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実名報道と特定少年の話。

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法律を理解することの重要性はこういうところに現れる。

過失運転致死傷とひき逃げで逮捕された19歳について、「特定少年だからマスコミは実名報道が可能」とし、「だけど基本的に実名報道しない」とも語り、「そのあたり(実名を晒さないこと)を助ける必要性があるのか疑問」と解説してますが、

 

冒頭からコーヒー噴き出すレベルで間違っているという…

 

法律上、この場合は実名報道が禁止されています。

 

少年法61条では実名報道が禁止されている。

第六十一条 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

しかし68条の規定により、公訴を提起された場合には61条の規定を適用しないとする。

第六十八条 第六十一条の規定は、特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合における同条の記事又は写真については、適用しない。ただし、当該罪に係る事件について刑事訴訟法第四百六十一条の請求がされた場合(同法第四百六十三条第一項若しくは第二項又は第四百六十八条第二項の規定により通常の規定に従い審判をすることとなつた場合を除く。)は、この限りでない。

刑訴法461条は略式起訴に関する規定ですが、略式起訴の場合には68条の規定を適用しないともしているのだから、

 

まとめるとこうなる。
・少年事件は家裁送致される

・家裁が検察官送致決定し、検察官が公訴提起するか略式起訴かを判断する

・公訴提起された時点で初めて特定少年の実名報道が可能になる(略式起訴の場合は禁止)

 

逮捕の段階では実名報道は禁止されているのだから、実名報道するマスコミが皆無なのは当然なのよね。
そしてこのような規定にした趣旨は法務省が解説している。

今回の改正により,18歳以上の少年(特定少年)のとき犯した罪については,氏名,年齢,職業,住居,容ぼうなどによって犯人が誰であるかが分かるような記事・写真等の報道(推知報道)は原則として禁止されるものの,逆送されて起訴された場合(非公開の書面審理で罰金等を科す略式手続の場合は除く。)には,その段階から,推知報道の禁止が解除されることとなります。
これは,選挙権年齢や民法の成年年齢の引下げにより責任ある立場となった特定少年については,起訴され,公開の裁判で刑事責任を追及される立場となった場合には,推知報道を解禁し,社会的な批判・論評の対象となり得るものとすることが適当であると考えられたことによるものです。

法務省:少年法が変わります!

民法の成年年齢引き下げ、選挙権年齢が18歳からになり18歳、19歳が「責任を持つ立場」になり、さらに公開裁判で責任追及される立場になった場合には社会的な批判や論評の対象になりうると解説している。

 

本来、判決が確定するまでは推定無罪の立場ですが、検察官が公訴提起するということは相応の証拠があることでもあり、日本の刑事裁判は99%程度が有罪。
しかも略式起訴とは異なり、公判請求したということは相応に悪質性が高い事件とも言える。

 

相応の条件が揃ってから初めて実名報道を可能にする趣旨を考えると、運転レベル向上委員会のように推測に推測を重ねて事実誤認した批判をする者から不当な批判を浴びることを阻止する意味があるのではないかと思う。
例えば運転レベル向上委員会は下記のように、事実を確認しないまま黒幕扱いしてましたが、

運転レベル向上委員会が語る「議員が外免切り替えのハードルを下げた」は真実か?
運転レベル向上委員会の人って、陰謀論が好きなんだなと思ってしまうんだけど、外免切り替えのハードルを下げた黒幕がどうのこうのとし、民泊やホテルでも申請可能になったのは某政党所属議員の働き掛けなんだと言わんばかりの内容になっている。運転レベル向...
外免切り替えに「ホテルや民泊等の住所」が使えるようになった経緯を調べた。
以前、外免切り替えについて「令和5年通達からホテル、民泊等OKになった」とする運転レベル向上委員会の解説はガセネタだと書きましたが、警察庁は「ホテル、民泊等」の一時滞在について免許取得を認めない方針を固め、パブコメを実施しました。読者様から...

きちんと調べるとわかるように、全くのデタラメと言わざるを得ない。
逮捕というのは容疑が確定した者とはいえず、捜査の都合上身柄拘束する必要がある場合(逃亡または証拠隠滅のおそれ)に限られるのだから、逮捕して捜査した結果、嫌疑不十分や嫌疑なしもありうる。
公判請求する段階においては捜査が完了し相応の証拠をもって立証可能と判断したわけだし、略式起訴とは異なり悪質性が高い事件に限られる。

 

少年法の趣旨からすると、68条で条件を限定する趣旨は運転レベル向上委員会のように次から次へと推測を繰り返したり、容疑とは関係ない話をする者からの「叩き」をさせない趣旨とも言える。

 

そもそもの話として、実名報道したところで「容疑者を詮索して事件とは関係ないプライベートを晒すなど」が可能になる程度で、事故と行為の本質が変わるわけではない。
当事者ではない他人の立場として、「事故から学び自分の運転に活かしたい」のであれば実名報道は不要だし、「事故の容疑者を理由はともかく叩きたい」なら実名報道は必要。

 

運転レベル向上委員会の立場って、他の動画をみてもわかるように後者なのよ。

 

事故の本質を知りたい/学びたいなら実名は何ら必要としませんが、叩きたい人には必要な情報なのよね。
当事者ではない第三者としての立ち位置がよくわかる動画なのかと。

 

立法趣旨・理由から調べる癖がないと、なぜ公訴提起を条件にしているかわからないことになりますが、運転レベル向上委員会のように推測に推測を重ねて事実確認せず、しかもいくつも事実誤認の解説を繰り返してきた実績を鑑みると、こういう人から保護するためには必要なんでしょうね。

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