ちょっと前に札幌地裁で、時速118キロの直進白バイと右折車の衝突事故裁判があり、右折車ドライバーが有罪(執行猶予)になりましたが、
判決直後から控訴するとアナウンスされてましたが、正式に控訴した模様。
判決を受けて、谷口被告の弁護人は8月30日付で判決を不服として札幌高裁に控訴しました。
弁護人によりますと控訴審では、谷口被告の過失を認定した地裁判決について、事実誤認や法令適用の誤りがあると主張する方針だということです。
時速120キロの白バイ警官(当時32)死亡、右折で衝突の“有罪判決”トラック運転手側が控訴 事実誤認や法令適用に誤りを主張へ | TBS NEWS DIG (1ページ)2021年9月、北海道苫小牧市の交差点で、白バイと衝突し、警察官を死亡させた罪に問われた大型トラックの運転手の裁判で、8月29日に執行猶予付きの有罪判決を受けた被告は、8月30日付で判決を不服として控訴しま… (1ページ)
法令適用の誤りについては信頼の原則との兼ね合いで「著しい高速度直進車を予見する注意義務はない」と主張するのかと予想されますが、やや不思議なのはここ。
「事実誤認」
報道を見る限り、基本的な事実については検察と被告人の間に争いがないのかと思ってましたが、そもそも報道を見ても札幌地裁の事実認定がどうだったのかハッキリしない。
勝手な予想ですが、
①時速118キロ→88キロまで白バイが減速したとされているけど、どの地点で減速したか?
②本人尋問では4、5秒前に対向白バイの陰を確認したとしているが、札幌地裁の認定は「右折の確認は6秒も前」。
右折前に4秒前確認も6秒前確認もどちらも不適切とは言え、4秒前に確認したのと6秒前に確認したのでは判決に影響がありそう。
他に事実誤認に当たりそうな要素…なんかあるかな。
ところでこれ。
・白バイは高速度で走行していたが、警官の職務に従事中で、さしたる過失はない
時速120キロの白バイ警官死亡、右折のトラック運転手に猶予付き有罪判決…札幌地裁「白バイの高速度が重大な結果に及んだことも否定できないが、職務に従事中で、さしたる過失はない。予見は可能だった」⇒無罪主張の運転手側は控訴する意向(HBCニュース北海道) - Yahoo!ニュース2021年9月、北海道苫小牧市の交差点で、白バイと衝突し、警察官を死亡させた罪に問われている大型トラックの運転手の裁判…札幌地裁は29日午後、禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。無罪
さしたる過失はない!と言い切る裁判所もどうかと思うけど、わりと勘違いしやすいポイントは白バイの速度が違法だと判断されたとしても、直ちに被告人の過失を消す要因にはならないこと。
民事と刑事を混同しているのかな。。。
刑事は「どっちが悪いか?」を判断するものではないのよね。
少しでも被告人に過失があり、事故発生と因果関係があるなら有罪です。
そして民事と刑事では過失認定の深さが違う。
そりゃ「過失はない」なんて書かれたら被告人からすると納得し難いだろうから、控訴審ではそこも主張するだろうけど、仮に「白バイの速度は違法」と判断されたとしても被告人の注意義務とは無関係なので、判決には関係がない。
そもそも時速118キロだったことは争いがないのだし、今さらそれが違法か適法かを判断しても判決には関係しないかと。
事実誤認の主張とは何を指すのかわからないけど、そもそも事実認定がどうだったか報道を見てもわからない。
報道を見る限り、事実誤認に当たりそうな部分は「被告人が右折する何秒前に確認したか?」くらいしかわからない。
4秒前に確認したのも6秒前に確認したのも不適切な右折とは言え、争いの内容からするとこの2秒の差は大きい。
2秒で双方ともに大きく接近するわけだから。
裁判ってまず事実を認定して、認定した事実について判断する仕組み。
事実誤認のまま話を進めたら結論が狂うのは当然ですが、どこぞの名前を呼んではいけないケミカル屋がワケわからんコメントしてきたときにあきれた理由の一つは、
事実誤認のまま話を展開するスタイルだったから。
簡単に事実確認できることすら確認せず憶測と妄想で事実認定し、話を展開しても無意味。
札幌地裁判決の「事実誤認」とは何を指すのかわからないけど、意外とここにポイントがあるのかもしれません。
白バイの速度が違法か適法かは、有罪無罪とはほとんど関係がない話だけど、「さしたる過失はない」と書かれたらそりゃ違うんじゃね?とはなる。
けど違法か適法かは判決に影響するわけじゃないので、民事と刑事の違いを理解してないと争点がわからない。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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