リム内幅とタイヤ幅について質問を頂きました。
リム内幅とタイヤ幅の関係で、タイヤ幅÷リム内幅=1.4~2.4となっているのはわかりますが、ROVALのCLX50はリム内幅が20.7mmもあります。
この場合は25cも不可なのでしょうか?
回答いたします。
確かに超ワイドリムは・・・
Campagnolo – Bora One (ボーラワン) 50 クリンチャーホイールセット (2018)
個人的には最近のワイドリムにはほとんど興味がなかったのですが、ROVALのCLX50はリム内幅が20.7mm、リム外幅が29.4mmもあります。
タイヤ幅とリム内幅の関係性はJISにより規定されていまして、リム内幅のことを【規定リム幅】と呼んでいます。
計算式は
タイヤ幅 ÷ リム内幅(規定リム幅) = 1.4~2.4の範囲に入ること
こうなっています。
ROVAL CLX50の場合ですが、リム内幅が20.7mmありますので、計算上は
20.7mm × 1.4 =28.98mm
こうなりますので、29c以上となります。
現実的には29cなんて中途半端なサイズはありませんので、30cとか32cという意味になってしまいますね。
これは一体どうなっているのでしょうか?
スペシャライズドのHPには
スペシャライズドのHPを見ると、24cタイヤ(実測26c)を装着してあらゆるホイールで風洞テストを行ったと書いてあります。
https://www.specialized.com/jp/ja/roval-clx-50–rear/p/131715
ということはだいたい25cくらいを想定して作られているという意味でしょう。
でもリム内幅とタイヤ幅の関係はおかしいですよね??
実測タイヤ幅は、リム幅に影響される
23cタイヤがありますが、このタイヤは常に23mm幅というわけではありません。
ナローリム(C15)に装着したときにはだいたい23mmになります。
この23cタイヤですが、ワイドリム(C17)に装着すると、だいたい25mm幅になったりします。
もっと幅広いリムに付ければ、タイヤも広がります。
ここで考えて欲しいのですが、タイヤ幅はリム幅によって広がるという事実です。
23cタイヤをワイドリムに付ければ、タイヤが横に引っ張られて広がります。
この理屈は誰が考えてもわかるかと思います。
タイヤが横に引っ張られるという現象を考えてみましょう。
タイヤを横に引っ張って装着すれば、まずタイヤの高さが減りますよね。
ここで簡易的に、タイヤには接地面という横要素と、サイドウォールという縦要素があると考えてみましょう。
タイヤの高さが減って横に伸ばされているのですから、縦要素のサイドウォールが一部だけ横要素に変わっていると考えることができます。
サイドウォールの役割ですが、縦方向のクッション性です。
なのでワイドリムに推奨外の23cタイヤを嵌めた場合、横に引っ張られてタイヤの高さが減少し、なおかつ縦方向のクッション性が減っていると考えることができます(ナローリム+23cタイヤの場合に比べて)。
これがどういう意味を持つかですが、単純に考えるならばリム打ちパンクのリスクは高くなると思います。
ワイドリムに23cタイヤを付けた場合ですが、私は過去に【タイヤが外れる可能性もある】みたいに書いたことがあります。
ですが普通に走行している分には、空気圧でタイヤビートはリムフックに圧縮するようにくっついているわけで、走行中に外れる可能性は正直のところないと思います(もちろん推奨外です)。
パンクした場合にタイヤが外れる可能性もなくはないのかもしれませんが、C17リムに23cタイヤくらいだとその可能性もほぼないでしょう。
私が考えるに、ワイドリム(C17)に23cが推奨されない理由はリム打ちパンクのリスクが高まるからではないかと思っています。
実際のところですが、C17ワイドリムに23cタイヤを使っている人というのは結構います。
リム打ちパンクしやすくなったかどうかは知りませんが、この組み合わせでタイヤが脱輪したという話は聞いたことがありません。
ただ、ROVALのようにリム内幅が20.7mmもあるようなホイールに23cを入れるのはさすがにヤバイかと思います。
他社でも超ワイドリムはある
例えばですが、トレック傘下のボントレガーのカーボンクリンチャーもなかなかのワイドリムっぷりです。
ボントレガーのアイオロスプロ3TLRですが、リム内幅が19.5mm、リム外幅が27mmとなっています。
メジャーなところではありませんが、TOKENの出しているカーボンクリンチャーもリム内幅が20mmと超ワイドです。
こちらのTOKENのホイールはリム内幅が18mmとなっていますね。
Token – C50 フルカーボンクリンチャーホイールセット
トレック(ボントレガー)もスペシャライズド(ROVAL)も、リム幅についての言及はありますが、推奨タイヤ幅は一切記載がありません。
でもROVALやボントレガーのホイールについては、インプレなどを読む限り25cタイヤを使っていることがほとんどに感じます。
理屈の上では25cタイヤはNGに感じますが、リムのビートフックなどに工夫が合って大丈夫なのか、それとも何かほかの要素で大丈夫なのか、ちょっと理由はわかりません。
なのでスペシャに問い合わせ
リム内幅20.7mmに対する推奨タイヤ幅がどうなっているのかについてですが、私なりに考えてみましたがよくわかりませんでした。
計算上は29c以上じゃないとダメとなってしまいますが、そんな太いタイヤを使っているという話は聞いたことがありません。
なのでこの件ですが、スペシャライズドに問い合わせしてみました。
まだ回答を頂いていないのでわかりませんが、私の知る限りではこのような超ワイドリムでも25cを使っているケースが多いように感じます。
リム内幅20.7mmになんで25cタイヤを使っていいのか、そもそもメーカーの推奨タイヤ幅はどうなっているのか、もしご存知の方がいましたら教えてください。
スペシャライズドから回答が来ましたら、追記します。
<2月26日追記>
スペシャライズドから回答が来ました。
ROVAL CLX50の推奨タイヤ幅ですが、22c以上となっているそうです。
ただし、スペシャライズドのS-WORKS TURBOなど表示サイズと実測が近いものに限るとのこと。
注目のリム内幅とタイヤ幅の関係性ですが、スペシャライズドの回答はこうなっていました。
リム内幅については誤りはございません。
弊社製品についてはJIS規格ではないため、その限りではございません。
JIS規格に基づく作りではないので、上で書いた【リム内幅×1.4以上】は関係ないということのようです。
なお追記事項として、このようなことも書いてありました。
なお、下限の22Cのタイヤを装着した場合、タイヤが蒲鉾型になるため、
空力特性では有利ですが、乗り味は損なわれます。
※VENGE ViASの完成車は前22C、後24Cの仕様でした。2018年モデルの完成車(S-WORKS TARMAC)には、26Cが採用されております。
乗り味と空力特性がバランスすることもあり、お勧めしています。
スペシャライズドでは、ROVAL CLX50には26cが最もバランスがいいということのようです。
26Cタイヤって、スペシャライズド以外にありましたっけ??
そんなわけで、最近の20mmを超えるような超ワイドリムの場合、恐らくはJIS規格とは関係ないという話なんでしょう。
他社の超ワイドリム(例えばTOKENとか、ボントレガーとか)については正確なことは分かりませんので、気になる方は直接メーカーもしくは代理店にお問い合わせください。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
ワイドリムでは鉄板の話題ですね。
ETORT推奨1.4倍~というのはそれ以下だとタイヤが外れやすくなるからだったはずです。
ただしこれは実用車の低圧運用も考慮してのことで、ロードの高圧ではあまり関係ないと(個人的に)思っています。パンク時は結局、幅関係なく外れますし。
実際にメーカー側もETORTは事実上無視している状態ですね。リムの設計も含めて。
ワイドリムと言ってもしょせん内幅~20mm程度でタイヤ幅より細いので、自動車のようにひっぱり装着状態にはならず、タイヤハイトもそれほど変わりません。
メーカー推奨ですが、HEDではhttps://www.hedcycling.com/belgium-rim-brake-clincher/
17mmで21c、19mmで22c以上を推奨しています。
Pacenti(現在使用中)も確か20mmで23c以上推奨していたはずですが、見つけられませんでした。実際にFusion3 23c使用していましたが、特に問題はありませんでした。
スペシャの開頭楽しみにしています。すぐにメーカーに問い合わせちゃう姿勢は好きです。(笑)
コメントありがとうございます。
この手の問題ですが、大手メーカー(シマノ、マヴィック、カンパ、フルクラム)は1.4倍以上に準拠しているように感じますが、それ以外はあまり重視していないのかなと思います。
なぜなんでしょう・・・
さて、スペシャライズドから回答が来ましたので、近々追記しますね。