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んー、一時停止義務の対象か?

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こちらで書いた内容ですが、

「5m以内」でも「横断しようとする歩行者」に当たらない場合。
以前、「クルマが違反になり発車できないから歩行者に横断歩道から離れるよう伝える」なんてトンデモ論を語る人がいた気がするけど、法令解釈とも判例とも合致しない独自論としか言えない。ところでちょっと考えてみましょう。横断しようとする歩行者38条1...

この交差点には信号がありますが、模式図にするとこうなる。

この歩行者は赤信号の横断歩道(横方向)が青に変わったら横方向に横断しようとしているわけで、縦方向の横断歩道を「横断しようとする歩行者」には当たらないので、左折車と歩行者の距離がいわゆる「5m範囲」に該当しても一時停止義務はないと書きましたが(横断しようとする歩行者が明らかにいないとまでは言えないので、徐行する必要はある)

ご意見を頂きました。

読者様
読者様
5m範囲に入る以上は一時停止義務があり、一時停止後に通行妨害にならないことを確認してから進行できると解釈すべきなのではないでしょうか?

うーん、実はその見解はありうると思ってまして、仮にそうではないにしろ一時停止して確認してから進行したほうが丁寧なのはわかりますが、

左折車が一時停止してこの歩行者に「渡りますか?」と聞いた場合、

「見りゃわかるだろ…」

 

としか言いようがない気がするのね。
一時停止後に、わざわざ聞かなくても確認してから進行した方が確実なのはわかりますが、法がそこまで求めているかは疑問。

 

ちなみに「横断しようとする歩行者」に対し「一時停止義務」を作った昭和38年の国会答弁によると、このケースでは一時停止義務はない。

第43回国会 衆議院 地方行政委員会 第16号 昭和38年3月15日

○太田委員 今度改正になりましたこれは、歩行者が道路の左側の横断歩道を通行し、または通行しようとしているときは、車両等の運転手は横断歩道の直前で一時停止し、歩行者の通行を妨げてはならないこととする、このことを具体的にあなたちょっと説明して下さい、どういう状態を言うのですか。

○冨永政府委員 今までの現行法規で申し上げますと、これは単路の場合、単路といいますと、交差点じゃない途中の横断歩道でございますが、その場合には一時停止または徐行して歩行者の通行を妨げてはならないというふうになっておるわけでございます。今度の改正案では、横断歩道全部といっても、これはなかなか実情は無理でございますので、横断歩道の中央部分から左の方、つまり自動車からいいますと進行方向になりますが、その横断歩道上に歩行者がおり、また通行しようとしておる場合においては、横断歩道の直前、今までは場所がはっきりしていなかったわけです。「一時停止し、又は徐行」であったのを必ず「横断歩道の直前で一時停止」する、徐行はいけない。一時停止をして、それから通行を妨げないようにしなければいけないというふうにして歩行者の保護をはかる。これはただし横断歩道上だけのことであります。ですから、横断歩道のまん中から向こう側の部分のときには、これは差しつかえないわけです。横断歩道の中央から左というふうに限定いたして、その場合には横断歩道の直前で一時停止というふうにいたしておるのでございます。

○太田委員 だから、自動車を運転していく場合、横断歩道があるでしょう。その横断歩道のこちら側の端くれに立っておる人があるとする、それは歩道でも何でもないですよ、普通の、車道も歩道も区別のないところだとすると、そこに立っておる人がある限り自動車は全部とまらなければいけませんね。いわゆる通行しようとしているとき、それは一々聞くわけにいかないでしょう。現象的にその地帯に立っておる人があれは、横断するものとみなしてとまらなければならないということですか。人を待つ場合には、横断歩道の地帯と目されるところに立つべからずというようなものが一つ要るような形になってきますね。横断しようとしておるというのは何ですか、科学的に見て、くつの先が横断歩道に触れつつあるということですか、触れる直前まではいいのですか、最後になると、警察官はその辺のことを言いますよ。具体的にここのところを御説明下さい。

○冨永政府委員 そこで横断しようとしているというのは、やはり挙措、動作等前後の事情から判断して、横断しようとしていることがはっきりしている場合でございますので、ただ立っておって、通行しようとしておるかどうかわからぬときには、これは除外されるのでございます。

○太田委員 だから、横断歩道の方に向かってくつの先がついていたならばどうですか、それは何で判断するのですか。

○冨永政府委員 やはり通行しようとする動作が形に出まして、たとえば左足が一歩出ておるとか、外見から見まして明らかに通行しようというある意味の動作が出ておる場合に限るのでございます。

現在の解釈では、横断歩道に向かって歩いている人も「横断しようとする歩行者」に該当します。

右法条にいわゆる「横断しようとしているとき」とは、所論のように、歩行者の動作その他の状況から見て、その者に横断しようとする意思のあることが外見上からも見受けられる場合を指称するものである

 

東京高裁 昭和42年10月12日

横方向に向いて信号待ちしているのが明らかなので、縦方向の横断歩道を「横断しようとする歩行者」とみなすのは無理があると思う。

 

とはいえ、読者様の見解についても一理あるのよ。

読者様
読者様
5m範囲に入る以上は一時停止義務があり、一時停止後に通行妨害にならないことを確認してから進行できると解釈すべきなのではないでしょうか?

違反として検挙するのは妥当性がないと思うけど、おそらく、歩行者の属性にも依る。
信号待ちしているのが小学生とかだと、いきなり縦方向に進路変更することもありうるので、一時停止後に通行妨害にならないことを確認してから進行すべきかも。
なお以前取り上げたこちらですが、

横断歩道で一時停止後、歩行者が「先に行け」と言えば。
道路交通法38条1項って、病的に解釈する人がいるのでビックリします。一連のやり取りを見るに、警察官までだいぶいい加減な説明をしたようで。道路交通法38条こちらにも書きましたが、横断歩行者妨害の規定は道路交通法38条1項。(横断歩道等における...

この人の珍解釈によると、

左折して横断歩道を通過しようとする際に、歩行者に「5m以上離れて」というのだろうか…
記事にも挙げたように、判例とも解説書とも合致しない独自論過ぎて笑えない。

コメント

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