PVアクセスランキング にほんブログ村
スポンサーリンク

なぜ?20キロの速度超過でも無過失?

blog
スポンサーリンク

こちらで書いた記事に質問を頂いたのですが、

比較的最近の判例ですが、優先道路を時速70キロ(指定最高速度50キロ)で通行中に、左方道路から優先道路に進入したクルマが衝突した事故があります(神戸地裁 令和3年9月9日)。
左方道路から優先道路に進入したクルマは一時停止規制に従って一時停止後、雑に優先道路に進入したから起きた事故ですが、

「加害車両が優先道路に進入したタイミングからすると、被害オートバイが制限速度を遵守していても回避不可能」

と裁判所が判断。
そのため優先道路を通行していたオートバイは無過失と認定している。

「動いていれば過失がつく」は間違い。
交通事故の過失割合で「動いていれば過失がつく」みたいな話をする人がいますが、要は過失がなければ過失がつくわけがない。今までいくつか無過失判例を挙げてますが、例えばこれ。歩道通行自転車が何の前触れもなく車道に転倒。車道通行車両は制限速度を遵守...
読者様
読者様
15キロ以上の速度超過は過失修正要素なのだから裁判所がおかしいのでは?

たぶん、考え方を変えたほうがよい。

スポンサーリンク

なぜ?速度超過でも無過失の理由

イメージはこう。

指定最高速度は50キロなので、被害オートバイは20キロの速度超過(道路交通法違反)になります。
おっしゃる通り15キロ以上の速度超過は過失修正要素になりますが、

赤車両が交差点に進入したことを視認できた時点で、青オートバイが「時速50キロだったとしても」既に回避可能性がない。
いわゆる直前進入なわけ。

 

時速50キロだったとしても回避不可能なんだから、20キロ超過していても結果は変わらないわけ。
つまり速度超過違反と事故発生に因果関係がないので、過失修正する理由がないわけです。

 

例えばですが、この事故において

赤車両の尾灯が「切れていた」とします。
整備不良に該当しますが(違反)、少なくともこの事故発生とは何ら因果関係がない。

 

それと理屈は同じです。

 

そして勘違いしやすいのは、だからと言って速度超過が許されるわけではないこと。
単にこの当事者間で起きた事故の「二者関係」では速度超過を過失とみなさないだけで、道路交通法違反は成立する。
民事の過失相殺は、当事者間の関係でしかないのよ。

 

例えば時速50キロだったら横断歩行者との衝突を回避できたのに、時速70キロだったから衝突してしまったみたいなケースもあるでしょ。
時速50キロだったら重傷止まりだったのに、速度超過していたから致命傷になることもありうるわけ。

 

単にこの事故、この当事者間の関係において速度超過を過失とみなさないだけであって、対歩行者事故ならむしろ重大な過失にすらなりうる。
だから所詮、民事の過失割合なんて結果論に過ぎない。

駆け引きみたいなもん

民事の過失相殺って「たくさん払って欲しい被害者」と「なるべく払いたくない加害者」の争い。
双方が自分に有利な主張しかしないし、加害者からしても

いろんな人
いろんな人
10:90までは譲歩するが、0:100を主張するなら裁判してください。

みたいな話になる。
裁判すれば半年とか一年とか拘束されるし、面倒さと過失割合を天秤に掛けて示談するか裁判するかを選択する。

 

既に起きた事故についての争いでしかないけど、過失割合がどうのこうのというのは安全運転とは必ずしも関係ないと思う。
不注意や違反がないように走るのが当たり前で、過失割合に関係なくやることは変わらないのよね。

 

偶然起きてしまった事故に対する後処理が過失相殺。
事故が起きなきゃ過失も何もないのだから、事故を起こさないように運転するのが筋だし、たまたま「対4輪車」だから被害者になったけど、たまたま「対歩行者」なら加害者。

 

この事故においては速度超過と事故発生に因果関係がないから過失修正しないだけで、絶対的に速度超過が容認されたわけではないということです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました