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道路交通法63条の4の読み方。

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こちらの件。

普通自転車通行指定部分は「原則」徐行。
なにやらおかしな話をし始める人がいますが、意見数5926件で、多くが車道通行の危険性や歩道通行に対する反則金の問題に言及。警察庁は歩道通行可標識が無くても車道が危険なら取り締まらないとの考えを示しましたが、歩道に自転車通行指定部分があっても...

普通自転車通行指定部分については「徐行義務」があり(63条の4第2項本文)、歩行者がないときのみ「歩道の状況に応じた安全速度」(同項但し書き)。

読者様
読者様
道路交通法63条の4(普通自転車の歩道通行)ただし書にいう「通行し,又は通行しようとする歩行者がない」とは,「『通行している歩行者』『通行しようとする歩行者』もない」)という趣旨ではないでしょうか(集合に関するド・モルガンの法則ご参照。)。

これはその通りでしょうね。
「ないとき」と「ないとき」を「又は」にしているので。

 

さて同項但し書き。

(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四
2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。
ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。

これを以下のように読み違えているのではないかと。

 

普通自転車通行指定部分については

①当該普通自転車通行指定部分を通行しているとき

又は

②通行しようとする歩行者がないとき

は、

歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる

このように解釈しちゃうと、①が「自転車が普通自転車通行指定部分を通行しているとき」だと勘違いしてしまう
けどこれだと「又は」として①と②を並列化する意味がわからないし、「普通自転車通行指定部分については」の時点で普通自転車通行指定部分を通行する場合なのは明らかなんだから意味がわからなくなる。
さらにいえば同項本文にて「普通自転車通行指定部分を通行する場合には徐行しなければならない」としている点とも矛盾する。

前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。

歩道の中央から車道寄りを徐行しなければならないとし、普通自転車通行指定部分があるときは普通自転車通行指定部分を徐行しなければならないとしているのでして。

 

では但し書きをどのように分解するかというとこうなる。

ただし、普通自転車通行指定部分については

①当該普通自転車通行指定部分を通行している歩行者がないとき

又は

②当該普通自転車通行指定部分を通行しようとする歩行者がないとき

歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる

おそらくこの人は法文を読み間違えているのかと。

歩道の普通自転車通行指定部分の「原則徐行」という警察庁の見解について「現行法の規定を越えている」と主張するけど、誤りなのは言うまでもない。

あくまでも普通自転車通行指定部分は「徐行義務」があり、普通自転車通行指定部分に歩行者がないときのみ「安全速度」にできるとする。
ただし若干注意が必要なのは、「当該普通自転車通行指定部分を通行しようとする歩行者がないときは」としていることからすると、通行指定部分以外の歩道を通行している歩行者が「当該普通自転車通行指定部分を通行しようとする歩行者」に変わった時点で徐行義務が発生する。

すると結局、すぐに徐行体制に入れる速度を「安全速度」と見なしていると言える。

 

ちなみに警察庁の解釈はだいぶ前から同じです。

ただし、自転車は歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければならず(普通自転車通行指定部分があるときは、当該部分を徐行しなければいけません。)、歩行者の通行を妨げることとなるときは一時停止しなければいけません(普通自転車通行指定部分については、歩行者がいないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができます。)。

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/pdf/3-11.pdf

もう1つ疑問なのは、普通自転車通行指定部分を通行する際にも18条2項の義務は免れないという見方もある。

(左側寄り通行等)
第十八条
2 車両は、前項の規定により歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない

16条以下は「道路(歩道等と車道の区別がある場合は車道)」と読み替えるというのが執務資料の見解ですが(16条1項、17条4項カッコ書き)、警察庁はその考え方を採用していないことに注意が必要。
徐行義務や一時停止義務を課しているのだから、重ねて18条2項を適用する必要はない気もしますが、同様の注意義務は免れないでしょう。

 

ちなみに普通自転車通行指定部分は「白線+自転車マークの路面標示のみ」で成立する。

標識風の案内板みたいなのは分かりやすくするためだけのもの。
下記も白線+自転車マークの路面標示があるので、普通自転車通行指定部分だとわかりますが、

構造分離した普通自転車通行指定部分の場合、当該指定部分を通行しようとする歩行者が明らかにいないなら徐行義務まではない(いきなり植栽帯を乗り越えてくる歩行者はいないでしょ笑)。
しかし単なる白線分離の場合

非指定部分を通行する歩行者がいれば、結局はすぐに徐行体制に入れる速度じゃないとダメなのよ。

 

まあ、分かりにくいといえば分かりにくいけど、「自転車乗りは道路交通法を理解してない」と揶揄されてしまう原因は、こういう人たちに一因があるのでして、

きちんと理解して訂正しないと「自転車乗りは道路交通法を知らない」と揶揄されてしまうのよね。
まあ、この界隈の方々は「クルマだって道路交通法を理解してないだろ」と話を逸らすのがお決まりパターンなので、「他人がどうこうの前にまずは自分から」としか言えないのよね。

 

ちなみに私は道路交通法に詳しくないという自覚があるから、様々な文献を読みます。
詳しいんだという驕りが不勉強に繋がり、どこかのYouTuberみたいにガセネタを撒き散らすことになりますから…
あれだけ自信満々に語りながら間違えているのをみると、ああはなりたくないわな。

コメント

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