自転車ナビラインって本当に効果があったのか?と質問されたのですが、ぶっちゃけて言います。
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警視庁の調査では
警視庁の調査では以下のようになっています(平成29年)。
設置前 | 設置後 | 増減 | |
事故数 | 447 | 403 | 9.8%減 |
歩道通行率 | 62.8% | 58.2% | 4.6%減 |
左側端通行率 | 23.2% | 27.9% | 4.7%増 |
逆走自転車 | 180 | 100 | 44%減 |
まあ、横断歩道の停止率同様にサンプル数も少ない調査なので、参考程度に。
逆走自転車を減らす効果はあるのかなと思いますが、その後の調査がないのでわかりません。
ただまあ、一部混乱を招いているのも事実。
たまにおかしな位置に描いてあることもあるので。
なお、車道外側線は道路交通法上、何の効力もありません。
たまにおかしな位置に自転車ナビラインがあるので。
自転車ナビラインが車道の左側端と合理的に判断できるなら通行義務がありますが、追い越しするときや路駐を避ける目的なら左側端通行義務が一時的に解除されます。
なお、軽車両(リアカー)に後ろから車が衝突した事故について、「あと50センチ左側に寄るべき18条1項の違反があった」とする判例があります(横浜地裁横須賀支部 昭和47年1月31日)。
なのでその道路を見てみないと、自転車ナビラインがおかしいのかはわかりません。
なお、以下の判例があります。
①公安委員会が車両通行帯の意思決定をしてない片側二車線道路について、軽車両は第一車線の左端とし、速度が遅い原付も18条1項の立法趣旨から軽車両と同じ第一車線の左端を通行すべきとした判例(福岡地裁小倉支部 昭和48年1月19日)。
②車両通行帯であっても「自転車は第1車線の左寄りの位置を通行するのが通常であり、これを前提にほかの車両も通行するものである」とした判例(福岡地裁久留米支部 令和2年6月12日、控訴棄却福岡高裁 令和2年12月8日)。
※福岡地裁久留米支部 令和2年6月12日については、双方が車両通行帯であることを争っていない点に注意。
ナビラインの貢献度
ナビラインの恩恵…逆走を減らしたくらいしかないかな…と考えてます。
逆走自転車はかなり危険なので、減らしたという点については評価しても良さそうですが、過大評価する向きも過去にはあったのでもうちょい慎重に検討すべきだったようには思います。
某大手メディアが自転車ナビラインマンセーの記事をアップした後、記事のコメント欄に「実態と異なる」という住民の意見が寄せられて、コメント欄ごと削除した事例もありました。
まあ、そのメディアは滅亡してしまいましたが。
逆走自転車を減らすのは大切ですし、逆走自転車によりこのような重篤な障害を負うことになった事例もありますし、
逆走自転車と衝突事故2回により、安全運転義務違反と過失運転傷害で書類送検された順走自転車の事例もありました。
この事例は違反者講習行きや書類送検されたことについて国家賠償請求訴訟をしていますが、請求棄却。
たぶんこれ、弁護士無しの本人訴訟です。
そのほか、逆走自転車と衝突した自転車に過失100%とした判例もありますし、なんでルールを守っている側の自転車が「被害」を負わなきゃいけないのか理解に苦しむ事例はあるので、逆走自転車を容認するかのような主張をする奴らは早く滅亡してくれとしか思っていません。
そういう意味では自転車ナビラインが一定の成果を挙げた可能性はありますが、混乱を招いた部分も否定できないので、手放しで「自転車ナビラインマンセー」を地球の真ん中で叫ぶのは何か違う気がします。
自転車乗りでも、わざと自転車ナビラインよりも右側を通行する人もいたりするので…
電動キックボードについては実証実験をしています。
自転車ナビライン等も実証実験とかモデルケースを立ち上げ、きちんと検証し、次のステップに活かすべきだと思いますが、電動キックボードの実証実験もややお粗末な結果分析だと感じる点もあります。
公務員は「結果分析がちょっと変」、「分析結果を元に先に進めたがる」、「失敗だったとは認めたくない立場だから…(以下略)」と感じますが、自転車ナビラインについてもそのような風潮があるのかな。
たぶん、結果分析や検証作業を第三者がやるシステムではない点に問題があるような。
行政訴訟をするときに、モノによっては審査請求という不服申し立てをしないと訴訟提起できないのですが、審査請求の審査者は同じ行政機関の人です。
仲間内で不服申し立てを審査したところで、変わるわけないんですよ。
名目上は「同じ行政機関の別部門で公平性がある」とか言うけど、同じ親方の行政機関内にダメ出ししにくいのは当たり前。
のび太くんとジャイアンが喧嘩して、スネ夫がジャッジしたらダメでしょうに。
自転車ナビラインについては、評価できるだけのデータを見たことないし、行政寄りの人間は「自分のお仕事」をマンセーするだけなんですよ。
全く無意味とは思いませんが、ナビライン描いて「自転車レーン誕生!」みたいに喜ぶ人をみるといたたまれない気持ちになるのがツラい。
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2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
個人的な感覚ですが、
左折専用レーンにナビラインがあると直進しやすいような気がします。
あと自転車専用通行帯よりも逆走が少ないような気が。。。
コメントありがとうございます。
ナビライン、そもそもどういう基準で設置しているのかわからないのですが、私の生活圏には一つもないんです笑。
左折レーンの件は、逆に混乱を招く可能性もありそうな。
自転車通行帯で逆走…話になりませんね。
世の中、自転車という乗り物が我々が思うほど認知されていないですからねぇ。その認知度が若干上がった効果はあると思いますよ。チャリは歩道を走るもんだろ、なんで車道走ってんだって、ほざく無知なドライバーもいまだに腐るほどいますからねぇ・・。ナビラインの存在はそういう人達に対してのアピール効果はあるんじゃないでしょうか・・。
コメントありがとうございます。
確かにその側面はあるでしょうね。
費用対効果としてどうなのか?なども検証しても良さそうなんですが。
ナビラインについてはあればあったで気が楽、と思っています。
ドライバーの中には自転車は車道では車道外側線の外側を走るものと考えている人が一定の割合で存在するのでは、という気がするので、そういう人たちへの牽制というか、自転車はこの辺を走るものだという周知機能は充分果たしていると思っています。実際、ナビラインがあるときは自動車側が少し距離を取って走行してくれるし、無いところでは近いと感じることが割と多い、と感じます。自分はバーエンドライトを使用していますが、側方距離に関してはバーエンドライトよりナビラインの方がはっきり効果があると思っています。
コメントありがとうございます。
車道外側線の外側にナビラインがある場所もありますし、そもそも車道外側線自体が何の意味もないことを周知したほうがいいような気がします。
車道外側線の外側が2mくらいあるような場所もあれば、すぐに側溝になる場所もありますし。
ナビラインの延長線上に電柱があるのも見たことがあるので、書くならちゃんと書けと説教したいところです。