ある方から教えてもらった話なのですが、先日のヘルメットに関する記事について、
https://roadbike-navi.xyz/archives/10895
すごいブログがあると教えていただきまして。
ヘルメットを被らないほうが安全運転につながる
まず、誰がどんな意見を言おうと、違法なことでない限りは問題はありません。
ですが、それは違うだろ・・・と思うような意見をあたかも正しいかのように述べるのは、倫理的にちょっと違うと思うんです。
こちらがその内容。
「安全のためにヘルメットを被ろう。」というのは逆効果だということをほとんどの人が理解できていない。「ヘルメットを被っているから危険な運転をしていても大丈夫。」と考えるとんでもない人種が増えるだけだ。ヘルメットを被らないで自転車に乗るということは「危険なことをしたら死ぬかもしれない。」ということを覚悟のうえで自転車に乗らなければならない。だから、ヘルメットを被らないほうが安全運転につながると思っているし、ヘルメットを義務化した国では逆に事故が増えているという現状も踏まえて考えていることだ。
誰が自転車のことを考えてくれるのか? : 妻苦輪愚狂会「自転車のことを考えるのは自分以外の誰か。」「自分だけ楽しめればあとは関係ない。」多くのサイクリストは仏教でいうところの小乗仏教に当たる。自分のことしか考えていないのである。私は、輪行菩薩というハンドルネームを持つ。菩薩とは大乗仏教では大衆...
この内容を見たとき、この方は重大な勘違いをしているんだなと思いました。
まずですが、ヘルメット装着が目指すところは、事故を減らすことではありません。
事故を起こしたとき、事故にあったときの死亡率を下げるのが目的です。
ヘルメットの目的とする安全性というのは、事故を減らす効果というよりは、事故に遭ったときの死亡率を下げる効果でしょう。
こちらの記事にもあるように、
https://www.asahi.com/articles/ASM4R6CT8M4RUTIL050.html
ヘルメット未装着時の致死率は、装着時よりも2.5倍あります。
で、
ヘルメットを被っているから危険な運転をしていても大丈夫。」と考えるとんでもない人種が増えるだけだ。
ヘルメットを被っているから、少々危険な運転しても守ってくれるだろうと考える人がそんなに増えますかね?
事故では、頭だけを怪我するわけでもないですし、頭が守られても足でも腕でも骨折したらキツイですよね。
シートベルト着用が義務付けられたから、車の運転が荒くなったという話を聞いたことはありませんが、それと同じようなレベルなのかと。
一応、こちらの論文では、ヘルメット着用により未着用時よりもスピードを出したりすることにも触れていますが、
http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/graspp-old/courses/2009/documents/graspp2009-5113090-4.pdf#search=%27%E8%87%AA%E8%BB%A2%E8%BB%8A+%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%83%E3%83%88+%E7%BE%A9%E5%8B%99+%E5%A4%96%E5%9B%BD%27
そういうのが増えたとしても、トータルとしての結果がどうなのかで判断すべきことです。
ヘルメット義務化で事故が増えたとするデータは見たことが無いですが、どこかにあるんでしょうかね?
ヘルメットを義務化した国では逆に事故が増えているという現状
これについても、どのくらい増加したのか知りませんが、ほかの要素で事故が増えたという要素を排除して、ヘルメットのせいだと言い切れることがまず怪しいわけで。
例えば、事故数が前年よりも10%程度増えたとして、それが単なる自然増加なのか、他の要素で事故が増えたのか、ヘルメット義務化で危険運転者が増えたのかについて考察したのかは相当な疑問です。
ヘルメット義務化のあとに、事故件数が前年の倍とかになっているのであれば、ヘルメットも一因だといえる可能性もありますが。
いったいどこの国のデータなのかわかりませんが、いまや条例でヘルメットを義務化する動きもある時代に、この考え方はどうなんでしょうね?
https://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/20190917/1090005294.html
ちなみにですが、ヘルメットを義務化した結果、自転車を利用する人口が減少し、国民の運動時間が減ることで健康の懸念が出るということで、ヘルメット義務化が廃止された事例はあります。
https://jp.wsj.com/articles/SB12576472522368314760904581292320073788858
あと、ヘルメットを着用していると、車のドライバーが追越するときの車間距離が狭くなった(自転車に近くなった)という研究データもあります。
https://cyclist.sanspo.com/159093
しかし、ヘルメット義務化で事故が増えたというデータは見たことがないですね。
あるなら是非知りたいところですが。
韓国ではヘルメット義務化が失敗に終わっていますが、そもそも韓国は自転車文化が根付いているとは言えなかった過去があり、事故が増えたのはヘルメット義務化の影響ではなく、単に自転車に乗る人口が増えただけの話です。
自転車シェアサービスにより、自転車を使う人口が増えたというだけの話ですね。
もともと韓国では、坂が多いとか、労働者の乗り物だとか、バスが発達しているとかの理由で自転車を交通手段として積極的に利用する人はいなかった
韓国の自転車事情 (二階 宏之) - アジア経済研究所15年前に韓国に滞在していた時には韓国(ソウル)で自転車に乗っている姿をほとんど目にすることはなかった。今回韓国に来て、街中でヘルメットをかぶって自転車に乗る人や、地下鉄駅入り口やバス停近くに停車しているシェアサイクル自転車など、以前にはあ...
韓国では、趣味やスポーツ目的で自転車に乗る人はいても、日常生活の足として使う層は少なかったわけで、それがシェアサービスで自転車利用者が増えた結果、母数が増えたので事故も増えたわけですね。
母数が増えれば事故が増加するのは、統計学的にも自然なことです。
決してヘルメット義務化の影響とは言えません。
自転車に乗る人口が増えれば、事故が増えるのは統計学的にごく自然なことですし。
母数が増えればそりゃ事故も増えるというだけの話ですね。
他の記事でも、この方はこんなこと書いているようですが、
これは私の偏見かもしれませんが、ヘルメットを被ったツールなんてつまらない。命がけだから面白いんですよ。自転車は格闘技だから。ボクシングで防具つけたら面白くないのと一緒です。
ツール・ド・フランスってまだやってんの? : 妻苦輪愚狂会1903年、第一回ツール・ド・フランスから116年も経つんですね。私は1994年、インデュライン4連覇の時、生で見てきましたが丁度カンパの全盛時代が終わり、シマノが優勢になってきた時代でした。まだ、TT以外はノーヘルでしたから駆け引きが面白...
プロレースで頭部へのダメージでお亡くなりになった方は、私が知る限り2名です。
これは前の記事でも取り上げたことです。
これでは、人が死ぬのが面白いと誤認されかねない内容ですし、そもそも自転車が格闘技って・・・
競輪だとある意味では格闘技的な接触とかもありますが、競輪だってヘルメットは義務ですよね・・・
競輪がいつからヘルメット着用が義務なのか調べてもわかりませんでしたが、どうなんでしょう?
この方の主張を読んでいて思うことですが、恐らくこの方はヘルメットを被らずに乗っているのでしょう。
それを正当化したいだけの方便なのかなと推測しますが、実際に被っているのかはわかりません。
ヘルメットの目的は死亡率の軽減
ヘルメットを装着する目的ってなんでしょうか?
事故率の軽減ではないですよね。
事故を起こしたとき、もしくは事故に遭った時に死亡率を減らすのがヘルメット。
安全性を高める施策はいろいろありますが、例えば自転車専用レーンを整備することは、安全性の中でも【事故の減少】を狙ってますよね。
ヘルメットに求める安全性というのは、事故数の減少ではなくて、事故に遭ったときに頭部への被害を最小限にすること。
自転車保険もある意味では安全に関わっていますが、事故を減らすような効果は期待できませんし、期待もしていません。
また、どれだけ慎重に自転車を走らせていても、自分には責任が無い事故って普通にあります。
それは自分の努力では事故を減らすことができないわけで、だからこそヘルメットで自己防衛するわけですよね。
ほかにも、事故が起こったときに、被害者にきちんと賠償できるような体制を整えているのが保険の役目。
同じ自転車交通安全でも、目的がちょっと違うんですね。
目的と手段の関係性を理解してないから、このような意見になるんだろうなと思います。
そもそもですが、
ヘルメットを被っているから危険な運転をしていても大丈夫。」と考えるとんでもない人種が増えるだけだ。
たかだかヘルメットを装着したくらいで無茶な運転をするようなアホが増えるとは思いませんが、この方が大きな間違いをしていると思うのは、
これを理解してないんだと思います。
ルールどおり走っていても、運転が下手な車が自転車に突っ込んでくることもあります。
実際、私も一度後ろから突っ込まれて救急車に乗ってます。
自分の努力では防げない事故は当然あるわけです。
そもそもヘルメット付けたくらいで、イキがって走るようなヤツが激的に増えるとは思いません。
特に日本人の場合は、国民性からしてもそうはならないと予想します。
そういうやつは、ヘルメット付けていようが付けていなかろうが、おかしな運転をします。
ヘルメットの目的は、万が一の事故のときの死亡率を下げることです。
目的を理解せずに【ヘルメットを被っているから危険な運転をしていても大丈夫。と考えるとんでもない人種が増えるだけだ。】というのはヘルメットの目的と効果を理解してないんだと思うんですね。
ヘルメットの目的は、事故った時の死亡率を下げること。
ロードバイクに乗っているときに起こる事故っていろいろあります。
不注意で落車することもあれば、無理して失敗した結果の事故もある。
自分はルールに基づいて走っていても、おかしな車が突っ込んでくることもある。
視野を広く持たないと、間違った理屈になりかねない典型例だと感じました。
しかしながら、法的に自転車に乗る人がヘルメットを被る義務はありません。
義務はなくても、自分の命を守りたいかどうかという一点だけで、多くのサイクリストがヘルメットを着用しています。
これは数名のタクシードライバーの方に言われたのですが、どの方も揃って、
これはタクシーに乗ったときに、私が自転車乗りだということを告げずに、
タクシードライバーからすると、ああいうのって迷惑なんですか?
と聞いた結果です。
もちろん、全てのタクシードライバーの意見とは言い難いような数名だけの意見ですが。
もちろん、ノーヘル=マナーが悪い、などと短絡的な答えを出すつもりはありません。
しかし、命の重要度をどう考えているのか?という一つの指標にはなっているのかなと思います。
事故を100%防ぎたいなら、自転車に乗らないという選択肢しかありませんので。
自分の努力では防げない事故もあるから、どんだけ腕に自信がある人でも、ヘルメットは被ったほうがいいと思ってます。
インターネットの世界って、ある意味では好き放題自分の意見を言える場所なんでしょうけど、ヘルメットを被らないほうが安全だという主張には何ら根拠がありません。
そういう意見を発表するなら根拠を示すべきでしょうし、根拠を示さないなら見ず知らずの他人に大きな誤解を生む可能性があるのがネット世界なので、慎むべきではないでしょうか?
法的には、自転車に乗る上でのヘルメットは任意です。
被りたくない人は被らなくても法的には問題がありません。
しかし、被らないほうが安全だという根拠のない話を他人に薦めるのは、ちょっと違うのではないかと思うところです。
ブログって単なる日記じゃないですし。
単なる日記であれば、ノートにでも書いて自分だけが見れるようにしておけばいいでしょうけど、インターネットのブログというのは、たまたまであっても検索結果で引っかかり誰でも見れる可能性があります。
だからこそ自分の発言には気をつけないと、といつも思っています。
最後に当たり前の理屈として書きますが、最も安全に自転車に乗ることは、法律やマナーを守り、無理せず運転し、ヘルメットを被ることです。
ブログってネット上に公開されているわけで、誰が見るかわかりません。
この方のブログを初心者の方が見て、
と思う人もいるのかもしれません。
この方の理屈では、ヘルメット被って暴走すれば事故につながる、という考え方のようですが、ヘルメット被っても暴走せずにルールとマナーを守って無理せずロードバイクを楽しめば、ヘルメット未着用よりも安全なわけで。
なので本当の交通安全を世間に訴えるなら、
ここに異論がある人はいないと思いますが。
世の中にはいろんな方がいるんだな、とある意味では驚きを禁じ得ないところですが、その意見には根拠が伴わないと、暴論になりかねない典型例だと思います。
OGK KABUTO(オージーケーカブト) ヘルメット AERO-R1 ホワイトダークグレー S/M (頭囲:55cm-58cm)
売り上げランキング: 61,030
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
ヘルメットをかぶらない事のほうが安全なんて、
私は考えたこともありませんでした。
困った考えの人もいるのですね・・・
コメントありがとうございます。
いろんな考え方があっていいと思いますが、根拠のない理論はさすがにどうかと思いました。
大昔に「自動車のバンパーはガラスで作ったらいい。そうすれば皆さま気をつけてぶつからなくなる」と言った評論家がいたとかいないとか。
半世紀近く昔に、坊主頭にヘルメット(いわゆるドカヘルでした)着用が校則になって、屁理屈探して教師とぶつかってた中学生がいましたが…≫私
コメントありがとうございます。
この手の話は屁理屈言い出したらキリがないので、極論言えば【外走るな】で終了かもしれませんw
物事を斜めに見る事がカッコいいと思っている人は世の中には一定数存在すると思っています。得てしてその手の人は何故か声が大きいので、世間に歪んだ思考を拡散しようとしますよね。
自転車保険が義務化されたり、ヘルメット着用を推進したりしているのは、安全運転の為というより、身の安全や事故の保障を確保するものだと思うのが一般的な思考だと思います。
コメントありがとうございます。
私自身、ずいぶん前に普通に道路の左端を走っていたら、後ろから来た車が追い越しに失敗して思いっきり引っ掛けてて来て、救急車に乗ったことがあります。
ヘルメットしてなかったら死んでいたかもしれません。
こういう事故って、自分が気をつけても防ぐことは不可能であって、そういう事態にも対処するのがヘルメットなんですよね。
まあ、ヘルメット被るべきではない!という理論を唱える人は、根拠がないことがほとんどです。
前に紹介した、【宗教上の理由でヘルメットを被らない】というのだけは突っ込みようがないのですが、そう思うのはその人の勝手で、それを人に勧めるのは違うと思ってます。
※先ほどはメールでありがとうございました。
コメントしづらいこともあるかもしれませんが、ご理解ください。
この輪行菩薩という人は、『自転車は宗教だ』と、常日頃からブログで垂れ流している真性の××××で他人様のブログにも、自分の電波理論を押し付けに来ては自爆しているので、相手にしない方がいいと思いますよ。
コメントありがとうございます。
すみません、一部コメントを伏字にさせていただきました。
ご理解ください。