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なぜ?左側通行の例外(17条5項)の謎。

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車両には左側通行の義務がありますが、例外を認めてます。

(通行区分)
第十七条
5 車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、道路の中央から右の部分(以下「右側部分」という。)にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。この場合において、車両は、第一号に掲げる場合を除き、そのはみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければならない。
一 当該道路が一方通行(道路における車両の通行につき一定の方向にする通行が禁止されていることをいう。以下同じ。)となつているとき。
二 当該道路の左側部分の幅員が当該車両の通行のため十分なものでないとき。
三 当該車両が道路の損壊、道路工事その他の障害のため当該道路の左側部分を通行することができないとき。
四 当該道路の左側部分の幅員が六メートルに満たない道路において、他の車両を追い越そうとするとき(当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限るものとし、道路標識等により追越しのため右側部分にはみ出して通行することが禁止されている場合を除く。)。
五 勾こう配の急な道路のまがりかど附近について、道路標識等により通行の方法が指定されている場合において、当該車両が当該指定に従い通行するとき。

この規定、前から「変」だと思ってまして。

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なぜ?「追い越し時」のみ条件がつく理由

何が「変」かというと、通行区分を犯して右側に出る以上、対向車と衝突リスクがありますよね。
しかしこの条件は4号の「追い越し」にしかついていない。

当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限る

路駐車(障害物)を避けて右側通行するときにもこの注意義務は必要だと思うのに、なぜか4号限定になっている。
本文に「そのはみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければならない」とあるし、追い越しの場合には右側通行距離が長くなるから注意義務を加重しているのかなと思うけど、理由はよくわからない。

 

気になっていくつか調べていたら、そもそもこんな判例がありました。

幅員4mの道路の進行方向道路の左側に自動車が駐車しており、その右側を通過しようとする自動車運転者は、道路交通法17条5項4号にいう「追越し」の場合に準じ「道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限り」右側部分に全部又は一部をはみ出して通行できると解するのが相当である。

東京高裁 昭和46年5月13日

義務として明示されてなくても、当たり前という判断。
そりゃそうだでしかないけど、4号限定で注意義務を加重して明示した真相はわかりません。
注意義務として暗黙の了解があるから十分なのだろうか。

歩行者は障害物?

ちなみに歩道がない道路を通行中に、歩行者を避けて右側通行してもいい「根拠」は何でしょうか?
たぶん3号にある「その他の障害」だと思うけど、歩行者を障害物呼ばわりすることに抵抗がありまして。

 

で。
これについては3号の障害物扱いでいいと思うけど、これについてはあまり明確にはされてない気がする。
なお、走行中の車両は「その他の障害」には含まれません。

走行中の先行車両が道路交通法17条4項3号にいう「その他の障害」にあたらないとした原判断は正当である

最高裁判所第二小法廷  昭和39年12月24日

あとはこのような判例も。

道路交通法第17条第3項によると、車両の通行は道路左側であることを原則とし、同条第四項に例外として右側を通行しうる場合を規定している。そこで本件の場合、被告人が同項第3号の「道路工事その他の障害のため」として右側を通行せねばならない注意義務があるかどうかを考えるに、被告人の検察官に対する第二回供述調書によると、被告人は「当時対向車があつて道路の右半分が通れなかつたので、左半分を通ろうとしたのであります。対向車がある場合は、アスファルト工事現場の手前で一たん停車して、対向車の通過を待つて通るべきでしたが、アスファルト塗装工事をしているところがどこまで続いているかわからないし、カーブがあつて先の見通しがきかないので、右側を行つて又対向車があつたら困ると思つて左側を走つた」旨供述している。従つて被告人としては、進路上にアスファルト乳剤が撒布してあり多少スリップすることは予測されたが、前示のとおり道路工事中の標示はなく、又交通整理も行なわれず、工事従業者の姿も見えないばかりか、70m以上の前方はカーブのため見通せない状況にあり、反面道路幅が狭い(片側有効幅員3m余)のに交通がひんぱんで、もし右側を進行して対向車が来た場合、接触のおそれも予測されるので一応速度を落して左側を進行したものである。又被告車に先行した被害車の運転者である証人も、道路工事中であることの周知措置がとられてなかつたので、何の懸念もなくアスファルト乳剤の撒布地帯に乗り入れた(同人はスリップすることを知らなかつた)ところ、ハンドルをとられて左前車輪を側溝に落した旨供述している。以上の事実から見て、右のような状況の下で、一般に自動車運転者としては、原則に従つて左側を通行するのが通常であると考えられる。そして例外としての右側通行をすることができる場合の「道路工事その他の障害」とは、運転者が、客観的に道路工事が現に行われているとか、路上に岩石、土砂などが積重ねられて、左側通行ができないことを明らかに認識した場合にかぎるものと解すべきであり、このように解さなければ、慎重に運転すれば左側を通行し得るのに、安易に操縦の楽な右側を通行することになり、交通の混乱を起し、前記法第17条の精神は失なわれる結果となる。従つて本件の場合、被告人が左側通行したのは当然の行為であつて、被告人に対する前記右側通行の注意義務違反の訴因については罪とならないものと認められる

小林簡裁 昭和45年3月19日

個人的には1号以外には

当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限る

とすべきな気もするけど、おそらく4号だけにつけた理由は「追い越しだと右側通行距離が長くなるから」なんでしょうね。
ちなみに某解説書には「イエローラインの場合は右側部分にはみ出して通行することを極力避ける趣旨なのだから、路側帯からはみ出した歩行者を避けて通行するときも右側部分にはみ出して通行することは避ける趣旨。だから警音器を吹鳴してまず歩行者を避譲させるべきだ」みたいに書いてあります。
安易にクラクションを使うと揉める原因だし、賛同しにくい。


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