左折巻き込み事故の場合、左折車の過失が70~90%程度になることが普通ですが、必ずそうなるわけではありません。
後続二輪車に過失90%とした判例もあります。
今回は後続二輪車の過失を100%とした判例を。
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左折巻き込み事故
判例は東京地裁 平成29年1月13日。
まずは事故の態様から。
道路外の駐車場に入るために左折しようとしてましたが、第1車線には駐車車両あり。
第2車線から左ウインカーで合図。
減速し左後方を確認したところ、第1車線を通行するバイクを見つけたので誤解を生まないように一度ウインカーを消し、先にバイクを行かせた。
改めて左ウインカーを出し、左後方を確認したところ何ら通行している二輪車がいなかったので左折を開始したところ、時速10キロかそれ以下の速度で左折中に、後続二輪車と衝突した事故です。
衝突部位は左折車の後部中央から右端付近、二輪車の前部。
後続二輪車は衝突を避けるためにブレーキと右にハンドルを切った形です。
過失割合はこちら。
左折車 | 後続二輪車 |
0 | 100 |
本件は、そもそも、被告が上記間隙に進入したために原告車の左折時に被告車の前部ないし右側部と原告車の左前角ないし左側部が接触したという事案ではなく、前記認定のとおり、原告車が、左折進行開始後、その車両前部や左側部が被告車と接触することなく上記間隙を完全に越えたにもかかわらず、その後に、被告車の前部が原告車の後部に衝突したものであることに照らすと、原告が原告車をできる限り左側端に寄せなかった過失と本件事故の発生との間に相当因果関係は認められないというべきである。
東京地裁 平成29年1月13日
後続二輪車の前方不注視を原因とし、左折車の過失を認めていません。
類型として左折巻き込みの要素よりも、追突と捉えている点が注意。
事故発生地点は直進車の進路上ですが、きちんと後方確認していた点から無過失を認めています。
きちんと後方確認していた根拠は、複数台のバイクを先に行かせた点など。
左折巻き込み事故は
左折巻き込み事故だから必ず左折車のほうが過失が大きくなるわけでもないので、個人的には双方やるべき義務を果たせくらいにしか思ってないのですが、自転車乗りとして回避しようがないのは「追い抜き直後の左折」。
このタイプについては努力で回避しようがないので、絶対にやめて欲しい。
ちょっとの状況の違いで過失割合なんて大きく変わるし、それこそ被害者が「自分は過失が小さい」と思って示談を打ち切り裁判したら加害者の無過失を認定されるなんてこともありうる。
なので事故という結果に至る前に双方ともに注意義務を果たせとしか思わないのですが、左折巻き込みだから必ず左折車の過失が大きくなるというわけでもありません。
なお、ちょっと前にあった事案については、普通にみれば左折車が左側端に寄せてなかったことが主な原因でしょうから、左折車の過失が大きくなるのが通常かと。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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