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進路変更車と直進車の事故で、進路変更車が無過失に。

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ちょっと興味深い判例があり紹介します。
一般的に進路変更車と後続直進車の事故は、進路変更車の過失が大きい。

しかし今回の事故は「進路変更車が無過失」です。

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進路変更車が無過失

判例は横浜地裁 令和5年1月27日(一審)、東京高裁 令和5年8月9日(二審)、最高裁 令和6年5月9日(上告不受理決定)。

 

事故の概要です。

 

被告車両が側道から第一車線に合流し、さらに第二車線に進路変更した際に、第二車線を直進する車両(原告)が驚き減速することなく右にハンドルを切ったため、原告車が中央分離帯に衝突。
つまり非接触の驚愕事故。

 

原告車は30キロ以上の速度超過。

 

一審は進路変更車を無過失とし、二審も同様の判断をしました。

 

同条項(26条の2第2項)が禁止するのは「進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるとき」の進路変更であるところ、本件において、被控訴人の進路変更により、結果的にAが原告車の方向を急に変更せざるを得ない状況になったものということができる。
しかし進路変更を開始するか否かを判断するに当たり、後続直進車に大きな速度超過があれば適切な判断を期待できないところ、上記規定は、飽くまでも後続直進車が相当な運転態様であった場合を想定するものと解されるのであって、進路変更車側に、後続直進車が交通法規に大きく違反している場合まで考慮に入れて行動すべき義務を課していると解することはできない。
そして、本件での被控訴人による進路変更は、原告車が制限速度内で走行していた場合に事故を起こす危険があるような態様のものではなくAが、制限速度を大きく超過する速度で走行していたため、進路変更してきた被告車との衝突を避けるべく原告車の進路を変更せざるを得なかったものである。

東京高裁 令和5年8月9日

最高裁に上告受理申立をしてますが、上告不受理決定(いわゆる三行決定)。
なので最高裁判例ではなく高裁判例になる。

 

で。
勘違いする人が多いから書いておきますが、「後続車が悪いから進路変更車が無過失」なのではなく、「進路変更車に落ち度がないから無過失」です。
要は適法に合図して適法に進路変更したところに、想定外の高速度で後続車が突っ込んできた。
あくまでも適法な進路変更をしていて(ちなみに二車線一気に進路変更したのではない)、きちんと確認してから進路変更している。

 

もしこれが「きちんと確認せずに近距離に迫っていた後続車を見落として進路変更した」ならば、後続車に大幅な速度超過があっても過失割合は全然違います。

基本過失割合が適用されない「非典型例」

進路変更車と後続直進車の事故は、基本過失割合として進路変更車が悪い形になっている。
しかしこのように、基本過失割合を適用しない非典型例が存在する。

 

以前右直事故の判例でも解説してますが、

異常な高速度の右直事故と、過失割合の話。
右直事故の直進車が「時速120キロ」という異常な高速度だった2つの事例を取り上げましたが、刑事と民事の差は無視しますが、時速120キロという異常な高速度で差が出る理由はここ。①時速118キロで直進した白バイと衝突した右折車に、過失運転致死罪...

右直事故の場合、右折車の過失が大きい形の基本過失割合が公表されてますが、現時点には「右折車無過失」の判例がいくつも存在する。
つまり基本過失割合を適用せず非典型例として扱った事故といえますが、

 

基本過失割合が想定するのは、両者ともに過失がある場合。
現実には両者ともに過失がある右直事故が多いから、多い事案を「基本」扱いしているだけでして、一方に過失がない場合は非典型例なのよ。

 

これらから言えるのは、やることをちゃんとしていたなら民事の過失割合は理不尽ではないという話なのよね。
大分の時速194キロ直進車と右折車の事故にしても、刑事判決で「右折車に過失がない」としているところをみると、右折車は十分確認してから右折したのでしょう。
そういう事案は基本過失割合を適用しない非典型例になる。

 

民事の争いって、まずは「基本過失割合を適用するかどうか?」にある。
現実には十分注意していたのに、相手が著しい高速度で突っ込んでくる場合がある。
そしてそれを見抜くのは困難(夜間ならなおさら)。

 

そして「相手が悪いから自分が悪くない」ではなく「自分に落ち度がないところに異常車両が突っ込んできた」から無過失になるのでして、

 

これから言えるのは、相手がどうのこうのではなく自分次第なのよ。
きちんと確認していたなら、法は理不尽ではない。

 

けど基本過失割合が適用されない非典型例の存在はほとんど知られていない。
インターネットで検索する程度の調べ方ではまず出てこない。

 

そして危惧するのは「後続車が著しい高速度なら進路変更車は無過失になる」と勘違いする人がいること。
十分確認していたから無過失なのであって、無過失の理由を勘違いしてはいけない。

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