今回取り上げるのはこちら。
神奈川県警第2交通機動隊の小隊内で、隊員の巡査部長を中心に不適切な取り締まりが繰り返されていたとみられ、小隊ぐるみで虚偽の実況見分調書が作成された疑いとして約2700件の違反を取消にしたというもの。
これ報道を読み違えちゃまずいと思うんだけど、発覚のきっかけになったのは車間距離不保持の違反。
発覚のきっかけになった車間距離が15mであればほとんどの場合違反だと思いますが(小田原厚木道路をメインに取り締まりしていたそうですし)、それを改竄して5mと記載していたと。
つまり車間距離が15mであったとしても、違反は違反なのでして。
ではなぜ取消せざるを得ないのか?
事実と異なる反則切符を切ったのだから、「車間距離5mだから車間距離不保持の違反(交通法26条、120条1項2号)」という事実が存在しない以上、切符が無効だと考えざるを得ないのよね。
うまい棒を盗んだのに、「被告人はコカ・コーラを盗んだ」として起訴しても無罪になるのと同じ。
さらに取り締まりする際に、パトカーに速度超過やら車間距離不保持の違反があった模様。
そして追跡距離も改竄されていたとなると、もはや反則切符に効力はないと考えざるを得ない。
しかしややこしいのは、これは実際に違反があったケースであっても切符が無効になる点なのよ。
大麻所持は原則として違法ですが、所持している場面を現認するために違法に被告人宅に進入して証拠を押さえたなら無罪になるのと同じ。
この場合、大麻所持自体は間違いない事実だとしても、その証拠収集過程が違法なのだから、裁判においては証拠採用できないことになる。
青切符は本来刑事事件として書類送検→起訴すべきものを、反則金を払うなら刑事訴追しない仕組み。
だから刑訴法に則った捜査が必要になりますが、あくまでも「違反が成立していたとしても、切符が法律上無効」だという点に注意する必要がある。
中には違反が成立してないケースもあるかもしれませんが、全件のドラレコ映像が残っているとは考えにくく、だから免許不携帯など証拠の改竄をしようがないものを除き一律で違反取消とせざるを得ないのよね。
要するに、「無実」であるとは確定しようがないし、違反自体は成立しているケースがあっても、その手続きに違法があるのだから取消せざるを得ないし、全件のドラレコ映像は存在しないと考えられる以上、個別判断ではなく一律判断にせざるを得ない。
(理屈の上ではドラレコ映像で違反が確認できる事案は、前切符を取消し新たに切符を切ることも考えられるところ、ドラレコの有無によって不公平が出るのであればそれは好ましい対応ではない。)
ところで、これで反則金と点数が戻ってきた人は、場合によってはラッキーでしかない。
問題発覚した人のケースでいえば、車間距離15mならほとんどの場合違反でしょう。
しかし切符が違法なのだから違反は取消になる。
要するに、違反として成立してないのに切符を切られ切符が無効だとして取消される人と、違反が成立しているけど切符が無効だとして取消される人では、意味が違う。
しかしそれらを全件調査することが不可能だから、一律対応にしたのだと考えられる。
まあ、お粗末な結果ではありますが、こんなしょーもないことをしたのはこの小隊だけだと発表されたように、ごく一部の警察官の暴走。
まあ、神奈川県警全体の問題であるかのような風潮にしたがる人はいるでしょうが、「違反取消」とは「違反がなかったこと」とイコールではなく、切符が無効だから違反取消にせざるを得なかっただけなのよね。
どうもインターネット上の意見を見ていると、「神奈川県警の不祥事」というところを強調して本筋を見失った意見が散見されますが…
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。


コメント
昔たまたまパトカーに前後挟まれて一キロくらい走ったのですが、前走するパトカーは目測で法定速度+10〜20キロくらい出していました。
あれについて行ってたらどうなってたんだろうなぁ、と今でも思います。
ちなみに神奈川県警でした笑
コメントありがとうございます。
新手の囮捜査ですかね笑