読者様から質問を頂きました。
まずは前提がこちら。
歩行者用信号のない場所。
歩行者はが奥へ渡る場合、好きなタイミングで渡れる?それともコチラの信号に従う? pic.twitter.com/FmYWtgnG5n— 城北自動車学校 (@johokuds) June 26, 2024
よろしければ解説お願いします。
現場はこちら。
ではいきましょう。
Contents
この横断歩道に信号はあるのか?
イラスト化しました。
このように横断歩道を通行する際に三灯式信号に従う義務があるか?ですが、
信号無視になります。
信号の種類 | 信号の意味 |
赤色の灯火 | 一 歩行者等は、道路を横断してはならないこと。 |
ちょっと前に似たような事案を書いた気がしますが、2つの理由から信号無視したとしても問題にはならないでしょう。
①一方通行ですから…
左方道路が一方通行になっているので、緊急車両等を除けば逆走不可能。
なので横断歩道と左方道路通行車両が重なる可能性がありません。
②両者「青だし」…
そうすると、横断歩道と交錯するのはメイン道路から右左折してくる車両のみ。
両者青信号じゃないと交錯しませんし、歩行者が赤信号なら右左折車両も赤信号のはず。
これってある種の法律のバグだと思ってまして、確かに横断歩道を通行する歩行者や自転車は三灯式信号に従う義務があります。
除外規定がない以上はそうなる。
しかし実情として、信号に従わなかった場合に何か問題があるのか?というと、基本的には無い。
なので法律解釈上は信号規制があるけど、実務上は問題にならないパターンかと。
以前挙げたケースでも
以前挙げたケースも同様です。
横断歩道を通行した自転車は赤信号無視になります。
これは管轄署も言ってましたが、対面信号が赤である以上は信号無視になるけど、この横断歩道で信号無視する歩行者や自転車がいても注意指導していないそうな。
要は交差道路に信号がなく、交差道路から進行する車両は構造的に左折しかできない上、明らかに広い道路に進入する際に注意を払うことになるので、信号規制についてグダグダ注意指導する必要がないから。
しかし事故が起きた場合には、信号無視として処理せざるを得ないと言ってました。
民事判例を見る限り、信号無視といっても過失はほとんどつけていません。
車両同士の事故でも、一方に信号があり、一方に信号がない交差点の事故がたまにありますが、
それぞれ見えている範囲で注意義務を認定していて、なかなか興味深い。
○福岡地裁小倉支部 昭和45年1月16日(業務上過失致傷)
A | B | |
信号の有無 | なし | あり |
過失 | 徐行義務を怠り漠然進行した過失 | 無罪(信頼の原則) |
○東京地裁 昭和45年8月31日(民事)
事故のイメージです。
甲道路から交差点に進入しようとする原告車には対面信号がなく、乙道路を進行する被告車には信号がある。
原告は交差道路の信号が黄色になったことを確認し、被告車が信号に従って停止すると考え交差点に進入。
これについて裁判所は、以下の過失を認定。
原告 | 被告 | |
信号の有無 | 無し | あり |
過失 | 広路車妨害 | 信号確認義務違反 |
過失割合 | 70 | 30 |
あくまでもそれぞれの立場から見えている範囲で注意義務を認定しています。
冒頭の件はある種のバグなので、軽く左方道路を確認して横断する分には問題にならないと思いますが、法律解釈上は信号規制があるので信号無視です。
しかしダメなタイプの信号無視とは見なされないかと。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント