先日、読者様から質問をいただきました。
これについて。
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あるはず
結論から言いますと罰金刑についてはあるとは思います。
そもそも、自転車の違反については99%が不起訴ですが、1%は起訴されてます。
起訴する理由って、悪質性というよりも常習性が多いと思われますが、結局は略式起訴なので判例として出回ることはないので、正確にはわかりません。
ちなみにですが、悪質性が高い案件では3件ほど起訴されて有罪の事例があります。
○大阪地裁 平成23年11月28日
自転車が幹線道路にて無理な横断をしたことにより発生した重大事故ですが、重過失致死罪で有罪。
執行猶予無しの実刑判決です。
○さいたま地裁 令和3年5月17日
これはいわゆる「ひょっこりさん」の妨害運転罪ですが、安全運転義務違反(70条)、安全運転義務違反による妨害運転罪3件を合わせて懲役8月。
ただし、それ以前に道路交通法違反等で懲役刑(執行猶予)がついていたことが考慮されています。
○判決年月日不詳
こちらの件ですが、妨害運転罪で略式命令で罰金刑が確定しているようです。
よほどのことがない限りは不起訴なので、かなり特殊な事例ですかね。
刑罰は抑止力になるか
以前書いた通り、昭和30年頃には自転車の2人乗りや無灯火の判例が残っていて、
2人乗りの判例は一審が法令解釈を間違って高裁で確定。
無灯火の判例は、当時の道路交通取締法には過失犯の処罰規定がないのに一審が誤った判断をして破棄差戻し。
なぜ無灯火の「故意」ではなく「過失」が問題になったのかというと、こういう理由です。
論旨はいずれも、原判決は被告人が過失により前照灯を点灯せずに二輪自転車を運転進行したと認定したが、被告人は玉江橋西詰から東詰に至る間に附近の灯火が明るいために、自己の自転車の前照灯が消えたことを認識しなかつたので、全く不可抗力であるといい事実誤認を主張し、且つ過失犯を処罰したのは法令違反であると主張するのである。
凡そ刑罰法規においては故意犯が処罰の対象となるのが原則で、過失犯を処罰するのは例外であり、直接明文が存するか又は当該法規の全趣旨から過失犯を処罰する律意が明瞭に認められる場合でなければならないこと論を待たない。本件道路交通取締法の処罰法条を検討すると旧自動車取締令等と異り過失犯を処罰する趣旨は見られない。そして、夜間自転車を乗用運転する者は前照灯がついているか否かを絶えず注意する義務があること勿論であるけれども、被告人が無灯火であることを認識していたか否かという故意について、原審は何等審究することなく、たやすく過失犯として有罪を認定したのは法令の解釈を誤つた違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすこと明らかであつて、原判決はこの点において破棄を免れない。論旨は理由がある。
大阪高裁 昭和31年11月15日
そのほか、自転車の2人乗りと無灯火を同時に行ったことを併合罪とした福岡高裁 昭和33年11月19日判決などもあるので、昔はカジュアルに起訴していたのですかね。
今の時代に2人乗りや無灯火で高裁まて争ったら、裁判所は崩壊します。
暇な時代だよなあと思うけど、実態としては今の時代は起訴されないので争いようがない。
まあ、クルマの事例ですが信号無視について最高裁まで争った事件が令和になってから起きてますけどね笑。
大阪高裁が「ドラレコ見せない警察官が悪いヨ!」という謎判決を出すから、最高裁が破棄自判することになりますが。
刑罰が抑止力になるのか?という話がありますが、そもそも道路交通法違反の刑罰ってほとんどが罰金刑な上、高いわけでもないのでそこまで強い抑止力とは思いません。
煽り運転にしてもかなりの割合が「後悔してない」などと語る程度に妨害運転罪の創設が抑止力として機能しているとは思えないのですが、
以前書いたように、そもそも妨害運転罪の成立要件が厳しいので滅多に成立しない。
いくつか妨害運転罪の判例をみかけますが、どれも妨害運転罪の成立について争ってないのが現状。
変な話、誰かが争わないと価値がある説示も出てこないのですが、検察も確実に有罪にできる案件しか起訴しないのでしばらくはこんな状況が続くのでしょう。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
ありがとうございます
あるにはあるんですね
ただ、実際の違反総数(統計無さそうですがw)のうちで赤切符までいってそこからさらに有罪までってなると相当少なそうではありますよね
コメントありがとうございます。
すっかり忘れてましたが、このような違反について書類送検されたものもあります。
不起訴ですが。
https://roadbike-navi.xyz/archives/28461/