先日の記事にご意見をいただいたのですが、


2メートル幅の対面通行自転車道でも私は生活道路と思ってるので20キロも出ていなければ狭いとは思いません
自動車で対面通行の生活道路は最低4メートルで電柱が邪魔ですが(実際には家の建て替えのセットバック進まずそれより狭い所多い)お互いスピード落として譲り合いや交差点の所が少し広いのでそこで離合します
スピード落とせば済む話です
自転車道=高速道路では有りません
たぶんなにか勘違いしているんじゃないかと思うのですが、「狭い」ことでスピードを出せないことが不満という話ではないですよ。
というのも現実に起きている事故ですが、このように狭い双方向通行自転車道において、現実的にはキープレフトは守られない。
ほぼど真ん中を走ってくる対向自転車とか普通にいるわけだし、巷の自転車をみれば左側通行なんてさほど遵守されてないのはわかりますよね。
狭い自転車道において対向自転車がほぼ真ん中を走ってきた場合、おもいっきり左側端に寄せて停止しないと衝突や接触しますが、
そういう形で事故が起きた場合、我が国の基本過失割合は50:50なんですね。
一例として狭い自転車道での対向接触事故について、

左側通行について必ずしも徹底されてない現状があることからすると、中央部分をはみ出したことをそれほど大きく評価することは相当ではない
大阪地裁 平成30年11月16日
大阪地裁 平成30年11月16日判決は順走自転車40%、逆走自転車60%と判断。
この事案が特殊というわけでもなくて、狭い河川敷のサイクリングロードでも同じ。
足踏み式自転車においては、左側通行が徹底されているとはいえない現状であること、足踏み式自転車においては通常速度がそれほど速くないことから、自己の進路上に対向する足踏み式自転車が存在したとしても、停止や回避の措置により衝突を回避することは極めて容易であることなどを考慮すると、本件道路のような狭路で自転車が正面衝突した場合、過失割合は、基本的には五分五分と考えるべきである。その上で、以上のような被告と原告の過失の内容及びこれが結果に与えた影響を考慮すると、被告の過失の方がやや大きいというべきであり、4割の過失相殺をするのが相当である。
大阪地裁 平成28年9月16日
なお逆走側に10%加算した理由は、逆走側の「12歳、無灯火、2人乗り、友人と並走」という事情を考慮したもの。
違反の総合商社みたいな内容ですが、修正は10%にとどまる。
結局狭い自転車道で対向自転車が真ん中を走ってきたら、左側端に寄せて縁石に足を載せて身体を傾けて回避するしかなく、一方の「真ん中通行自転車」はすました顔で平然と真ん中を走り去る。
それのどこが譲り合いなのかわからないし、現実には事故が起きてんのよね。

これにしても逆走自転車が意識不明の重体になってますが、下手すりゃ過失致傷罪で有罪になりかねない。
要は回避可能性があるのに回避しなかったなら有罪になりますが、過失致傷罪は親告罪なので相手が刑事告訴しない限りは対象ではない。
しかし民事で示談交渉する中で、納得いかないからと刑事告訴することもありうるわけで。

以前取り上げたこちらですが、警察の再現実験では犬のリードは視認困難と認定されている。
しかしこれ、再現実験は事故から半年後になされてまして、おそらくは被害者側が示談交渉に納得いかないから(もしくは加害者側保険会社の対応に不満だから)刑事告訴したんじゃないかと…
過失致傷は親告罪なので、重過失致傷が疑われる場合以外は半年後に再捜査なんてしないのよね。
もし示談交渉に納得いかないから刑事告訴したなら、ある種の脅しとも取れる。
で、この自転車道は幅員2mですが、
真ん中を通行してくる対向自転車がいたときに、左側端に寄せて停止し縁石に足を載せて身体を傾けてギリギリ回避できるかどうかのレベル。
それは譲り合い運転というよりも、バカを善良な市民が支えてあげるという意味で「サポート運転」と呼んでますが、バカをサポートするにもこの狭さでは限界があるわけで。
そういう意味でせめて3mにすればまだマシなのよ。
スピードを出す場所ではないのは見りゃわかるし、そんなことは期待してない。
普通自転車の幅は60センチですが、2mの幅員は危険過ぎるから「ちゃんとしたものにしろ」と主張するのは当たり前なのでは?と思うのですが、現実に事故が起きていることを考慮しているわけです。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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