車両通行帯は公安委員会が指定した複数車線道路なわけですが、今年の頭にこういう報道がありました。
埼玉県警は20日、県内の交差点3か所で、原付きバイクが「2段階右折」をしなかった違反342件について、正式な手続きを経ないまま摘発していたと発表した。
県警交通規制課によると、道路交通法で原付きバイクは、片側3車線以上の道路を右折する際などには2段階右折をしなければいけない。ただ、県警が交通取り締まりを実施する際には、県公安委員会の決定を受けた上で、現場の規制を行う必要がある。
しかし、和光市と新座市にある計3か所の交差点で、県公安委の決定がないまま、原付きバイクの2段階右折について取り締まりを実施していたことが、昨年8月頃に判明。この3か所では記録が残る2012年以降、342件を摘発していた。
正式手続きせず、原付きバイクの「2段階右折」342件を摘発【読売新聞】 埼玉県警は20日、県内の交差点3か所で、原付きバイクが「2段階右折」をしなかった違反342件について、正式な手続きを経ないまま摘発していたと発表した。 県警交通規制課によると、道路交通法で原付きバイクは、片側3車線以上
要は車両通行帯として3車線以上と認定していないにもかかわらず原付の二段階右折違反を取り締まっていたという報道ですが、これの続報です。
埼玉県警は23日、県内の交差点で2012年以降、ミニバイクなどの交通違反を1275件、誤って摘発していたと発表した。取り締まりが可能な要件を満たす道路として県公安委員会の決定を受けていなかったためで、対象者に反則金を還付し違反点数を取り消す。
県警によると、誤摘発していたのは県内全域の81の交差点。道交法で定められた2段階右折をしない違反者らを取り締まっていた。
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うーん・・・
埼玉県警ってこういうミスが多いのかなと思って見ているのですが、これも埼玉県警のお仕事です。
さいたま簡易裁判所は,平成23年4月21日,「被告人は,平成20年11月18日午後4時35分頃,埼玉県三郷市栄1丁目386番地2東京外環自動車道内回り31.7キロポスト付近道路において,普通乗用自動車(軽四)を運転して,法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行した。」旨の事実を認定した上,道路交通法120条1項3号,20条1項本文,4条1項,同法施行令1条の2,刑法66条,71条,68条4号,18条,刑訴法348条を適用して,被告人を罰金6000円に処する旨の略式命令を発付し,同略式命令は,平成23年5月7日確定した。
しかしながら,一件記録によると,本件道路は,埼玉県公安委員会による車両通行帯とすることの意思決定がされておらず,道路交通法20条1項の「車両通行帯の設けられた道路」に該当しない。したがって,被告人が法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行したとはいえず,前記略式命令の認定事実は,罪とならなかったものといわなければならない。
そうすると,原略式命令は,法令に違反し,かつ,被告人のため不利益であることが明らかである。
最高裁判所第二小法廷 平成27年6月8日
外環道の片側2車線区間を車両通行帯とし忘れていたのにも関わらず、追い越し車線を走り続ける車両を違反として取りまくった。
けど調べてみたら車両通行帯にし忘れていたので、【車両通行帯が無い道路】になってしまい違反が成立しなくなるというやつです。
私が知る限り、福井県はなぜか毎月、新しく交通規制を掛けた場所を公表しているのですが、横断歩道の位置とか、自歩道の位置と距離とか、車両通行帯の位置・距離・車線数まできちんと認定しないと規制効力を失います。
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/koukaihou/fukuikenpou/kenpour0303_d/fil/006.pdf
「車両通行帯(交差点付近等)を設ける区間」という項目がありますが、交差点手前の30m程度しか車両通行帯ではない。
過去の県報も国会図書館のインターネット公開で見れますが、例えば福井県報 平成31年 (号外1)の福井南警察署の「車両通行帯(交差点付近等)を設ける区間」の1、花堂交差点。
福井県報 平成31年 (号外1)
公安委員会の決定では、東西南北のそれぞれ交差点から30mだけが車両通行帯(車線数3)だとなっています。
こういうのって公安委員会の決定が車線数2だったとして、道路工事をして車線数3にした場合は改めて公安委員会が決定し直さないといけないわけです。
上の福井県のものも、微妙な変更が出た場所は全て訂正している。
花堂交差点となっているところも、旧決定では交差点の西・北・南にそれぞれ30mだけ3車線となっているのが、東も含めた訂正になっている。
実際に交差点手前に3車線あっても、公安委員会の決定が2車線のままだと、車両通行帯は2車線しかないことになる。
原付二段階右折は【3以上の車両通行帯がある場合】なので違反が成立しなくなってしまう。
要は埼玉県警は、こういう変更や新設の手続きをなぜか怠っていたということになります。
埼玉県はなぜか今年に入ってから問題勃発しまくってますが、これは他県でも多少はこういうのが見つかってます。
一般人には分かりづらい話
私の調べでは、一般道では専用通行帯を除けば、交差点手前以外には車両通行帯はないです。
こういうのも相当調べないと分からないと思いますが、だからこういう勘違いした人が出てくる結果に陥るのかと。
複数車線でも車両通行帯が無い道路になるので、18条1項に基づいて左側端しか走れないにもかかわらず、好き勝手やるから世間から非難を浴びるだけのこと。
といってもこの件、ちゃんと理解している人のほうが少なく、違反であることに気が付いていた人がどのくらいいるのかも謎ですが。
守口付近の方このような煽られ運転自転車には注意しましょう。
本人曰く警察に届けても自転車も悪いということで自動車側がクラクションを鳴らしてもお咎めなしです。
安全にぶつからないように注意して追い越しましょう。 pic.twitter.com/7K0jYGlJEQ
— ❄Haru⛄️ (@Haru_gse20) December 11, 2020
単なる左側端通行義務違反です。
ただし罰則はありません。
ちなみにこの件、交通規制課の人ならちゃんと回答してもらえますが、交通指導課とかになるとちゃんとわかってない人も多いのが現実。
先日、自転車の違反金制度が見送りとありましたが、
これ、都道府県警によって温度差があるみたいな話も出ています。
実は先日、リハビリ目的のウォーキングの途中で、ちょっと思い立ってある交番に聞いてみたんです。
聞いた内容はこれ。
交番なので、警察官1名と、恐らくは警察OBの相談員みたいなおっちゃんがいました。
路側帯しかない交差点で、路側帯を通行する自転車が左折する時って信号機の規制受けますよね??という質問をしたのですが、
交通部門の人ではないようだったのであれなんですが、まず、
警察官と相談員の間で、そもそも自転車が路側帯を通行してもいいのかすらわかっていないw
おっちゃんが分厚い本を取り出したので、ドーコーホーの17条の2ですよ、と教えてあげたら、
で、質問は何だっけ?
停止線は車道にしかないですが。
路側帯は交差点の手前で途切れているように見えるから・・・たぶんそうだと思うけど難しいよね!
終始にこやかに雑談して帰ってきたのですが、この中で飛び出した発言がこれにも書いた内容です。
うちの県では、自転車に対して赤切符を切ることは相当悪質ではない限りやってないし、正直よくわからないことも多いと。。。
でもさ、自転車が路側帯を走ってもいいのか分からない人たちには、取り締まりは無理でしょうw
交通部門の人ではないにしろ、良くも悪くも勉強になりました。
3人で談笑して帰っただけの話です。
私としてはまあまあ楽しめたイベントでした。
念のため27条の追い付かれた車両の義務は自転車にも適用ですか?と聞いてみたのですが、これについては私が某県警⇒警察庁に照会中という話もしちゃったので、俺らが回答しないほうがいいよね!という謎結果で終了ですw
いろんな裏話も聞けてある意味楽しかったです。
警察が分かってない法律なので、そりゃ一般人にはお察しレベルなのかもしれませんが、これだから自転車の逆走や歩道爆走などは減ることは無いんだろうなと思いました。
私も過去に、駐輪場内で後方から来た自転車に思いっきり吹っ飛ばされましたが、その時来た警察官も、
ビシッと言いきってましたが、上司にそれは違うだろと注意されてましたから・・・
ついでに電動キックボードの話を少し書こうと思います。
正直なところでいうと、私としてはそこまで異論が無くて、歩道通行も限定的に出来ることにするのは実は賛成です。
というよりも、現状でも歩道を違法走行している電動キックボードがいるわけなので、車道オンリーにしてもたぶん守られない。
だったら、時速6キロまでしか出ないモードに切り替えて歩道を通行できるようにしたほうがマシなんじゃないですかね。
警察庁の有識者会議の内容をみていると、歩道についても全ての歩道とはしないっぽいことも書いてあります。
一方で、歩道の通行については、本有識者検討会においても賛否両論であったが、「歩道は、歩行者の通行の安全を確保するための空間であり、車両は高速で通行してはならない」という点では一致していた。また、電動キックボードに係る海外の法制度を見ても、多くの国において歩道における通行は禁止されている。
これらを踏まえ、原則として、小型低速車は、歩道を通行することは不適当であると考える。
一方で、3.1.2でも述べたとおり、電動のモビリティは最高速度を制限することが容易であることから、小型低速車について、歩道通行車と同様の最高速度に制限されるのであれば、歩道の通行を認める余地はあるものと考える。
ただし、歩道が本来歩行者のための場所であることを踏まえ、歩行者の安全な通行が阻害されることがないよう、速度の制限が確実に行われることを担保するための措置や小型低速車が通行できる歩道を制限することについて検討すべきである。
なお、電動キックボードについては、地面を蹴ることにより電子的に制御された速度以上の速度を出すことができてしまうこととなるのであれば、電子的な速度制御の意味が失われてしまうこととなるため、それを技術的にどのように防ぐかについても検討がなされるべきである。
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/saisyuhoukokusyo.pdf
勝手な予想としてですが、いわゆる自歩道になっている歩道限定にするとか、このへんはまだ検討課題なのかなと思われます。
というよりもアレ、報道が一部だけ取り上げるからおかしな方向に進んでいる気がするのですが、例えばヘルメットの件。
車輪が小さいから前転しやすい⇒ヘルメットを義務化すべきという意見はわかりますが、私から言わせてもらうとそもそも構造を見て自分でリスクを管理しろというだけのこと。
これはどんな車両に乗る上でも同じで、リスクゼロの乗り物なんて存在しない。
私はリスキーな乗り物だと考えているので乗りませんが、事故リスクも考えずに便利そうだと思って乗った結果くらいは、自分で負うのが当たり前。
うちの子供がアレを欲しいと言っても、私は買いませんよw
というよりも電動キックボードの法整備って、いづれはしないと今の無法地帯は変わらないと思ってます。
ハードルを下げて守らせた方がマシだと思うのですが、お隣韓国では一度大失敗してますから、どうなるのかは蓋を開けてみないと分からない面はある。
けどそのための実証実験だったのでは??
一応警察もこれにはホンキ出しているので、免許持ってない人も集めて電動キックボードに乗らせて、交通法規を理解しているかの実験もしているんですよね・・・
たぶん報道しか見ていない人は知らないと思いますが。
上の警察庁の有識者会議での報告書にも出てきます。
これから困るのって、高校とかだと思う。
校則でOKにするところとNGにするところは出てくるでしょうけど。
けどこの電動キックボード問題って、まともに調べもせずにテキトーなことを書く人って本当に多い。
実証実験であることも見逃して的外れなことばかり言う人もいましたし。
文句ある人は早い段階からパブコメで意見出すべきだったんですよ。
読者様の中にはパブコメに出した方もいるようですが、総数で30件もないような関心が薄いものだったわけで。
これが仮に千単位、万単位でパブコメが来ていれば話が変わったのかも。
せっかく民意を反映させるチャンスがあったものの、放棄すればこうなるのは必然ですが、パブコメって形式上でやっている感もあるので期待しづらい面もある。
でも自転車の違反金制度はもうちょっと頑張って欲しかった・・・
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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