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違反取り締まり中のパトカーや白バイは、交差点5m以内の駐車が可能か?

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読者様から質問を頂いたのですが、こちらの動画

読者様
読者様
福岡県道路交通法施行細則だと4条(3)に「駐車禁止の規制から除く車両」として「ウ 交通取締り」を挙げているので、福岡県だと交差点5m以内でも交通取締りの警察官は違反にならないですが、なぜ都道府県によって差をつけるのでしょうか?
管理人
管理人
交差点5mの駐停車禁止規制については、全都道府県で交通取締りのパトカーや白バイでも違反です。
その福岡県細則は読み方が違うのですよ…

ちょっと前に私人逮捕系YouTuberなる人が横行してましたが、間違った知識だとややこしくなるので解説しておきます。

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駐停車禁止は法定禁止と公安委員会禁止の二種類

この話、何から説明しようか悩むのですが、まず交差点5mの駐停車禁止は44条2号。

(停車及び駐車を禁止する場所)
第四十四条
車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。
二 交差点の側端又は道路の曲がり角から五メートル以内の部分

ちょっと整理しましょう。
44条は以下二種類の駐停車禁止を規定している。

標識による駐停車禁止 各号に定める駐停車禁止
便宜的呼び方 公安委員会禁止 法定禁止
具体例 公安委員会が駐停車禁止の標識を立てることで禁止する 44条各号に定める内容(交差点5mなど)なら駐停車禁止

標識は各都道府県の公安委員会が立てる(法4条1項)ので、公安委員会が駐停車を禁止にしたい場所を決めて駐停車禁止にできる
それとは別に44条各号に定める内容(交差点5mなど)は国が予め駐停車禁止にしている。

前者を「公安委員会禁止」、後者を「法定禁止」と便宜的に分けます。

 

さて、福岡県細則には確かに、4条(3)に「駐車禁止の規制から除く車両」として「ウ 交通取締り」を挙げている。
これだけをみれば、交通取締り中のパトカーや白バイは交差点5m以内の駐停車禁止から除外されているように思える。

 

ここが間違いやすいポイントで細則4条は何の根拠に基づいて交通取締りのパトカーや白バイを除外しているかなんですね。
細則4条本文に「法第4条第2項の規定により」とありますが、細則4条(3)ウで「交通取締りのパトカーや白バイを駐停車禁止から除外」した根拠は、道路交通法4条2項だという。

 

では法4条2項とはなにか?

2 前項の規定による交通の規制は、区域、道路の区間又は場所を定めて行なう。この場合において、その規制は、対象を限定し、又は適用される日若しくは時間を限定して行なうことができる。

前項の規定による規制の対象を限定できるとあり、福岡県細則4条を定め駐停車禁止から除外した根拠だとする。
では法4条2項でいう「前項の規定」とはなにか?
分かりにくいので多少簡略化します。

(公安委員会の交通規制)
第四条 都道府県公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通整理、歩行者若しくは遠隔操作型小型車又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる。(以下略)

信号、道路標識、道路標示を設置・管理する権限を公安委員会に付与し(1項)、その信号、標識、標示の対象を限定することができ(2項)、それに基づき福岡県細則4条で除外している。
つまり法定駐停車禁止(44条各号)から除外する効果はなく、公安委員会禁止(44条本文、標識による禁止)から除外する効果しかない。

 

なので福岡県細則はあくまで標識による駐車禁止から除外しているだけで、法定禁止の「交差点5m以内」は交通取締り中のパトカーや白バイだろうと適用されます。

 

本来、標識から除外する場合には補助標識を使う。
一例として一方通行の通行禁止に「自転車を除く」としてますよね。

本来であれば、標識から除外するなら補助標識を使うのが筋ですが、

こんなたくさんの除外を補助標識に盛り込むのは現実的じゃない。
なのでこのように細則による一律除外を法4条2項で認めている。

 

まとめるとこう。

 

法4条1項さん
「公安委員会は信号、標識、標示を設置して交通規制してよいぞ」

法4条2項さん
「1項さんの話は、対象を限定してよいぞ。つまり信号、標識、標示の対象はオマエラで決めろ」

福岡県細則4条さん
「法4条2項さんが標識の対象を限定していいというから、交通取締り中を除外するわ」

 

そうすると、標識とは関係ない「交差点5mは駐停車禁止」については除外できない。

勘違いしやすい?

昨年、苫小牧の時速120キロ白バイ事故のときも、北海道細則を理由に「専ら交通取締り車なら速度上限がない」というとんでもない間違いをしている人もいたけど、あれも根拠が法4条2項なので、「専ら交通取締り車は標識速度に従う義務から除外」でしかなく、標識速度から除外されたら法定速度に従うのだから間違っているのよ。
複数の都道府県から法令解釈通達も出てますし。

「お前は何様か!」…白バイが速度超過していい根拠はありません…
こちらについて。下記記事について「検察の主張は誤り」と書きましたが、これを書くと抗議してくる方が。検察は、白バイの速度118キロについて、警ら中であり、法律上は問題ないとしているものの、通達を20キロも超える速度で走行するほどの緊急性が白バ...

確かにビミョーに読みにくい規定だけど、丁寧に読み込めば難しいわけではないので…
なお、44条各号の法定禁止から除外する根拠が道路交通法にはないため、ここについては全都道府県同じ。
都道府県の条例や規則が国法の規定を越えるには、根拠条文が必要なワケで…

 

なお、パトカーや白バイが交差点5m範囲に駐停車しても正当業務行為にあたる場合には違法性がなくなるので、その意味では必ず違反が成立するわけではありません。

コメント

  1. upmoon より:

    44条の例外規定に警察官の命令とありますが、これを応用出来ないのかな?

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      「警察官の許可」と「警察官の命令」は違うような…

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