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意識不明で起こした事故と賠償責任。

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こちらの件。

運転中に病死。
運転中に病死。これなんですが、身近なところで二件の「運転中に病死」を知ってまして。一件は友達の元旦那が運転中に病死。もう一件は10年くらい前に参加したツールド東北で、走行サポートライダーが走行中に病死。たまたまバスだったから負傷者の数が多い...

誰かツッコミ入れるかなと思ってたけど、

読者様
読者様
お世話になっております。
記事最後の賠償責任の件ですが自転車の場合はどうなるのでしょうか?

話を整理しますね。
自賠法ではクルマ(原付含む)が起こした事故について、人的損害について賠償責任を定めている。

(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

一方自賠法4条では自賠法に規定がないことは民法に従うとする。

(民法の適用)
第四条 自己のために自動車を運行の用に供する者の損害賠償の責任については、前条の規定によるほか、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による。

そのため、民法713条の適用があるのではないかと疑問がありますが、裁判所は自賠法の適用を優先し民法713条は適用されないとする。

(責任能力)
第七百十三条 精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。

以下判例がある。

自賠法3条は、自動車の運行に伴う危険性等に鑑み、被害者の保護及び運行の利益を得る運行供用者との損害の公平な分担を図るため、自動車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における損害賠償責任
に関し、過失責任主義を修正して,運行を支配する運行供用者に対し、人的損害に係る損害賠償義務を負わせるなどして、民法709条の特則を定めたものであるから,このような同条の趣旨に照らすと、行為者の保護を目的とする民法713条は、自賠法3条の運行供用者責任には適用されないものと解するのが相当である。

東京地裁 平成25年3月7日

同種判断は大阪地裁や釧路地裁などがあり、意識不明に陥って起こした事故でも自賠法による賠償責任があるというのが通説的見解かと。
自賠法の条文上は民法713条の適用を除外してないけど、自賠法3条で免責要件を限定している趣旨からすると民法713条の適用はないと見なすのが妥当。
たまに「除外するときは条文に書くものだ」みたいな話をする人がいるけど、そんなことないのよね。

 

さらに整理しますね。

クルマの事故 自転車の事故
人的損害 自賠法3条と民法709条 民法709条
物的損害 民法709条 民法709条

民法709条による賠償責任の場合には民法713条による免責が働くわけですが、自転車は自賠法の適用がなく民法による。
そうすると自転車運転者が何らかの意識不明に陥って起こした事故については免責になりうるのか?となりますが、

管理人
管理人
正直なところわかりません。

これのヒントになるのはクルマの事故について物損部分に民法713条を適用した事例があるか?になりますが、あるといえばある。
ただし、民法713条但し書きを適用して有責にした事例もあり、意識不明に陥ることが予見可能な場合(極度な過労や持病など)には免責にならないでしょうけど、

 

たぶん、自転車が心臓発作等で意識不明に陥って他人に損害を与えた実例がほとんどないのではないでしょうか?
理屈の上では自転車が心臓発作等で意識不明に陥って横断歩行者に衝突することもあるでしょう。
けどその前に自転車が転倒して衝突しなかったとか、仮に衝突してもケガに至らない程度とか、もしくは意識不明に陥る以前の過失(減速接近義務)が肯定されて免責にならないとか。

 

もうちょい調べてみますが、詳しい方は教えてください(他人任せ主義)。

 

ちなみにこれ。

法律を知らずに判例を語ると、違う内容になってしまう。
ずいぶん前に有名な「福井地裁 平成27年4月13日判決」を取り上げてますが、なんかまたおかしな解説をする人がいて…法律を知らずに判例を語ると、違う内容になってしまうのかと驚く。福井地裁 平成27年4月13日判決の趣旨事案の概要です。対向車が...

いまだにわからないという声を頂いてどう説明すると分かりやすくなるか悩むのですが、「過失があったとはいえない」と「過失がなかった」は、法律上では別概念なんですね。
「過失があったとはいえないが、過失がなかったともいえない」というのは、民法の賠償責任を否定しながら自賠法の賠償責任を肯定する。
法律がどうなっているか理解しないまま判決文を読んでも絶対にわからない判例ですが、いずれ解説します。

 

ちなみにバスの事故ですが、病死&予見不可能であるなら責められないと思う(自賠法による賠償責任は免れないですが)。
ただし中には意識不明に陥ることが予見可能な状態で運転したケースもあり、そういうことをしないことが大事なのよね。

コメント

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