そういえばこれ。
信号サイクルを変えて、例えば全信号が赤になった時間を増やしたとするじゃないですか。
信号のクリアランスタイムについては、昔から様々な実験や研究がありますが、全赤時間を増やした場合に起きるのはこれ。
黄色信号で止まらない車両が増え、赤信号に変わっても突っ込む車両が増えると同時に、横断歩行者はフライング発射するので余計危険になる。
この手の研究は様々ありますが、結局全赤時間を増やしたところで安全になるわけではないのよね。
横断歩行者もそうだし交差道路の車両もそうだけど、対面信号よりも交差道路の信号をみてウズウズしている人が多いから、フライング発射を招きやすい。
そして「全赤時間が長い」ことを認識すると、黄色信号/赤信号で無理に突っ込む車両も増える。
無理に突っ込んだ上に「フライング発射するやつが悪いじゃないか！」みたいに他責思考になるからタチが悪い。
なのでクリアランスタイムを変えたところで安全に寄与するかは別問題だし、むしろ危険になることも。
要はあの事故って、
「交差点内に停止してはいけない」とか「黄色信号は速やかに通過しなければならない」という誤った思い込みが根底にあると思う。
交差点内で「法令や危険防止のために一時停止」することは禁止されてない上に、黄色信号だから「速やかに通過すべき」という根拠も乏しい。
むしろ判例上は逆を指摘していたりする。
青の信号で交差点に進入した自動車運転者が、前方の横断歩道上左端付近に左から右に横断しようとして佇立している歩行者を認め、さらに右交差点の中央付近まできたときに前方の信号が黄色に変わったのを認めた場合には、直ちに横断歩道直前で停止すべき業務上の注意義務はないけども、間もなく歩行者に対する信号が青に変わり、歩行者が当該横断歩道を左から右に横断を開始することが必至であるから、自動車運転者としては、右歩行者の通行を妨げないよう配慮するとともに減速徐行し、状況に応じいつでも急停止し得るような態勢で横断歩道またはその付近における歩行者の動静を絶えず留意して進行するなど、その安全をはかる業務上の注意義務がある。
東京高裁 昭和41年10月19日
黄色信号で止まるべきだったし、判断を誤って交差点に進入したなら横断歩道の直前で一時停止すべきだった。
単にそれだけの話。
歩行者に過失がつく可能性はありますが、それは別問題。
ところで、「信号のクリアランスタイムを変えるべき」とか「横断歩行者に注意義務を設定すべき」みたいな話って、そもそもそういう議論や実証は既にやっているのが実情。
信号のクリアランスタイムなんて様々な研究があるし、それこそ昭和35年以前の道路交通取締法時代は信号がない横断歩道を渡ろうとする歩行者にも注意義務がありました(罰則つき)。
それらが失敗したからルールや運用を変えたわけでしてね…
ああすればいい、こうすればいい、という話にしても、「もうやって失敗してます」みたいなのはそれなりにあるのよね。
とりあえず言えるのは、「交差点内に停止してはいけない」とか「黄色信号は速やかに通過しなければならない」みたいな誤った認識を変えるほうが先かと。
そして、誤った認識が多数派なんだという現実を見ると、他人が法規に従ってプレイすることは期待しないことも必要なのよね。
だってさ、これの最後に挙げた動画。
ホンキで何を言っているかわからないし、交差点即時退出義務があるから信号無視は違反にならないなどと主張してますが、もう、頭痛が痛いのよ。
頭痛が痛いのよ。
大事なことなので二回書きました。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
ドイツの３灯式信号は、青になる前に黄色が赤と一瞬同時に点灯してから、青になります。
これが結構便利で、青になるタイミングベルトが読めるので、信号手前の減速が少なく済むのです。
逆に、黄色になった途端に止まらないと、少しでも赤で交差点に入ろうものなら、交差道路からタイミング良く青で通過の車と衝突してしまうので、みんな黄色になった途端に全力で止まります。
日本のように黄色で逆に加速する車は居ません。
信号無視はカメラで捉えられ、後日手紙が来て罰金を郵便局に支払いに行くことに。
車は無論ですが、自転車も信号ぐらいは守って欲しいですね。
コメントありがとうございます。
うちの近所に「右折分離信号」がある交差点があります。
青⇒黄色⇒赤⇒右折矢印⇒黄色⇒赤と変わりますが、なぜか「右折矢印⇒黄色」のタイミングで直進する車両が横行して意味不明になっています。
青になる前に黄色赤が表示されるのは、おそらく取締りとセットじゃないとフライング発車に繋がりそうな気がしますが、どうなんですかね。
https://maps.app.goo.gl/wEMtb5XUzTxDV6nH8?g_st=an
1年前は、までは赤黄同時点灯が健在を確認しました。
しかし、信号は空中にも、交差点の先にもありますね。
間違った情報を挙げて申し訳ありません。
コメントありがとうございます。
ちょっと気になったのは、自転車レーンの位置。
これは標準的なんですかね？
https://roadbike-navi.xyz/archives/50767
最近の話は分からないので申し訳ないですが、普通の自転車レーンはこんな感じで、何の変哲もなし
https://maps.app.goo.gl/XQFrKn8N1Fz13VRi7?g_st=an
この赤い舗装は歩道上の自転車走行場所表示に似ていますから、直進車はここを走るのでしょう。
基本は車と同じルールで車道を走り、２段階左折はしません（シテも問題ない）。
取り締まりもクルマ同様に、ふつうに罰金です。
コメントありがとうございます。
ミュンヘンでは右折レーンの右側、直進レーンと挟まれた部分に自転車レーンが乱立しているらしいですが、必ずしもそうなっているわけではないのですね。
ありがとうございます。
赤＋黄の同時点灯時間は一瞬、１秒あるかないかで、フライングは難しいと思います。
大昔のことなのですが、大阪では青信号点滅が点滅して「もうすぐ青信号が変わるでー」を知らせてましたが、駆け込み横断が問題なのと、大阪だけの特異性から廃止に。
EUで今はドイツも信号が統一されているかもしれません。
それに、信号機が交差点手前の路傍にしかない場合が大半で、隣の信号が覗けないのも、フライング抑止になってるのかも。