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救護義務違反(ひき逃げ)の点数は、交通事故に関わる点数とは別。

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施行令の条文を読めばわかる話だと思うのですが、

交通事故と点数の関係。無免許酒気帯び運転による事故はどうなる?
この人の解説は頻繁に不正確で驚きますが、運転レベル向上委員会より引用無免許+酒気帯び運転+ひき逃げ事故について反則点数の解説をしてますが、危険運転致死傷にしても過失運転致死傷にしても全部間違っている。ほとんどの人はこんなヤバい事故を起こさな...

なぜか納得しない方がいまして、「救護義務違反(35点)に付加点数と説明する運転レベル向上委員会は間違ってない」と…

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救護義務違反は別

納得しない方のようなので警察の見解を紹介しますね。

5.救護義務違反(いわゆる「ひき逃げ」)に対し、行政処分の基礎点数として35点を付し、救護義務違反のみでも欠格期間が3年となる。
なお、救護義務違反に先行する交通事故に係る違反行為の点数については、累積する。例えば、酒酔い運転をしていた運転者が不注意により死亡事故を起こし、かつ、救護義務違反をした場合には、55点+35点=90点となり、10年の欠格期間が指定される。

運転免許証の欠格期間

事例
酒酔い運転により横断歩道を横断中の歩行者をはねて死亡させ、ひき逃げをしたとき。

酒酔い運転35点+死亡事故(本人の一方的不注意による場合)20点+ひき逃げ35点=90点

運転免許の点数制度/長野県警察

で。
そもそもの話として、救護義務違反に付加点数をつけることは不可能です。
理由は施行令の規定にある。

備考
一 違反行為に付する点数は、次に定めるところによる。
1 一の表又は二の表の上欄に掲げる違反行為の種別に応じ、これらの表の下欄に掲げる点数とする。この場合において、同時に二以上の種別の違反行為に当たるときは、これらの違反行為の点数のうち最も高い点数(同じ点数のときは、その点数)によるものとする。
2 当該違反行為をし、よつて交通事故を起こした場合(二の119から128までに規定する行為をした場合を除く。)には、次に定めるところによる。
(イ) 1による点数に、三の表の区分に応じ同表の中欄又は下欄に掲げる点数を加えた点数とする。ただし、当該交通事故が建造物以外の物の損壊のみに係るものであるときは、1による点数とする。

・「一の表」→一般違反行為
・「二の表」→特定違反行為
・「三の表」→付加点数

 

「当該違反行為をし、よつて交通事故を起こした場合(二の119から128までに規定する行為をした場合を除く。)」には「三の表」にある付加点数を加えるとしてますが、

 

救護義務違反は「事故を起こした後」の話ですよね。
以下は日本語として成り立ってないのよ。

救護義務を怠って「よって」交通事故を起こした

横断歩道において歩行者をはねた場合、「横断歩行者妨害(38条1項)によって事故を起こした」になる。
事故が起きたから救護義務が発生するのであって、事故が起きなければ救護義務が発生するわけもない。
なので「救護義務違反によって交通事故を起こした」なんて日本語は成り立つ余地がない。
72条1項は「交通事故があつたときは」としているように、交通事故を起こした後の義務。

 

せっかくなのでこの事例を考えましょう。

事例
酒酔い運転により横断歩道を横断中の歩行者をはねて死亡させ、ひき逃げをしたとき。

酒酔い運転35点+死亡事故(本人の一方的不注意による場合)20点+ひき逃げ35点=90点

運転免許の点数制度/長野県警察
項目 点数 備考
横断歩行者妨害(38条1項) 2 酒酔い運転は同時に二以上の種別の違反行為に当たるときに該当
酒酔い運転 35 横断歩行者妨害は同時に二以上の種別の違反行為に当たるときに該当
付加点数(専ら) 20
救護義務違反 35
90

違反内容としては、横断歩行者妨害、酒酔い運転、救護義務違反の3つ。
事故を「起こした原因」となる違反は横断歩行者妨害と酒酔い運転ですが、

一 違反行為に付する点数は、次に定めるところによる。
1 一の表又は二の表の上欄に掲げる違反行為の種別に応じ、これらの表の下欄に掲げる点数とする。この場合において、同時に二以上の種別の違反行為に当たるときは、これらの違反行為の点数のうち最も高い点数(同じ点数のときは、その点数)によるものとする。

横断歩行者妨害と酒酔い運転は「同時に二以上の種別の違反行為に当たるとき」なので、点数が高い酒酔い運転の点数がつく。
そして酒酔い運転に「よって」交通事故を起こしたのだから

2 当該違反行為をし、よつて交通事故を起こした場合(二の119から128までに規定する行為をした場合を除く。)には、次に定めるところによる。
(イ) 1による点数に、三の表の区分に応じ同表の中欄又は下欄に掲げる点数を加えた点数とする。

酒酔い運転(35点)に付加点数(20点)がつく(計55点)。

 

そして救護義務違反については、交通事故を起こした後の話なので「同時に二以上の種別の違反行為に当たるとき」には該当せず、酒酔い運転+付加点数とは別に加算される。
なので酒酔い運転(35点)+付加点数(20点)+救護義務違反(35点)で90点。

 

運転レベル向上委員会の解説は救護義務違反に付加点数を加えただけになってますが、救護義務違反に付加点数を加えることは施行令ではできない。
「交通事故を起こした原因となる違反」に「付加点数」を加え、さらに別枠で救護義務違反を加算することになります。

正直なところ

点数が何点になろうとやるべきことは変わらないし、高得点化が必ずしも抑止力になるとも思わないのですが、明らかな間違いを広報していい理由にもならないので、理解してないならきちんと勉強してから解説したほうがいいと思う。

 

必ずしも抑止力にならないというのは、ほとんどの人からすると現実離れしているような話でリアリティーがないし(自分に関係する話とは受け取らない)、一方では「俺はバレない」的な人からすると「自分には関係ない話」くらいにしか受け取らないのよね。

 

例えば「このような交通事故の賠償目安は1.5億です!」とか「こんな酷い事故を起こしたら法定刑は30年です!」と言ったところで、それをリアルな話として受け取れるのか?という問題があって、所詮は他人事、自分には関係ない話として脳内処理される。
「こんな酷いことをしでかすと、こんな仕打ちが待っている」というのは一種のスケアードストレートとも言えますが、

恐怖で子どもをしつけても意味がない
学校などで人が交通事故にあった映像を見せられ、「道路を飛び出してはいけない」と教えられた人は多いのではないだろうか。子どもが交通事故にあわないように、事故がいかに怖いものなのか説明する親もいるかもしれない。このような教育法を「スケアード・ス...

スケアードストレートを完全否定するつもりはないけど、スケアードストレートを受けた人のほうが犯罪に関わる率が高いことも証明されてましてね。
完全逆効果というのは個人的に違和感があるけど、要はそればかりを強調しても意味がない。

 

あまりにも不正確で間違っている情報ばかり流布しているので指摘していますが、あそこの人は道路交通法の解釈以前の法律解釈がわかってないことと、そもそもちゃんと調べないまま語るスタイルだから間違えるのだと思うし、こんな話は専門書や行政サイトを見りゃわかる話なのよ。
そしてなぜこれ程までに間違いまくって訂正しないのかも謎。
メディアの記事に「間違いです!」と指摘するのが好きみたいだけど、間違いまくっているのはあなたでしょと…

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