであるから、注意義務を尽くしていなかつたと認められる。

 

東京地裁 平成8年7月29日

歩道で自転車が起こした事故ですが、ビックリすることに自転車側は「無過失の主張」をしていたりする。
もちろん全責任は自転車だと認定されています。

 

②大阪地裁 平成10年10月16日判決

1  本件事故現場は、南北道路と東西道路がほぼ直角に交差する交差点(本件交差点)の南側で南北道路の西側に設置されている歩道(車道との境にブロックが敷設され、明確に区分されている。)(本件歩道)上である。
2  原告は、本件交差点の南側に設置されている横断歩道(歩行者専用の信号機は存しない。)の西側の本件歩道上で同横断歩道を西から東に横断するべく、信号待ちをして立っていた。
3  被告は、本件歩道を加害車両に乗り、南から北に向かい本件交差点を直進横断するべく進行していた。
本件歩道上で被告の進路前方の見通しは良かった。
4  被告は、進路前方に前記のとおり立っている原告を認めており、かつ、自己の進路前方の対面信号機が赤色表示をしているにもかかわらず、原告はそのまま動かないものと考え、原告の前方(被告の進行方向からすると右側)をすり抜けようとして進行したところ、原告に衝突した。

歩道上で横断歩道の横断待ちをしていた歩行者のすぐ前を、自転車の対面信号が赤にも関わらず突破しようてして衝突。

 

「本件事故により左大腿骨頸部骨折の傷害を負い、左股関節に人工骨頭置換術を受けた」とあるように重傷事故になり、もちろん全責任は自転車です。

 

自転車は「クルマ」と比較して衝突時のエネルギーが極めて小さいから歩行者の仲間に近い、みたいな主張をする人もいますが、そもそもその考え方が妥当なのかという問題があります。
歩道が歩行者のための場所であることを考えれば、対歩行者に対する危害について検討すべきであって、クルマと比較したところで意味があるのだろうか?

 

まさか、死ななきゃOKみたいな話ではないのだし。

その「ルール」は遵守されるのか?

現行法では「徐行」かつ「歩行者の通行妨害禁止」と法律上は明記されていますが、見ればわかる程度に遵守されてはいない。

 

極端な例になりますが、歩道を時速39.6キロで通行して事故に遭った判例(ただし自転車が被害者)、時速40キロで歩道を通行して歩行者に衝突した判例などもあります。

 

時速40キロで歩道を通行する自転車と、道路外から歩道を横断するクルマの注意義務。
以前書いた判例について、メールを頂きました。 ちょっと勘違いされているような。 過失運転傷害罪 この判例は刑事事件、過失運転傷害罪に問われたモノ。 過失運転傷害罪はこのように定義されます。 (過失運転致死傷) 第五条 自動車の運転上必要な注...

 

歩道通行自転車の平均速度はおそらく15~20キロ程度なんじゃないかと思われますが、そもそも遵守されることが期待できたのか疑わしい規定だったとも言えるかと。

歩道を通行可能にしたのは正解だったのか?

自転車が歩道を通行し出したのは正解だったのか?という話ですが、

結果的には失敗だが、やむを得ない面と甘えがあった

といえます。

 

理由は以下。

歩行者と自転車の利害関係の不一致

クルマから離れて歩道を安全に通行したい歩行者と、自転車らしい速度で通行したい自転車がバッティングすることは明らか。
車道においてクルマと自転車の関係性が「邪魔扱い」になるのと同様に、歩行者と自転車の関係性も同じになったとみて取れるかと。

 

なお、歩行者視点でこのようなアンケート調査があります。

 

電動キックボード、実証実験の事故、違反数が公表されてます。
私、電動キックボードの推進派ではないのですが笑、この問題についてはきちんと理解している人が少ないことが問題だと思う。 実証実験の第二期は「時速15キロしか出ない特定レンタル事業者の電動キックボードを、小型特殊自動車扱いすることによりヘルメッ...

 

・歩行中に、原付に危険を感じる人 48%、自転車に危険を感じる人71%、キックボードに危険を感じる人 48%

 

・車を運転中に、原付に危険を感じる人 59%、自転車に危険を感じる人70%、キックボードに危険を感じる人 61%

 

・バイク運転中に、原付に危険を感じる人 61%、自転車に危険を感じる人68%、キックボードに危険を感じる人 61%

 

・自転車運転中に、原付に危険を感じる人 50%、自転車に危険を感じる人62%、キックボードに危険を感じる人 49%

歩行中 車を運転中 バイクを運転中 自転車を運転中
原付に危険を感じる 48% 59% 61% 50%
自転車に危険を感じる 71% 70% 68% 62%
キックボードに危険を感じる 48% 61% 61% 49%

「歩行中に、自転車に危険を感じる人71%」という数字が物語っています。

遵守が期待できないルールの押し付け

昭和53年以降、歩道を通行する自転車には徐行義務がありますが、徐行している自転車は皆無。
既に述べたように、自転車は自転車らしい速度で通行したいわけなので、遵守が期待できないルールを作ったところで遵守しない結果が待っていただけの話。

 

なお、平成19年改正では「やむを得ない場合」の歩道通行が認められましたが、当時の国会でも「基準がわからない」となっています。
「どうも分かったような分からないような」と本音が出ていますが、なんだかよくわからないルールを作ったところでグダグダになる運命だったのでしょう。

第166回国会 参議院 内閣委員会 第9号 平成19年4月17日

 

○亀井郁夫君

国民新党の亀井でございますが、道交法というのは非常に一般の人たちに密着した法律ですから、もっといろいろな点で、今日も指摘ありましたけれども、分かりやすく作っていく必要があると思いますから、いろいろ研究してほしいと思うんですけれども、今日これから何点か、私も素人でございますけれども、常識の観点からお聞きしたいと思うわけでございますが。
普通自転車については、児童や幼児については車道又は交通の状況に照らして歩道を通行することができるということになっておるんですけど、普通自転車がね、普通自転車が歩道を走ることができるということになっているんだけれども、ほとんどの人が今ごろは交通事情が厳しいからみんな歩道を走っている人が多いんですけれども、どういう場合に歩道を走ることができるか。その認定はだれがするんですか。そして、それはどういう形で表示されているんですか。どこにもそういうことは書いてないんで、その辺がどうなっているんでしょうか。

 

○政府参考人(矢代隆義君)

お答え申し上げます。
現在の道路交通法では、自転車は車道を通行することが原則と、それから都道府県の公安委員会が普通自転車歩道通行可の規制、これは標識を立てますが、した場合には車道を通っても歩道を通ってもいいということになっております。したがいまして、基本的には各都道府県公安委員会がそれを判断して歩道通行のできる場所を決めていくと、これが大原則でございます。
そこで、今回の改正ではこれに加えまして、児童、幼児等が運転する場合、あるいは車道の交通の状況に照らしまして自転車の通行の安全を確保するため当該自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められる場合ということでございますが、このやむを得ないと認められる場合というのは、これは客観的に決まるというふうなものでございまして、道交法でやむを得ない場合というのは極めて限定的な意味でありまして、言い換えますと、どうしてもそうせざるを得ない状況のことを言っております。
したがいまして、例えば道路工事が行われておってそこを通れない、あるいは駐車車両が連続的に存在しているというような場合、あるいは狭い車道で大型車が連続してどんどん来る、通れない、進めないと、そういうような場合が想定されるわけですが、これを一つ一つずっと書き出すのはなかなか容易でないわけですけれども、交通の方法に関する教則、これは国家公安委員会が定めておりますので、その中でこのやむを得ないというのはこういうことなんだということをよく示していく考えでございます。だれが決めるかということになりますと、これは客観的にもう決まってくるものであると、こういうことでございます

 

○亀井郁夫君

どうも分かったような分からないような、客観的に決めるというんだけれども、決める人がたくさんおるわけだから困っちゃうわけですね。そうすると、道路を走るんだといっても、普通自転車を運転している人が危ないと思ったら歩道を走っていいんですね。そうすると、おかしいじゃないかと言っても、それは自分がそう思っていたからと言えばいいんであれば、そんなふうにだれでも決められるようになってはいかぬし。また、国家公安委員会が決めたというんだったら、決めたところをある程度はっきりしておけばいいと思うんだけれども、そういう点でもおかしいと思います。その辺どうなんですか。

 

○政府参考人(矢代隆義君)

このやむを得ない場合について、自転車の利用者の方が自分で判断して、言葉を換えて言えば勝手に判断していいというわけではありませんで、やはりそういう客観的に先ほど私が申し上げましたような状況でないにもかかわらず、自分はやむを得ないと思ったんだと、こういうふうに言われましても、それはやはりそこで現場では、それでは違反になるということで指導することになると思います。
それで、なぜそのようにせざるを得なかったかと言いますと、公安委員会の規制というのは標識を立てるわけですので、この道路はいいか悪いかと決めますと、これは二十四時間三百六十五日もうオール・オア・ナッシングでございまして、それで、交通の道路の変化というような状況ですとか、交通の状況にちょっと対応できない場合がやっぱりあるわけなんですね。そういうことを考慮いたしまして、そこで先ほど申し上げましたように、大原則は公安委員会が決めていきますけれども、それによることができない場合があるであろうから、それについて法定事項とさせていただくと、こういうことでございます。

目的から見た甘え

昭和45年に自転車の歩道通行を解禁した理由は、クルマと自転車を遠ざける点にありました。
自転車対クルマの事故を減らしたくて歩道通行を解禁したわけですが、昭和45年改正は同時に「自転車道」を規定し、昭和46年には「普通自転車専用通行帯」を規定したのだから、構造分離や車線分離という方法もあったことになる。

 

※それ以前から自転車通行帯や2輪車通行帯はありました。

 

歩道に自転車を追いやったことで満足してしまい、自転車道や普通自転車専用通行帯などの整備に至らなかったとも言えますが、昭和40年頃の国会議事録をみても「歩道未整備」が問題になっていて歩道建設を優先したのかもしれないし、そもそも当時の判例をみても「未舗装の歩道、路肩」がやたら出てきます。

 

さらに昭和40年代は横断歩道を廃止してまで歩道橋建設にシフトし、全国で訴訟提起されるなど「対歩行者問題」のほうが優先せざるを得ない状況も読み取れます。
歩道橋は反ヒューマニズムだと批判した判例すらありますが…

 

「歩道橋は明らかにヒューマニズムに反する」。
古い判例って、時々凄いな。 歩道橋は反ヒューマニズム 判例タイムズの解説にチラっと掲載されている判例なのですが。 判決年月日はなぜか書いてありません。 事件番号は大分地裁 昭和43年(わ)423号です。 事案の概要。 歩道橋を使わずに道路を...

 

さらに、昭和46年道路交通法改正時に交差点の通行方法を変えるなど、「対クルマ」政策も必死だったと取れます。
「進行方向別通行区分」が出来たのも昭和45年。

 

自転車への対策よりも優先すべきものが多々あり、自転車については「とりあえず歩道に上げて」満足しちゃったのかもしれません。
そこから先に進めなかった。

 

なお、昭和57年当時に存在した「自転車レーン」については、なぜか現在は消滅していたりします。

 

昭和に存在した「自転車レーン」が消滅した理由とは?
こちらの続きです。 「車道左側端の自転車通行帯(自転車レーン)調査報告書」(日本自転車普及協会、1982年6月)では、「自転車レーン」を通行する自転車の台数を調査しています。 ※「自転車レーン」には普通自転車専用通行帯、単なる路面表示と白線...

 

理由はよくわかりません。

結局のところ

自転車をクルマから分離する、という発想までは良かったものの、歩道に上げて満足し、「あとは自転車の遵守精神に期待する」として遵守が期待できないルールを作った程度なので、トータルで言えば失敗、しかし仕方ない面もあったというところでしょうか。
実際の話として、「自転車通行可」の歩道がある場合に59%が歩道を通行したとありますが、半分強は理由は必ずしも明らかではないにしろ歩道通行を選択したのは事実。

 

けど「歩道に上げる政策」のせいで、いまだに

いろんな人
いろんな人
チャリは邪魔だから歩道走れよ

という精神の運転者もいるし、そういう面でも失敗だったのかと。

 

車道ではクルマから「チャリ邪魔」扱いされ、歩道に上がった自転車は「歩行者邪魔」扱いする。
結局のところ、最終的に歩行者が被害を受けただけなのかもしれません。
クルマと分離する点ではまだ良かったものの、行政的にラクなところで満足したという点では失敗かと。

 

なお、なかなか不思議な判例もあります。

 

夜間の河川敷道路(歩行者自転車専用道路)にて、無灯火自転車と立っていた歩行者が衝突した事故について、歩行者にも前方不注視があるとして15%の過失相殺をしています(大阪地裁 平成8年10月22日判決。歩行者は高齢者)。

 

街灯もない河川敷で、無灯火の自転車を避けろとは無理がある気がしますが、自転車は車道が怖いからと歩道にいき、歩行者は自転車が怖くても他に行き場もない。

 

いろいろ失敗したツケとしか言えませんが、下り坂で時速30キロ40キロは平気で出ちゃう自転車が、歩行者の仲間とはとても言えないかな。

 

時速9キロの自転車でも、ぶつかれば人は死んでしまう。
昨年あった自転車事故で、スマホを見ながら乗っていた大学生がご老人にぶつかり、ご老人がお亡くなりになるという痛ましい事故がありました。 この件は報道でご存知の方も多いかと思いますが、ちょっと思うところがありまして。 (adsbygoogle ...

 

「クルマと比較して衝突エネルギーが小さい」みたいな説明については、単に論点をズラしただけにしか思えない。
歩行者への危害で検討すべき話なので、「クルマよりも衝突エネルギーが小さいだろ!」というのは、自転車程度が衝突しても文句ないだろと話をすり替えただけなんじゃないでしょうか。
電動アシスト自転車なんて重量が30キロとかありますが、衝突されたくないなあ。

クルマと分離するという発想自体は評価できても、歩行者と同じ空間にすることには無理があった。
緊急的に歩道に上げたのはまだしも、「あくまでも緊急策」だと考えてなかったのだろうか。

電動キックボードの歩道通行

電動キックボードの一部(特定小型原付)は、「自転車通行可の歩道」を、「時速6キロしか出ないモード」で通行可能になります。

 

「時速6キロしか出ないモード」は日本オリジナルの規定になりますが、要は「徐行しろ」と言っても遵守されない自転車の現状から、強制的に速度を落とす政策と言えます。
「自転車通行可」の標識がない歩道を通行する電動キックボードも当然出てくると予想されますが、まだ「時速6キロモード」ならマシでしょうし。

 

いろいろ濁してきたツケなんだと理解できますが、特定小型原付って自転車のダメなところをシステムで解決したとも取れます。
どうなるかは、蓋を開けてみないとわからないですけどね。

 


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